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一番最弱なのは群れること

「過ぎ去った失敗はよしとしましょう」

 


「そ、そうだね。ディーテ姉さん」

 


 言葉こそ丁寧だが語気には強さを感じる。ディー姉は美人だが心胆が太すぎて一目見ただけでも近づく男はいない。野生の獣といった感じだ。

 


 ディー姉率いるメンツは30数名か? 一同が会議を設けて集まっている。

 


「しかし、今回の問題はシシロウ=キャキャットウがいたことでしょう」

 


 なんか、これまでの顛末にあった問題を全て俺にあるみたいな当てつけをされているような感はある。

 


 それをスカリがフォローしてくれたんだと思う。流石! スカリさん、いつもはつれない態度だが、優しいお姉さんですよ。

 


「それもあります」

 


 ディー姉は沈痛な面持ちで指を組んで考え込む。シシロウ兄貴とディー姉の歳は近いので流派『猫パンチ』一家では一番親しみがある仲であると俺は勘違いしていた。後継者問題の時にシシロウ兄貴とディー姉と結婚してシシロウ兄貴が継げばいいと発言した時……。

 

 

 

 


『冗談じゃありません!』

 

 

 

 


 と、言われたな。あの時のディー姉は鬼神、鬼女のような形相でそれは、それは怖い。じゃれあい程度の拳ではなく、俺に奥義を食らわせ砕け散るくらいはするぐらい圧倒的なインパクトを発していた。再度、言うが怖かった。

 


 内の『猫パンチ』五兄弟は奇人、変人ぞろいだが、シシロウ兄貴はまともだと思ったのに殺戮に身を置く人間になってしまった……。俺は今でも嘘であってほしいと願っている。無駄だろうが……。

 


「では、今後の私たちの行動予定をアシア、お願いします」

 


「はっ」

 


 あの、モヒカンで沈着おっさんのアシア=ロンテさえ小間使いだからな……。怖いよ、ディー姉は。

 


「まず、我々は八玉(やたま)の宝玉を幾つか保有すること。しかしながら一つも手に入れずにいる。いずれも他勢力の手中にあるだろうと思われる。唯一の希望だったゴタロウ殿の宝玉も奪われた今、他勢力のいずれかを奪うしかないが在処ありかがわからない。しかしながら、私が調べた結果、ベーザの遺産に八玉の宝玉を探し出す道具がある。それを狙う」

 


「加えて、ベーザは先の虐殺のさいに死んでいない様子だと思われます。正確には復活の儀式という、別の肉体を用意して転生した可能性があります。その証拠にベーザ一団は小さいながらも盗賊活動をしています」

 


「つまり、スカリさ、生き残ったベーザから八玉の宝玉を探す道具を奪えということだろう」

 


「そういうことになりますね」

 


 なんだか、盗賊に盗賊行為をするような感じだな。良いんだか、悪いんだか…。

 


 あとは、アシアのおっさんがベーザのアジトの説明やら逃げられたときの対処など細々と説明する。俺は眠くなった。

 


「ゴタロウ、何処へ行くのですか?」

 


「わりい、睡魔が襲うわ。鍛錬でもして目を覚ましてくる」

 


「仕方が無い子ですね。最後まで会議に参加しなさい」

 


「すぐ戻るからさ、ディー姉許してくれよ。皆も一度休憩してからのほうがいいんじゃね? 結構長くやっているぜ」

 


「仕方ありません。一時休憩としましよう」

 


「じゃあ、俺は行くぜ」

 


 何処に? きまっている。そのベーザ一味のアジトとやらに。

 


 俺はなるべく気配を消しながら走る。ここがイマイチどこなのかわからないがとりあえずベーザ達はここから西にいるようなのでその方角に向かう。誰も気づかないようだがいずれは追ってくるだろう。しかし、その前に…。

 


「ミリーか」

 


「なんとなくゴタロウさんがここに来るかと思いましてね」

 


「止める気か?」

 


「いいえ、またいくらでも会える気がしますが別れのあいさつをしておきたいですね」

 


「じゃ、またな」

 


(みじか)! つれないですね。こうなんかムードはありませんかね?」

 


「知るか!」

 


「話変わりますけど、こんど勝手な振る舞いをしたらみんなやリーダーのディーテさんにどう処分されるかわかりませんよ」

 


「俺は成り行きで仲間にいたが正式にお前たちとは組織行動した覚えはない。一方的なんだよ」

 


「それは、私も見ていてわかりますよ。でも、リーダーだけではなくてスカリさんも怒りますよ」

 


「スカリがな……。お前たちには恩義を感じていても共に歩むつもりはない」

 


 結局、俺とスカリの間柄ってなんだったのだろうか?

 


「いいと思いますよ。人それぞれ生き方が違いますから。私ももう少し腕を研鑽したら一人行動したいくちですし」

 


「お前の親父さんが泣くぞ」

 


「父さんなんか、最初から私に『ゴリラキック』の武術を教えてしまったのを後悔していますよ」

 


「そうか。まあいい。ここで駄弁っていると追っ手が来るとしたら追いつかれてしまう」

 


「つまんない別離のやりとり」

 


 ミリーはチェっとしながら手をふった。

 


 これでいい。俺は誰ともつるむ気はない。シシロウ兄貴の時のショックは人と交わっていたからこそ俺を弱くした。馴れ合いのダメージは深刻な方向へといかせた気さえした。

 


 シシロウの兄貴の一撃も気が緩んで食らったとしかおもえない。俺の心変わりや怒りは弱さゆえ。一時は仲間と共にする気になったが、すぐに一人で復讐者になる気が変わった。、俺の人との関わり合いが他者に甘えてしまった気がしてならないのだ。

 


 軽いようで重い、一人はなんて軽快なんだろうか? 俺の本質は孤高。

 


 孤高でチートな武術家なのだ。

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