楽園の檻
マイク「何事もなく入れたな!もうこんな真ん中みたいなところまで来ちまったぞ!」ジン「...順調すぎる。」同じ笑顔、当たり障りのない会話、埃一つ落ちていない地面、完璧なタイミングで切り替わる信号、示し合わせたかのように歩き始める人々。上を見上げると、どこまでも続くビルが、雲を突き抜けて天まで伸びていた。その照明の反射は、まるで空の上の本物の人工照明を映しているかのようだった。その側面にはコンクリートジャングルに大量の広告が目を引こうと実っていた。その少し下。といっても、まだはるか上だが、大量のドローンやら、輸送船やらが雲で遮られた光をさらに弱々しくさせている。マイク「すげーな!こんなの見たことねぇぜ!」ジン「...昔を思い出す。」それらの中には、トライレガシーのロゴが入ったものも見える。道を歩いている人の中の、突然一人が立ち止まる。頭を抱え、何かに怯えたような表情をしている。それを避け歩いていく人々は、その人を見もしない。その人らもまた、何かに恐れている。マイク「なんだ?あれ」ジン「...あまり見ないほうがいいだろうな。」上空から監視ドローンがゆっくり降下する。男「頼む...待ってくれ」ドローン「市民IDを確認しました。ライフトークンの有効性を確認。」男「待ってくれ...あとちょっとで取り戻せるんだ...」ドローン「ライフトークンが失効しました。内訳を通告します。信用クレジットの継続的低下。義務活動への長期不参加。公共秩序維持法違反。総合評価が最低評価を下回りました。」ドローンの抑揚のない機械音声が響く。しかし周囲は何事もなく進んでいく。誰も助けない。誰も振り返らない。自分の評価に影響するかもしれないからだ。ドローンは続ける。「オンラインサービスは利用できません。本区域への滞在資格を喪失しました。速やかに退出してください。60秒のカウントダウンを開始します。」男性は膝をつき、必死に懇願する。「お願いだ...!娘がいるんだ!」少しの沈黙の後、ドローンが告げる。「異議を送信しました。」男の顔が少し明るくなる。しかし何かを言う前に、声が響く。「異議は却下されました。」男の顔が凍りつく。男「そんな...そんなのめちゃくちゃだ!誰も見てないだろ!」「審査は統括管理システムによって実施されました。判定に誤りは確認されませんでした。速やかに退出してください。残り50秒です。」不確かな幻影の中で、カウントダウンと伝わってくる男の心臓の鼓動だけが本物だった。「せめて娘だけでも...!」ドローン「ご質問の内容は本件とは無関係です。退出猶予時間、残り30秒。」マイクが口を開こうとする。マイク「俺のト...」急いでジンが口を塞ぐ。ジン「やめろ。お前正気か?」しかしマイクはそれを突破し、ドローンに立ち塞がる。マイク「俺のトークンを使え!」自分のウォレットを取り出し、ドローンに見せる。ドローン「送信元ウォレットを確認。現在ステータス:OFFLINE。譲渡権利が不足しています。」マイクは叫ぶ。「なんでだよ!残高はあるだろ!」ドローン「確認しました。現在残高102,847LT 必要残高 1,523LT 残高の不足はありません。」マイク「じゃあなんでダメなんだよ!」ドローン「送信権限がありません。ウォレットがオフラインです。ウォレットの再有効化をご希望の場合は、オンライン居住資格を取得してください。」ジン「...その資格を取るためのトークンはどうする」ジンが割り込む。ドローン「お問い合わせ内容は担当部門ないです。ライフトークン/ウォレット総合科へお問い合わせください。」マイク「とにかく!」ドローンが声を遮る。ドローン「警告、これ以上の妨害は行政執行妨害に抵触する可能性があります。退出期限です。脅威:低。非致死性制圧を実行します。」そういうともう2台ほどドローンが降りてきて、男を引きずっていった。人々は気にも留めない...ふりをしている。まるで日常のように振る舞っている。誰しも、自分が一番可愛いのだ。ドローンがマイク、ジンの元に来る。ドローン「検索中...住民データベースに登録が確認されませんでした。検索範囲を拡大。トライレガシー統合データベースを検索中...一致する個体を確認できませんでした。脅威度を評価中...脅威レベル:高。保安プロトコルを実行します。」周りがこちらを見ている。ドローンが一斉に向きを変える。ジン「...逃げるぞ!」




