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第91話 乱入×決着?

男性が『貴方は男性ですか?』と聞かれ『はい。そうです』と答えるように当然のことならば考える時間は特別な理由がない限り必要ない。

葵の返答も『葵の中では』当然すぎて考えることなく即答したのだ。大事なことなのでもう一度、『葵の中では』である。


告白と言って差し支えない会話をした雅人と葵は恥ずかしさで顔を赤くしたまま見つめ合っていた。


「あの...これは違くて...いや違くはないんですけど...ごめんなさい!」

「おっと。葵さーん?逃げはよくないなー。ちゃんと会話は終わらせないと」

「詩音さん!?」


親友の突然の裏切りに驚きを隠せない葵だが今までのことを思ってみれば特段驚くことではなかった。


「えーっと...変な聞き方して悪い。正直疲れて頭回ってなかった」

「いつも回ってないだろ。へぶっ!」

「...」

「...」


お互いに恋愛初心者。恋愛に関しては消極的で自分から動くことなく相手が動くのを待つだけだった。

だが雅人は思い出した。前に梓が言っていたことを。


『恋には攻めしかない。守りに入れば必ず負ける』と。


「葵。俺はなんて言うんだ...好きっていうのが分からないんだ...」

「好きが分からない...?」

「ああ。葵が言う好きって感情が曖昧でもやっとした感覚なんだ。だからその...俺の答えは待ってくれないか?」


雅人は先に動いたもののとった選択肢は保留というものだった。


「ちょっと赤嶺?人に告白...と言っていいか分からないけど同じようなこと言わせておいて自分だけ逃げるつもり?」

「そんなつもりはない」

「なら今この場で答えを出して。付き合うとか考えないで、葵のことをどう思ってるのか」

「だからその答えの好きが分からないんだって言ってるだろが」

「雅人、別に答えは好きだけに限らないんだぞ?雅人にだって嫌いな奴とか一緒に居たい奴とかいるだろ?答えかたは1つじゃないぞ」

「そうか」


4人が見守るなか雅人は少し考えた後に口を開いた。


「葵のことは嫌いじゃない。ずっと一緒に居たいと思ってるし一緒に居て苦じゃない」

「もう一声」

「えっと...葵と一緒にいると心臓がドクリってするし自然と目で追うし可愛いって思うしキスしたいとも思う」


雅人は葵に対する自分の気持ちを伝えた。

伝えた結果、葵は顔を真っ赤にした。


言葉は多いが雅人の感情は普通で言えば好きという感情以外のなにものでもないが雅人の頭の中ではイコールになっていないのである。


「赤嶺くん...あの...私が自分でいうのもなんですけど...その感情そのものが好きってことだと思います...」


葵は耳まで真っ赤にし雅人は頭から無数の『?』を浮かべ立ち尽くした。


「おい豹堂。おれ達は先に戻るぞ」

「えーいいとこなのに!」

「いいから来い」


慧輝に引きずられて仁が退場するとそれを追いかけるように詩音も出て行った。

詩音は去り際に耳元で頑張れと囁いた。


「...」

「...」


またしても無言が続いた。

バスケの試合が終わり全ての生徒が体育館から出てきその場に残ったのは雅人と葵だけだった。


葵は逃げ出したい気持ちを必死に抑え2階の柵に掴まっていた。もし今手を離せば連絡橋目掛けて走って二度と雅人と話すことが出来なくなってしまう。

そう考えてた葵は恥ずかしさなどありとあらゆる感情を堪えていた。


葵がなにか話題を探していると手に持っている物に目が行った。


「あの赤嶺くん。これ…黒井先輩から渡すように言われました」

「俺のインカムか。そういえば生徒会室に置きっ放しだったな。落としてくれ」


雅人はなにか情報がないかインカムのイヤホンを耳に差し込むが無音だった。


「無音?そんなはずは…」


チャンネルが違うのかとチャンネルを変えてみても無音だった。

だが一つだけ微かにだが音が聞こえた。


「足音か…?」


イヤホンから聞こえてきたのは誰かが走る音。雅人が使用しているチャンネルはさっきまで生徒会全員が使っていたチャンネル。教師陣のみのチャンネルは別にあるため情報が全くないというのは不自然な話なのだ。


「赤嶺くん?」

「ああすまん。インカムの調子が悪くてな」

「あの…1つ聞いてもいいですか?」

「構わないが…」

「梓先輩のことどう思ってますか?」


葵的にはそれが1番気がかりなのだ。雅人が梓のことをどう思ってるかで今後の行動が変わるという意味もあるため重要なのことだ。


「梓のことは…」


雅人がそう言おうとした時、体育館の千葉らが勢いよく開いた。


「はぁ…はぁ…やっと着いた…テニスコートから体育館て遠すぎよ…」

「梓…先輩」

「インカムから聞こえて来たのよ。さっきまで葵が持ってなかった?」

「はい持ってましたけど…」

「ずっと送信になってたわよ」


「なるほど、あのクソ悪魔共が…梓との専用チャンネルになってたってわけか」

「ええ、そうみたい。アタシのも試合が終わった頃には専用チャンネルになってたわ」


三角関係の3人が一堂に会すなんてことは修羅場以外のなにものでもない。

それを証明するかのように場の空気が重くなっていく。


「ねえ、なんの話をしてたのかしら?走りながらだし途中から聞こえなくてまだ理解してないのよ」

「知ってどうするつもりですか…」

「アタシも混ぜて貰おうと思って」


葵と梓の間で火花が散る。


「梓先輩には関係ありません…赤嶺くんとはお話があるので退室願います」

「あら、葵も結構言うようになったじゃない。いいわそれで。でも優勢なのはアタシよ」


梓は雅人にピッタリくっつくとこれ見よがしに密着した。


「なっ!ズルいですよ」

「ならそこから降りてくればいいいでしょう?」


挑発的に体を寄せ意地の悪い笑みを浮かべる梓に対し葵は2階からなにも出来ずに見ることしか出来ない。


「梓先輩!それ以上くっつくなら…あっ!」

「馬鹿っ!」


興奮して身を乗り出しすぎた葵は手を滑らせ2階から上半身が落下体勢に入っていた。

梓の横腹を抱えると雅人は葵の下に滑り込んだ。


「きゃあ!」

「あぐあ!」


体育館内に男子高校生が潰れる音が響いた。


「お前ら…騒ぐなら家でやれ…」

「ごめんなさい」「流石にやり過ぎたと反省してるわ」

「全く。鳩尾に入らなかっただけまだいいがな」


雅人はお腹をさすりながら女子2人を睨みつけた。


「でも元はと言えば赤嶺くんが悪いんですよ!」

「そうよ。雅人がハッキリしないからよ」

「意味が分からない。話が見えない」


「私の質問に答えてください」

「アタシと葵、どっちが好きなの!」

「答えてください」「答えなさい!」


こう女子に迫られることなんてそうないことだが内容が内容だけに雅人は即答出来ずにいた。


「俺は…」

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― 新着の感想 ―
[良い点]  来た来た来た来た来た来た来た来たぁ!!!!   さぁ、恋の行方はどうなるのか。二人の女の誘惑、これに男はどう答えるのか。何とも何ともといったところですねぇ。  手すりから落ちるのも、また…
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