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小鳥遊リョウ 二十二歳
その日俺、小鳥遊リョウは運命を恨んだ。
人間という生物の最高傑作を、突然目の前に差し出された子供のように、戸惑った。
「どう?似合う?」
純白のドレスに身を包んだその女性は、俺に尋ねる。
「…似合ってる、よ」
「リョウくん、ありがとう。照れるな」
この女性は来月末、俺の兄貴と結婚する予定の、矢萩悠。
兄貴の仕事が抜け出せなくなり、代役に立たされた俺は、目のやり場に困る。
「写真、撮ってもらってもいい?ショウにも見せたいから」
「うん」
すごく、似合ってる。
心の声が漏れそうで困る。
ドレスの輝き以上に、悠が輝いて見えた。
でもその輝きは、俺の為でも俺のせいでもない。全ては兄貴のものだ。
「わ!リョウくん、写真撮るの上手〜専属カメラマンみたい」
「これくらいならいつでも撮りますよ」
「ありがとう。式の当日も楽しみだなぁ」
何気ない一言が胸に刺さる。
俺は、楽しみになんかしてない。




