二十二 成る
ご婚約済みのみなさん、既婚者のみなさん、助けてください。
こういう時、世の女性はいったいどうしているのーー!
「……改めまして、ユールティアス・ゾ・フォルティス・セラフィニと申します。……この度は誠に勝手ながら、リュミネーヴァ嬢との婚約を認めていただきたく、馳せ参じました」
「「……」」
(ちょっとーー! なんとか言ってよ、お父様、お兄様!)
気まずい。
ちょうど学校が休みの日、父グスタフが王都の屋敷へともどる予定が立った。
要職の動向を把握しているユールは、ここぞとばかり屋敷に来訪するとゴリ押した。
そんなに急がなくても……。
応接間の一室。
私はユールと並んで座り、向かいには父と兄の姿。
気まずい。
なんか言ってほしい。
「……私は、それを許可した覚えはございません」
「それは、申し訳なく」
「リュミにも事前に了承は得てないのでしょう?」
あぁ、魔物討伐以外で久しぶりに見た父と兄のタッグ。
息ぴったりだな。
一応、娘さんをください! という側の人間だが。
ユールは次期魔皇帝。
なんか、前世では中々ないような腹の探り合いだ。
「……返す言葉もございません」
「はぁ。いや、分かってはおります。……ライエン殿下が強行されたのでしょう?」
「父上、それでも! ……リュミはずっと、彼と添い遂げるものとして生きてきました。いくらリュミを守るためとはいえーー」
(ーー守る?)
あ。
そうか。
私……、ライエンやユールに。
守られたのか。
ふだんが守る側の人間だから、気付くのが遅すぎた。
ライエンも。
次代の王として大局を読んだ判断だったとはいえ、結果的に守られたのか。
苦手だと思っていた、男性キャラたちに。
なんか、この場合は感謝する場面なんだろうけど。
私は本当に、攻略キャラたちが男性だからと避け続け、誰のことも理解していなかったんだなと。
どこか、寂しい気持ちにもなる。
「リュミは、それでいいのか?」
「……」
「もちろん、リュミネーヴァ嬢の意志を尊重いたします」
本来なら。
ヒロインが転生者でもなく、若干のイレギュラーがあったとしても原作のエンディングに近い状況になってくれれば。
私は男性とは関わらないと息巻いて、「婚約なんて、お断りですわ!」と叫んだに違いない。
でも、今は……。
ライエンの覚悟や、ユールの事情を知ってしまった今は。
素直に、その言葉がでてこなくなってしまった。
「私は……」
どのみち、ライエンとの婚約が破棄されなかった世界線では王妃ルート。
破棄され、ユールがいない世界線だったとしても。
公爵令嬢である以上、身分ある者との縁談はどのみち避けられない。
ぜんぶ、分かっていた。
「ユールティアス様を、お支えしたいと思っております」
もう戻れないとしても。
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