決着
後方から上がってくる馬を無警戒していた祐翠とアニバーサリーが同時に驚く。
「ザルカバード?!」
このレース参加馬の中でも小柄な3歳牝馬が自分より大きな馬達にぶつかりながら上がってきた。
その身体には無数の擦り傷が出来ている。
M.アニバーサリー「転倒してもおかしくない危険な行為だぞ」
C.スミヨシ「勝利のためにはこれくらいのリスクは仕方ないさ」
馬群を抜け出しシルバーグレイトとシーズンスターズに向かって伸びてくるザルカバード。
アブソルートとの縮まらない差に心の折れかけていた2頭では今のザルカバードの勢いには太刀打ちできない。
2頭はあっさりとザルカバードに抜かれてしまう。
ザルカバードが完全に2番手に上がる。
「今の彼女の勢いならいける、勝負だジュニア!」
ザルカバード騎乗のスミヨシが先頭を捉えに行く!
ザルカバードがアブソルートとの差を徐々に縮めていく!
5馬身…4馬身…3馬身…
「このペースならゴール直前でアブソルートを捉えられる」
「まさか追ってくるのが彼女とはね意外だったよ」
「勝たせてもらうぞジュニア」
直線残り150m…ザルカバードが更に加速!
伝説の馬の不敗神話が遂に途切れるのか、このレースを見守る競馬ファン、全てのホースマンが感じた刹那ジュニアが呟いた。
「じゃあそろそろ追い出すかな?」
「はっ?!」
何とジュニアはここまでアブソルートを全力で追っていなかったのだ。ジュニアが左手に持っていたムチを右手に持ち替えた。
唖然とするスミヨシ。
「嘘だろ…」
ジュニアがムチを1発アブソルートに放つとすぐさま急加速。
それまでの他馬の争いが虚しくなるほど鮮やかに再び2番手のザルカバードとの差を広げ出した。
5馬身…6馬身…あっという間にふたたび着差を広げて行く。
『強い…強すぎるアブソルート!圧倒的だあああああ』
この馬が現役である以上勝ち目はない、そう思わせるような圧倒的なパフォーマンスでレースを締め括った。
『アブソルート、今ゴールイン!何とこのレース6連覇!この馬は衰えるということを知らないのか!』
8歳にしてこのパフォーマンス、終わってみれば過去最高のメンバーと言われたこのレースを2着に8馬身差をつけるレコード勝ち。
2着でゴールしたザルカバード騎乗のスミヨシがジュニアに声をかける。
「完敗だよ、ジュニア!強いなアブソルートは」
「いやいやザルカバードも大したもんだよ、久しぶりにこの馬にムチを入れることになったからね」
「まさか今までのレースでは殆ど全力を出してなかった?」
アブソルートがムチを入れて加速させたのは僅か150mのみ。まだまだ余力充分なその姿に絶望感を抱いたものが殆どだった。
シルバーグレイトがゴールイン。
最終的には再びシーズンスターズにかわされて何とか4着でゴールしすぐさま停止した。
全身がヘロヘロで全精力を出し尽くしての完走だった。
そんな様子に騎乗の祐翠はすぐさま下馬。
「お疲れグレイト。」
凱旋門賞が幕を閉じたーーー
最終結果
1着 アブソルート レコード
2着 ザルカバード 8馬身
3着 シーズンスターズ 4馬身
4着 シルバーグレイト 1馬身2/3
5着 イーストオーバー クビ
6着 バデイチ ハナ
7着 セカンドオピニオン アタマ
8着 ヴァンガード 2馬身
・
・
・
14着 メダリスト
17着 ダブルボンド
中止1頭




