五十二 求めるもの【別視点】
「ーーどういうことですの!」
「ん? なにがだい?」
「あの女の、魔力を奪う算段だったのでは!?」
元々別の誰かの魅了に抗っていた騎士を取り込むのは簡単。
けれど、魔物ともなれば別。
悔しいけれど、光の加護が切れたわたくしの家系の力だけでは、不可能。
ユールの立場を危うくする恐れもあったのに……なんで!
「あーー、そんなことも……言ったっけ?」
「っ! あなたとわたくしの目的は同じ、そうですわよね?」
「まぁ、大筋?」
「わたくしはきちんと役目を果たしました、ではあなたも果たすべきですわ」
「うーーん、でもさ。面白くしたいじゃん?」
「面白く……!?」
レイセル王子殿下。
彼とエレデア王妃の策に乗ったのは、わたくしやナレドが這い上がるために必要だった。
わたくしにとってはただ、美しい自分にこそ相応しい、あの美しい男を手に入れるため。
国や家は二の次だけど、ユールを手に入れれば魔皇国の豊かな資源も手に入る。
そのためにまずは、エレデアと魔皇国の仲を引き裂かねばならない。
盟約を破ってまで役目を果たしたというのに。
(わたくしは、手を組む相手を間違えた……?)
この男。
元々はこんな風ではなかった。
年齢相応のむじゃきさと共に、王族としての節度も自覚もあった。
(彼は……、闇の魔石になにを願ったの?)
わたくしはただ、あの女の魔力さえなくなれば。
そうすれば、ユールはわたくしに戻る。
彼も、ライエン殿下の即位までに圧倒的な魔力を手にすれば、その時点で王位が確定する。
魔力を重視する傾向にある国には、第一王位継承権を意味する『太子』という称号はない。
つまり、いつでもライエン殿下にとって代われる。
(だったらさっさとリュミネーヴァから魔力を奪えばいいのに、面白いって……?)
わたくしはなにか、とんでもない者を呼び起こしたんじゃないだろうか。
「あのさぁ」
「……なんです?」
「君、かんちがいしてない?」
「勘違い?」
「僕が、いつ、リュミだけの魔力を奪うって言った?」
「え……?」
どういう、こと?
「リュミが邪魔な君に手を貸すとは言ったけど、君のためじゃない。僕は……僕のために」
やっぱりわたくしーー。
「すべての魔力を、奪うよ?」
なにか、まちがえた?
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