第62話 旧校舎×平和的不良
あけましておめでとうございます!
今年もバリバリ執筆していきますのでよろしくお願いします!
「情報を整理すると…照明には仕掛けがありいつでも落とすことができた。照明に細工が出来たのは文化祭期間に体育館に出入り出来た人物に限られる。…出てるのはこの辺か」
「よは犯人につながる直接関わるような情報はないってこったろ」
「そうだよねー。ウチらだけで犯人を見つけるのは無理だったのかな…」
「そんなことないと思います」
今までほぼだんまりだった葵が口を開いた。
「火薬が仕込まれていたなら誰かが装置と火薬を購入した生徒もしくは先生がいるはずです。部活動の予算などを見れば簡単に分かると思います」
「でも予算なんて見せてくれるわけ…あ」
3人の目線が雅人を捉えた。
生徒会の雅人なら適当に理由をつけて確認することが出来る。
「それに、火薬を買って怪しまれない部活動は少ないです」
葵の後押し情報もあり雅人は白石叶恵の元を訪ねた。
「白石会計。文化祭の予算案を寄越せ」
「なにに使うんですか?」
「いやな、俺のクラスの連中が頼んだ頼んでないで揉めてな…他のクラスでも出そうだからコピー持ってていいか?
「構いませんよ。これが予算案です」
「ああ」
雅人は火薬と電動スイッチを探したが文化祭の項目からは見つけられなかった。
「さんきゅ」
「解決できそうですか?」
「ああ。しっかり記入してあったからどっかの段ボールに入ってるはずだ」
「そうですか。まだお昼前ですからこれから頑張ってください」
「任せとけって」
予算案を返し雅人は体育館へと戻った。
「どうだった?」
「火薬もスイッチも無かった。一応コピー貰ってきた」
「赤嶺にしては上出来じゃん。気が利くー」
詩音達も目を通したがやはり火薬の文字もスイッチの文字も見当たらなかった。
「そうなると可能性はだいぶ絞られる。作ったんだよ、簡単な起爆装置を」
「作ったって…それなりに専門知識必要だと思うけど?」
「学校ってのは個性の溜まり場だからな。特にこの多摩川高校は」
「科学部辺りなら起爆装置くらいなら作れるかもしれない」
雅人達は旧校舎へと向かった。
「旧校舎って不気味ですね…」
「ウチは入ったことないなー。用もないし不気味だし」
「そうか?静かでいい場所だろ」
「お前のそういう無頓着なとこは羨ましい」
雅人を先頭に旧校舎を歩き回った。
数年前までは使われていたこの校舎もいよいよ老朽化で使われなくなった。
ところどころに使われなくなった机や椅子が並べられていて埃が積もっていて誰かが動かした形跡はない。
「本当にこの旧校舎に科学部があるのかよ」
「正確には犯人の居場所だ。ここは人が寄り付かない場所。そういうことをするにはぴったり過ぎる」
「でも誰の上に落とすつもりだったんだろ」
「ああ、それなら梓の上だろうな」
「梓先輩のですか?どうしてそう思うんですか?」
「あいつが生徒会長になることに不満を持つ奴が居るってことだろ。まったく人騒がせな」
雅人はため息をついた。
だが足取りは軽い。
「赤嶺、あんた楽しんでない?」
「そんなわけないだろ?」
「その割には足取り軽いわね」
「俺ホラー苦手とかないし。それより余裕ないのはこっちだろ」
雅人は背中にしがみつく葵を指した。
目に涙を浮かべさっきから小刻みに震えている。
「怖いなら校舎で待ってればよかったのに...」
「外で待ってる方が怖いんです!」
「何か出るわけでもないのに...」
「それでも!1人で待つなんて嫌です!」
小さなく細い手で雅人のブレザーを握る葵は雅人の目線から見たら子猫のようだっただろう。
雅人は前を向いた。
「こけるなよ。俺まで道連れになる」
「大丈夫です。赤嶺くんなら支えてくれると信じています」
くっつき合う2人を見て詩音はこれでもかと二やついていた。
「あの2人って付き合ってるのか?」
「付き合ってはないはず。でもお似合いじゃない?」
「お似合いすぎて気持ちが悪い」
「それな。めっちゃ分かる。それでいて進展がないんだから歯がゆくて仕方ない」
「神崎でも無理なのか」
「あの2人の恋愛偏差値の低さは保育園児程度。恋なんて数次元先のことみたいに思ってる」
「ステ振りミスりすぎだろ...」
「だからこっちが疲れるしドキドキするの」
話していくうちに詩音の目から光が消え虚ろな目をしていた。
それだけで詩音の苦労が窺えるだろう。
「神崎と慧輝はなんでそんな遠くにいる」
「なにかあったら危ないでしょ?だからあんたを先行させてるの」
「俺になにかあったら葵が危ないんだけど?」
「そこはお前は守れよ不良だろ」
「お前らは不良を正義の味方と勘違いしてないか?」
「いいから前見ろ。なんかあるぞ」
慧輝に言われ前を見るがなにも見当たらない。
「なんもないじゃん」
「壁を見ろ、机の下だ」
雅人が覗き込むと赤いランプが点滅している箱があった。
「なんでしょう...警報機みたいに見えますが...」
「まさにその通り、赤嶺なら見たことあるんじゃないか?」
「ねーよ。警報機がついてる場所なんかに行かないし」
「ないのか?輩のアジトには大抵ついてるもんだけどな」
「組織荒しのお前と一緒にすんな。俺は平和的不良なんだよバーカ」
「葵、赤嶺のこと掴んでてね」
「はい!分かりました」
「赤嶺が平和的不良とか笑わせんなよ。この辺じゃ暴君て言われてた奴が」
「勝手に呼んでただけだろうが」
「呼ばれるような事してるからだろうが」
「んだとテメェ!」
「それが平和的不良のやることかよ!」
お互いがお互いを挑発しそれに乗っていく不良2人。
だがそこは不良。危機察知はお手の物だった。
雅人は後ろからの飛翔物にいち早く気がつき葵を庇った。
慧輝は後ろからの飛翔物を机を盾にすることによって防いだ。
「あんたらこういう時は気が合うよね。ね、葵...あー」
詩音が見たのはキラキラと目を輝かせる葵の姿だった。
「葵、怪我は」
「ないですよ」
「ならよかった」
「これで気がつかないんだもんなー。...先は長そう」
「頑張れ神崎」
新年一発目の話から次回作のお話をば。
次回作は初心に帰りファンタジーを書くつもりです。
次回作のテーマは『怪盗』です!。
ある日ふと思い浮かんだものでろくにプロットも立てずに突っ走って書いておりまする。
冒頭から2万字程度は既に完成しており、この小説が完結次第投稿していきます。
どうぞ応援のほどよろしくお願いします。




