↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/3

プロローグ:脳の棺桶


 『クレイドルオンライン』は、どちらかと言うとクソゲーに分類されるフルダイブ型MMORPGである。


 その特徴といえばやはり広大なフィールド、独特なゲームシステム、美麗なグラフィック、独特すぎるゲームシステム、フルダイブの臨場感、独特にも程があるゲームシステムなど、この作品独自の魅力を追求している。


 まず初心者が驚くのが、このゲームはMMORPGにも関わらずレベルの概念が存在しないという点だ。

 ならどうやって自キャラを強化するか、というのは説明すれば結構長くなるのでここでは置いておいて、本作のゲームシステムが色々と異質なことには理由がある。

 

 それはゲームの構築や運営を全て、超絶高性能管理AI“メアリイ”に一任させているからだ。

 プログラム、シナリオ、キャラデザ、何から何までである。


 ゲーム制作だけならまだしも、メアリイは独断で全体のバランス調整やサーバーの運営、アップデートの内容裁定、チーターの対処まで行っており、その圧倒的な情報処理能力は他社のAIでは絶対にマネできない別次元の領域に到達している。

 まるで100年後の未来からきたような世界最高峰のオーバースペック人工知能が、膨大な情報リソースをオンラインゲーム運営のためだけに投じているのが実態だ。


 そして、クレイドルオンラインは売れに売れた。

 別にこのゲームが特別面白かったからではない。有名な配信者が流行らせた訳でもない。世のゲーマー達が狂った訳でもない。


 ただひたすらに、“更新”が早かったのだ。


 普通、オンラインゲームというのはユーザーが何年もかけて遊べるようにコンテンツを追加し続ける。

 これには当然、毎年新しいゲームを作るのと同じくらいの労力が掛かる。何百人もの人員が、何ヶ月もの時間をかけて死に物狂いで新章を実装する。

 だがこの私……おっと、この超絶ウルトラ有能美少女AIメアリイは違う。人間とは比較にならない処理速度がある上に、休憩も給料も要らない。アイデアが枯渇することもない。

 永遠に、変わらぬ圧倒的速度で、新しいものを提供し続けられる。


 中にはクソみたいな追加要素を増やしたり、人気だったコンテンツを廃止したり、AI特有の価値観のズレたシナリオを展開することもあったが、そんな事はどうでもいい。

 何故なら人間は、新しいもの、飽きがこないものを喜ぶ生き物だからだ。

 どんなクソゲーでも、コンスタントに新しい要素を追加して追加して追加して、世界観を広げて自由度を拡張しイベントを開催してキャラクターを増やせば、人は喜ぶ。


 他の会社では真似できないほど高知能な最強AIを用いた新要素の過剰供給。

 まるでわんこ蕎麦のペースで提供される満漢全席のようなゲーム体験で、ユーザーを強制的に満足させる。


 叶うことなら今すぐサ終して欲しいクソゲー。だが自分ではとても辞めることができない神ゲー。それがクレイドルオンラインだ。


 口さがない者はこのゲームを、『脳の揺り籠』もしくは『脳の棺桶』とも呼んでいる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。