第一話 その樹は始まりの樹
投稿して、次書いてて、読み直して思った。
このままだとダークファンタジー直行しちゃう!
ということでこの話は大幅改変します。読んでもらった方には申し訳ないです。
……プロット作らないからこんなことになるんだー! だー! だぁー……。
「あら? 自分で名前でも付けたの? んー? おっかしいわねぇ」
その小さな小人……。妖精は、首を捻りながら、うんうん唸っていた。
どうやら、名前があることがおかしいようだ。
それならどうして、「あんたは?」って言葉が出てきたのか問いただしたい。
「まぁいいわ。ユグリスだったわね。あんたはこれからとある場所に向かってもらうわ」
「とある場所? ってどこ?」
「ま、付いてくればわかるわ。こっちよ」
そういってその妖精は飛んでいった。
そういえばあの妖精の名前を聞きそびれた。
それに、いままで小人だと思ってたのに、妖精。という言葉がしっくりと頭の中で収まってしまう。
順応。というのも変だが、僕の知らないところで体に何かが起こっているみたいだ。
おっと、急がないと場所がわからないぞ。
…………。
訂正しよう。何かが起こっている。じゃなくて、もう起こっていた!
手がなんか植物っぽいし、足も植物っぽい!
ドリアードという種族になったのは薄々わかってたけど、これはあまりにも変わりすぎだ。
植物好きがまさか植物になるなんて笑い話にもならないよ。
まぁ、今更考えても仕方がない。
現状を受け入れるしかないのだから、受け入れる。
それだけだ。
そんなこんなで妖精ついていった。
幸い二足歩行はできた。
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~どこかの樹~
「さぁ、ここよ!」
そう言ってたどり着いたのは大きい樹の前だった。
見上げるほど高く。そびえ立つそれは一種の山だと錯覚するほどだ。
何年経てば、木はここまで成長できるのか皆目検討もつかない。
「ここは……?」
「ここはね、ユグ――」
「ユグドラシル……」
なぜか妖精が答える前に口が動いていた。
これがなにか知っているようで知らない。不思議な感じ。
「やっぱりわかるのね」
そう小さく呟く妖精は、何かを悟ったように先に飛んでいく。
ついてこいということか。
大樹ユグドラシルの根と根の間にできている洞窟に進む。
大樹の周りには木がなく、草のみだ。
しかし、日光が遮られているというのに草は枯れておらず、
生き生きとしている。
ほとんどは見たことのない植物だったが、太陽の光を浴びて成長するものまであった。
明らかに、おかしい景色ではあるが、美しくもある。
本来コラボレーションするはずのない植物のそれは、とても綺麗に見えた。
その大樹の下に入った瞬間。空気が変わった。
もっとじめっとしていると思ったが、空気は澄んでいて、風通しも良い。
そして、天井には、根と根の間から水晶みたいなものがつららのようにぶら下がっていた。
「あれは……?」
「あれは、大樹の涙。ユグドラシルが吸い上げたマナが結晶化したものよ。人族や魔族の間ではかなり高値で取引されているわ」
どうやら、魔力の結晶体のようなものみたいだ。少し手をかざしてみる。すると仄かに光る。
前を向いて後を追おうとすると妖精が驚いた顔でこちらを見ていた。
「あんた。ドリアードなのに素質があるのね。珍しいわね」
「素質?」
「魔法の、よ。普通、ドリアードは魔法なんて滅多に使えないのよ……」
そして、妖精はまた思案顔になった。
「えっと……」
「まぁいいわ! こっちよ!」
「あ、そうだ! まだ君の名前。教えてもらってないよ」
「私? そういえばそうね。私の名前はフレデリカ! フレカって呼んでもいいわよ?」
「わかった。フレカ。よろしくね!」
そのままフレカについていくと少し開けた場所に出た。
そこは祭壇のようで、一際大きい水晶を称えるように作られていた。
そしてその水晶を崇めるように誰かがお祈りをしていた。
「ここはなに?」
「ここはユグドラシルの祭壇。木に住まうモノ達全員がここで祈りを捧げたりするのよ。あの大きい水晶は御神体ね」
ユグドラシルは一種の神として崇められているようだ。
「でもここ最近は自然が減ってるせいで信者も減ってるのよね」
「そうなんだ。ここらへんは全然そんな風には見えなかったけど」
「そりゃそうよ、お膝元だもの!」
なるほど。と、理解し、祈りの順番待ちの信者の列に並ぶ。
洞窟の中は暗いものかと思っていたが、水晶が仄かに光り、神秘的な景色を生み出していた。
その中で、祈りを捧げる信者たちはどこか、芸術にも近いものを感じる。
自分も、その祈りを捧げると考えると、感慨深いものがあった。
考えごとをしていると気づけば順番がきた。
僕が考え事をしているのにきづいてか、フレカは声をかけてこず、僕の肩にとまっていた。
祈りが終わった信者たちが僕を見て驚いていたが、妖精が珍しいのだろう。と思い、気にせずにお祈りをする。
片膝を立て、御神体に頭を下げ、祈りを捧げる。
祈りというのは神に対して、何かをお願いする行為。
でも生まれたばかりの僕にはそんなことはわからないから告白をしようと思った。
(僕は……、世界を緑豊かな自然でいっぱいの世界にしたい)
そう簡単に告白をする。
その時、何かが語りかけてきた……。