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その日の午後、ロイド兄様が学園にやって来た。私はまだアレンのせいでベッドから起き上がれないでいた。
お兄様は、隣のアレンの部屋でアレンと何かを話していた。すごく気になったけど防音魔法をかけたみたいで何も聞こえない。
小一時間ほど経ってから、ようやくお兄様とアレンが私の居る部屋に入ってきた。なんだか二人の様子がおかしい。ギスギスした空気が漂っていた。
お兄様は、隣町の魔物の討伐に出ていたと聞いている。少し痩せたみたいで疲れた顔をしていた。
「キラ!あぁ...可哀想に..怖かっただろう?アレンの奴に傷物にされて!」
お兄様は部屋に入るなり、私に駆け寄って両手を握ると、心配そうに私の顔を覗き込む。
アレンにかなり怒っているようだ。
「お兄様、違うわ...。アレンは私を助けてくれたの。それに....、こんな傷はなんてことないわ。」
----まだベッドから出られないのは、アレンのせいだけど...。
「キラ、本当にいいのか?無理をしてないのか?....とにかく、傷が治るまで家に帰ろう。こんな所にキラを置いておけない!」
「ロイド..!」
隣に立つアレンが、冷ややかにお兄様を睨み付けて、低い声で唸る。
お兄様はアレンに促されるように、眉間にシワを寄せながら渋々言った。
「.....そして..、怪我が治ったらすぐにアレンとの婚約式を行うぞ。」
「えっ? すぐに...?」
お兄様の隣でアレンが勝ち誇ったように満足そうな笑みを浮かべている。
「こいつが、どうしてもって言うから...こんな腹黒な奴...本当は...」
お兄様は納得いかない様子で、小さな声でぶつぶつと何かつぶやいていた。
あれ...!?お兄様の様子がちょっと変?
いつもお兄様に気を使っていたアレンの方が強気だわ...?
----なんだか、やっぱりアレンが一番怖いのかも..。
ちょっと身震いしてしまった。
私、やっぱりこの婚約、よく考えた方がいいのかも...と思った時、アレンが嬉しそうに獣の瞳で私を見つめているのに気がついた。
----っ! …駄目だ...きっともう逃げられない...。
この先、どうなっちゃうんだろうと不安もあるけど、私の目の前に開けた未来が楽しみでもある。
きっと、アレンと一緒だったら大丈夫。
たぶん。
fin
最後までお読みいただき、ありがとうございました。初めて書いてみたので、読みづらい所があったと思います。ご容赦ください。おかげさまで、思いのほか楽しく投稿できました。
皆さまに感謝!です。




