2話
ワンダー・デストロイ内の城に着いた。白銀の城と住人から呼ばれている。
別に王様だのがいるわけではない。街の人が作った城だ。ここの住宅地は僕が作ったので必然的に僕がこの街のトップらしい。面倒くさい。
城は四階建て。地下もある。地下には四つ牢屋がある。
城の周りには鍛練場があり、庭がある。
一階は二階まで吹き抜けになっている。正面に二階へ続く階段が左右にあり、一階の階段の間に両開きの扉がある。そこは食堂になっている。
左右に扉があり、入って右側はキッチンになっている。食べ物を運ぶときには一部屋、跨がなくてはいけない。つなげてしまえばいいのに。
左側は、食料倉庫になっている。あまり使っていないので、食料ではなく、ただの物置になっているが。食堂は白いテーブルクロスが敷いてある長細いテーブルがある。それだけだ。キッチンも厨房といった方が正しいだろう。包丁やまな板などはもちろん、中華なべや蒸し器、かき氷機なんてものもある。
二階は寝室になっている。部屋は六部屋。大小少しばらつきがある。階段は真ん中に一つ。
三階は大半が図書室を占め、トレーニング室が少しある。図書室はまあまあ使っているが、トレーニング室は使っていない。一応、どこも掃除はさせてある。
四階は屋上っぽいところだ。そこに四角い塔が存在する。城の周りにも見張り塔があるが、少し違う。材質だ。見張り塔はそこまで強度はない。襲撃を受けたら真っ先に倒れるだろう。だが、この塔は土台が崩れない限り壊れない。もちろん土台もかなりの強度を誇る。
城の内部はかなり広く、設備をそれなりに整っている。だが、誰も住んでいない。
四角い塔、鏡の間。教会のように椅子が均等に並べてありその奥には二十メートルもある鏡がある。その鏡は、とある空間の神が力を宿したもの。特定の人物が触ると任意の場所まで空間をつなげてくれる。
その鏡に触れる。不思議な紋章が映し出され、鏡にひし形の建物が映し出された。
ひし形、実際は八面体なのだが、ひし形の拠点と呼んでいる。最近だと、拠点としか呼んでない。それが僕らの拠点。
ひし形の拠点がある星は、天国がある星と少し違う。天国があるのはディムという名の星。雲の上、天国にはワンダー・デストロイをはじめ、デス・エデンなどの街が点在している。森や海なども存在している。
少し降りたところに天獄があり、地上と天国の間に中断地という幻獣の住処がある。そして、普通に台地が広がっている。そして地上、地下奥深くには、地獄がある。位置関係は、高い順に、宇宙、天国、天獄、中断地、地上、地獄となっている。それぞれ違う次元にあるので普通はいけない。
僕らのひし形の拠点がある星は創星のラストアイランドという島。火山、森、湖に分かれている島で、森を抜けた先の崖の上に拠点がある。この星は僕と仲間の一人、ロイヤルが作った星。
ひし形の拠点には目玉のようなロボが周りをまわっている。ガーディアンである。
拠点の隣にはトレーニング場があり、大抵はここで修行している。
拠点の一階はリビングであり、テーブルがある。階段は一つあり、部屋の左側にある。二階は全員の部屋があり、全部で八つ。階段は左の奥にある。三階は僕の部屋。鏡があり、そこからも白銀の城に行ける。
トレーニング場には仲間が集まっていた。
ロイヤル、ソード、グリーン、スラッシュ、サンダー、ボルト、サクラ、ロック、フブキ。神のなりそこないが集まっている。一部と僕はちゃんとした神だけど。
「あ、シロさん」
フブキが振り返る。
フブキは冬の神のなりそこない。水を凍らせ、氷を自由に作り出すことができる。そして、その氷を飛ばしたりできる。流石に自由に操ることはできないらしい。超能力ではないと、フブキに言われた。
「お! 来た来た! リーダーさん、フブキから聞きましたよ。あたしたちと練習してくれるんですよね!」
彼女はロック、大地の神のなりそこない。石を自由に操ることが出来る。
「忙しいのにすまないな、リーダー」
サクラ。刀、舞華を愛刀とし、狂イ桜との二刀流を得意とする、和の神のなりそこない。
「俺は別に……」
彼はボルト。電光石火の如く、素早い身のこなしから繰り出される足技は並大抵の神では見ることすら出来ない。四肢の神のなりそこない。
「遠慮なんてするなよ〜。ここはお言葉に甘えて、な!」
そして、サンダー。彼はボルトとよく似ている。ただ違うのはその性格と神のなりそこないでは無いことである。性格はのんびり。また、なりそこないではないと聞いてはいるが、実際何の神なのかは教えてはくれなかった
「へえ、珍しいな、特訓に参加するなんて」
彼はソード。剣の達人である。それが故に、同じく斬撃を得意とするサクラとスラッシュとよく特訓をしている。そして、僕らにも何の神のなりそこないなのか分かっていない。
同じく斬撃を得意とするスラッシュは、剣の神のなりそこないである。スラッシュは基本、居合斬りが得意で剣と剣のぶつかり合いは苦手なようだ。
「ここは狭いから、向こうへ行こう」
森を抜け、広場に行った。ラストアイランドの中心であり、少し開けているので、勝負にはちょうどいい。
早速、射爪を使ってみる。
「ハイ! 俺から!」
グリーン、いつも馬鹿みたいに笑っている。が、頭はかなりいいというギャップを持っている。
射爪から爪を出す。
「おお! スゲー!」
小学生みたいな感想だな。
「行くぞ」
足で地を蹴る。
グリーンは草木を操る力を持っている。武器を持っていない代わりにその力で戦う。
「遠慮なく!」
グリーンが力を込め、両腕を持ち上げる。それと同時に地面から無数の根が出てくる。
近くの木々からだな。
その無数の根はまっすぐ僕に向かってくるがどうということは無い。それぞれの根をよけそのまま根に乗る。
「そう来ると思ってたぜ!」
グリーンが操り根を空高く振り上げた。その反動で空に投げ出される。
グリーンがすかさず集中攻撃を繰り出した。無数の根が襲ってくる。
「馬鹿か? お前」
背中から白い翼を出す。そのまま空を飛び、根を軽々と根をかわす。そして、急降下しグリーンの背後を取る。
グリーンも僕が飛べることくらい知っている。こういうところは抜けている。
自分の強さばかり気にして、戦う相手の特徴を忘れている。
爪をグリーンの首にかける。
「はい。僕の勝ち」
なんなんだ、この模擬戦は。
「何時まで経っても勝てねぇや」
「まずは頭を鍛えろ」
グリーンはどっちかっていうとサポートかディフェンス系だろう。一対一では、グリーンは勝てない。そもそも、本気で戦う気があるのか、疑問に思う。