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ウイニングブラッド~近未来競馬物語~  作者: うーた。
第1章
17/130

競走馬の限界


フラッシュフォワード残り1ハロン(200m)!


驚異的な末脚でその差を詰めてきたが、サイレンススタートとの差は依然14〜15馬身、距離にして約35m。


サイレンススタートの脚色は未だに遜色ない。

しかし鞍上の祐翠は焦っていた。


「サイレンスの脚は全く止まってない、なのにさっきより足音が明らかに近づいている…」


後ろを振り向いて確認したい、祐翠はそう感じていながらもその一瞬の振り向きがロスになるのではないかとも感じていた。

側から見ればまだまだセーフティーリード。

逆転などあり得ないような着差が未だにある。


しかし祐翠は一つのロスが勝敗を左右するのではないかという感覚を背中に感じながらひたすら同馬を追い続けていた。


祐一は自分が自信を持って参戦させた新馬のハイパフォーマンスに信じられないような追い込みで追いかけて来る光景に驚きながらも冷静に分析していた。


(追いかけているフラッシュフォワードは400から200の1ハロンは信じられないが恐らく10秒フラット程の脚で追い込んできている。それに比べてサイレンスの方は11秒ほどか?)


「サイレンスの止まらない逃げ込みも勿論すごいのだが、相手の脚も止まる感じはなさそうだ…サイレンスがここでとまるようだと万が一があるが…」


両馬の着差からフラッシュフォワードが最後の1ハロンも10秒で走れた場合、サイレンススタートが12秒以上かかるような失速をした場合は逆転の可能性もある。

確かに並の逃げ馬ならそういった可能性もあるが、この2歳馬は違った。


『止まらない…止まらないぃぃサイレンススタート全く止まる気配がないぃぃ!!』


実況のフジ原アナが新馬戦とは思えない熱の入った実況をしている。


祐一はその脚色を確認して勝利を確信した。

「よし、サイレンスの最後の一ハロンも恐らく11秒で走り切れる。相手が本当に10秒で走っても着差は7馬身から8馬身は残せる…というかそもそろ10秒フラットを続けるなんて不可能だ。」


競走馬の限界とも言われるハロン10秒。

それを2ハロン持続させることがいかに非現実かを理解した祐一ならではの率直な感想だ。


「前も止まる気配がないな。」

フラッシュフォワードの手応えを確認する風切春馬。


このままの脚色を続けられるのか?

春馬はフラッシュフォワードの背中越しにその感触を確認。

すると、フラッシュフォワードの脚色は衰えるどころか更にもう一段階早くなるような手応えを感じた。


「いけるのかフラッシュ…?」


フラッシュフォワードが更に前傾姿勢になり追走体制に入った。


「よしわかった、行くぞフラッシュ!!」


ドギャオオオ…


先程までより更に豪快な足音が祐翠とサイレンススタートに轟いた!


「(びくっ)?!…春馬が来る!!」



レースの解説をしていたアナウンサーのフジ原アナが驚いて一瞬声を失った。

それはレースを観戦していたもの全ての共通の驚きだった。


「まるでゲームだ…」


馬が走る姿では今まで見たことないようなスピードに珍念はゲームのようだと例えてしまった。


先頭のサイレンススタートは全く止まっていない。

しかしトップスピードに入りドンドン着差を縮めているフラッシュフォワードの姿を見てサイレンススタートが止まっているような錯覚を感じるものもいた。


10馬身以上もあった着差がみるみるうちに縮まっていく。

7馬身…6馬身…5馬身…


小和田「これは際どいぞ!」


瞬き厳禁…誰もが息を飲み込んでレースの結果を見守る。


珍念「祐翠くん、春馬くん…どっちも頑張って!」


ギューン!


サイレンススタートは最後まで脚色を鈍らせることなく、最後まで必死に追い頭を伸ばしきったタイミングでゴールした。

まさに一切のロスも出さず完全燃焼で走り切った。



その結果決着は…


サイレンススタートが僅かに先に先頭でゴールを通過した。

それとほぼ同時にフラッシュフォワードも突っ込むようにゴールイン!!

ゴールに突っ込んだフラッシュフォワードも頭を伸ばし切ったところがゴール板だった。


小和田「どっちだ?!」

珍念「殆ど同時だよね、どっちか分からないな」


2頭のゴールから大きく遅れて3着以下の馬が続々と走り終えていた。


ゴール直後の勢いからサイレンススタートより前で徐々にスピードを緩めるフラッシュフォワードと風切に祐翠が近づいて声をかけた。

「まさか追いついて来るとはな、驚いたぜ。」


「へへへ、すげぇ馬だろ!!」

風切は笑顔で応えた。


勝敗は審議中だったが、勝ちタイムが発表されて場内が驚いた!


1:43.8 秒のレコード!!!


1分43秒8のレコード決着…

従来の2歳馬の京都1800のレコードタイムは1分45秒9何とこのタイムは2歳馬のレコードではなく3歳以上を含めたレコードタイムを更新してしまったのだ!


観客「えっ、3歳以上のレコード?!これ2歳の新馬戦だよな?」


衝撃のレコードタイムに驚いていた観客たちだが、競馬関係者たちは違う部分で驚いていた。


「サイレンスの上がり3ハロンは33秒フラットだった。結局最後の1ハロンも11秒で走り切った。なのに追いつかれただと…」

愛馬が勝利したにも関わらずボーゼンと立ち尽くす祐一調教師。


小和田「珍念…風切の馬の上がりタイム測ってたよな?いくつだ?」

珍念「あっ…うん、ええと」

自身で測っていたストップウォッチに目をやる珍念。


「あっー」

「どうだった?」

「ストップウォッチ止めるの忘れた」

「………」


ゴン!

小和田は珍念の頭を叩いた。



「上がり29.9だと…あり得ない…」

「一体最後の1ハロンは何秒で走っているんだ…」

ラップタイムを確認した祐一調教師。


驚異的な末脚で度肝を抜いたフラッシュフォワードと風切は競馬界に衝撃を与えて新馬戦を終えた。


京都5Rレース結果


1着 サイレンススタート  1:43.8

2着 フラッシュフォワード ハナ

3着 トウキョウボーイ   大差

4着 ハイパーホーネット  クビ

5着 グリーングロス    アタマ

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