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大艦隊接近

 で、カーム=ツクダニのアジトに向かっている。

 


 この惑星ベイザだが風光(ふうこう)明媚(めいび)で人類の故郷である地球によく似ているそうだ。俺の生まれ故郷なんぞ岩と土くれだらけの色気のないところだがな。さておき。

 


 カーム=ツクダニという人物、今はベーザと名乗っているが、奴は戦艦というものが大好きだそうで大海原に艦隊が連結しあいそれが一つの要塞と化している。艦隊は連結を切り離し各々、上空や海、海中、宇宙でも自在に行ける。

 


 これだけの軍資金って千年間貯めても足りる量なのか? やることがアルバイトだしな……。転生の秘術がもったいないような…。

 


「男のロマンなのですよ」

 


 口にしたのはブロンズカラーの髪で青い目の美人スカリ=サーハだった。

 


「ロマンねえ……あんたに男の気持ちがわかるのか?」

 


 見た目は保養になるが腕っ節が俺より上。なのかもしれない。そんな彼女をちょっとだけ俺はビビっている。

 


 ディー姉の部下みたいだがこれほどの実力がある人間が人の下にいるというのも不思議だ。

 


 実力については、ちゃち入れるたび叩かれるのでわかる。本気とも冗談ともいえない微妙な力加減でありながら一切抵抗できない……。流石に女に暴力するつもりはないがそれ以前にあっちが強い。俺だって最低限防御はするがそれでも負ける。

 


「あなたこそわからないのですか?」

 


 スカリは呆れた顔をしながらため息をつく。なんだか馬鹿にされているのか?

 


「男のロマンは玩具です。それにどれだけ大金をかけられるだけですよ」

 


「そういうものか? わからないでもないが……。ああ、もしかしてあんたの昔の恋人が浪費グセのあった自経験じゃないのか? あんたを放ったらかしにして」

 


 俺はヘラヘラ笑う。スカリには頭が上がらないばかりだからな、彼女の恋愛の失敗談を勝手に想像すると笑える。

 

 


 ゴス!

 

 


 彼女のナックルが俺のテンプルにクリティカルヒットする。

 


「うごごご、ず、図星なのか?」

 


「つまらない冗談はおやめなさい」

 


 お互いに痛烈なので冷やかしはやめるとするか……。

 


 カームの艦隊に近づくために正面の港にいかず側面の密林を通っている。密林とういか樹海なのだが、死霊の匂いがプンプンする。ここでゲリラ戦をして命を失った無念が渦を巻いているのだろう。当然にこの樹海にも、侵入者を阻む警備の連中はいる。

 


 しかし、今回はスカリの仲間たちが根回しして警備隊は手懐けているので問題ないらしい。おかげで樹海というだけに難儀な道のりだというのにところどころで道案内してくれるイージーぶり。楽だな~。

 


「あなた、気が緩んでいますね……とても『猫パンチ』を習得した人間とは思えませんねえ」

 


「俺は楽観になれるときは楽観でいるんだよ。殺人拳法ならう奴はどこかずれていないと精神が安定しないからな」

 


「それは、あなたの考えでしょうが……私は師でも姉弟子でもないので見ぬ振りでいきますよ」

 


 小さい声で『世話に絶えない』と言う。聞こえているぞ!

 


「ところでスカリさんよ。あんたも武道家でしょ? 流派は何?」

 


 はあと嘆息される。吐く息が途轍もなく重く感じられる。

 


「前日、言ったではないですか……」

 


「あ! 悪い、悪い」

 


 道中が楽すぎてボケかましていたわ。いかんな。

 


「あなたの敵対している『ゴリラキック』ですよ。ここでこじれて争いでもしますか? あなたは鷹揚にして隙だらけです」

 


「俺には後悔する言動など持ち合わしていないからな。慎重に期して嘆いてもつまらないだけだろ?」

 


「器が大きいと褒めておきましょうか?」

 


「別にいいだろ。でさ、『ゴリラキック』の門下なのになぜ手助けする」

 


「ディーテ様の部下だからといっておきましょう。さて、森がなくなりますよ」

 


「本当だな。砂浜と……おや、ゴツイ戦艦が所狭しに並んでいるぜ」

 


 大艦隊というべきか、艦隊が連結していてそれだけで大都市の大きさがある。こんなものを拝めるとは思っても見なかったな。

 


「ここの中心にある母艦にベーザとソーがいるようです」

 


「なんで、二人つるんでいるんだ?」

 


八玉(やたま)の宝玉は全てを揃えると宇宙を支配できるといわれますが、それ一つでも願い事が叶うほどの力があります」

 


「願い事?」

 


「ベーザの願いは知りませんが利害関係が一致しているからですね」

 


 砂浜にでた。停泊している船に近づくためには小舟が必要だった。別に泳いで渡ってもいいのだが。

 


 そこに、都合よく海兵の姿をした男がやって来る。どうやら、誘導してくれるといった感じだ。

 


「ご苦労様ですね」

 


 スカリがそう言えば疑う余地もなさそうだ。ここまではイージーで拍子抜けする俺がいた。

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