十五 その心は、
「リュミネーヴァ・レ・レイ・ローゼン! 私は、お前との婚約を破棄する!」
原作キターー!
……じゃない!
ちょっとライエン、性急すぎない!?
「(ど、どういうことだ……?)」
「(不仲なご様子ではなかったのに……)」
ライエンの十六歳の誕生日記念祭。
立食スタイルのパーティー会場にて、婚約者殿のご挨拶が始まると話題はなぜか婚約破棄へ。
そりゃ周りもざわつくよ。
(いや、覚悟はしてたけどね? 一応、さ。でも、次期国王がこんなやり方。評判に響かない?)
まぁライエンの女好きはさておいて。
例えば、二人の仲がわるい! だとか。
ちょっと噂を流すくらいの工作、王家ならできるんじゃない?
これじゃぁ、まるで。
悪役を、ライエンが買ってるようなものではないか。
「みなの動揺も分かる。……だが、私の足元は盤石ではない。かと言って、国内の分裂も望まない。三大公爵家を抱え込むことで反発を招くのであれば。……私は、この国を守る意志を光の聖女と共に示そう!」
あぁ、お兄様も国王も、すごい顔している。
婚約破棄の件、合意はしていないと言っていた。
つまり、私の父グスタフが了承していないのだ。
ライエンの独断で、今日。
発表しているのだ。
「お、お兄様……。私は大丈夫ですから……」
いや、ほんとに。
むしろ願ったりなのだ。
「リュミ、止めるな」
額の青筋がすごいことになってらっしゃる。
本当にお気遣いなく……。
むしろ周りの皆さんが心配だ。
ライエンの言い分は、察しの良い者なら分かっているはず。
第二王子派を黙らせるには、公爵家という身分以上に黙らせる力が必要だ。
その点、光の魔法は現状世界にひとりだけの特権。
他国にアピールする材料としてはこの上ない人材。
それは、十分に分かっているはず。
ただ、やり方がなぁ。
「ーーリュミネーヴァ嬢、何か言いたいことは?」
あぁ、益々。
どうして、そんなに自分を悪くみせようと……?
「……いえ、謹んでお受けいたします」
更にざわつく皆さん。
それはそうだ。
突然の婚約破棄に、全く動揺を見せない令嬢。
むしろ、茶番なのでは? と思われても仕方ない。
ライエンは自分で言っておきながら傷付いたような顔を見せる。
その真意は、いったい……?
「リュミ、言いたいことがあればーー」
「その必要はございませんわ!」
勢いの良い効果音が付きそうな登場の仕方をしたのは、ヒロインであるシンシア。
いいぞ、原作回帰だ。
実はシンシアとライエンが良い感じなのだと。
学校生活での交流で、仲が深まったのだと。
ちゃんと皆さんに説明してーー。
「ーーなにせリュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「…………は?」」
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