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大嫌いなこの世界



「I love youを君なりに訳すなら何だと思う?」

「…そうだな、焦がれる程に、――――」



「――――興味がない」



目の前でもじもじとうっとうしい女にそう告げる。

途端に泣き出す女を友人たちが慰めに来るが、僕はそれを眺める事もなく荷物をまとめ講義室を出た。

周囲からひそひそと聞こえる声。



「またアイツあんな言い方してるぜ…」

「何回目だよ、告白してきた女泣かせるの…

俺アイツが他人と仲良くしてるとこ入学してから1回も見た事ねぇんだけど」

「俺も!

実は友達いねぇんじゃねぇの?」

「でも顔は良いよねぇ。

私入学式の時に見惚れちゃった」

「新入生代表の挨拶の時でしょ?

彼、2位の子と大分差をつけて首席だったらしいよ」

「後はあの冷たい性格だけなんだけどねぇ」



何も心に響かない。

大学生活も2年目に突入したが未だにああいう女が出てくる。

いい加減に理解しろ。



「…………」



なんて、言うのも面倒だ。



「あ、おい!

もう帰るのか?

どっかで飯食っていかね?」



肩に回された腕を払い落とす。

いってぇ!

そう言いつつ笑う彼は、この大学内で唯一今でも話しかけてくる異質な存在だ。

派手な金髪に光るピアス。

何度も拒絶して、それでも無理なら無視し続けた。

大体の人間はそれで諦め離れていったのに、馬鹿なのか阿呆なのか、コイツだけは大学に来た日は毎回と言っていい程僕につきまとい話しかけてきた。



「…………」

「駅前のファミレスに新メニュー出たんだって。

期間限定らしいし今日そこ行こうぜ」



寄るな。



「もしかしてファミレスとか人の多いとこ苦手だったか?

ならどこが良いか…。

何か食いてぇもんあるか?」



話しかけるな。



「後は、俺が1人の時に良く行くカフェとか…」

「うるさい」



さっさとその口を閉じろ。



「君に興味がないと何度言わせれば理解出来る。

二度と僕に関わるな。

失せろ」



一瞥して立ち止まった彼を置いて立ち去る。

背後で彼のどこか寂しそうな



「あー…今日も駄目だったか…」



と呟く声が聞こえたが。



「(…どうでも良い)」



今の僕には、どうでも。




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