崩壊のスタートライン
ご覧頂きありがとうございます!
物語のテンポが悪い気がします
んー、むずい
朽ち果てた、とはこの景色のことを見て生まれた言葉だろう。まるで何百年も放置されたかのように扉の外はボロボロで、乾燥した空気が何年も同じ場所に漂い続けどんよりとした暗い空間が広がっていた。さっき目覚めた部屋だけが何故か改修され綺麗にされていたのか?余りにも現実離れした空間差に言葉が出ない。もはやここから外はいつ崩れてもおかしくはないだろう。
「ナラン、気を付けて進むぞ」
正直に言えば私は今ドキドキしていた。こんなにも現実離れした光景を前に何もかもを忘れた私と謎の少年ウィズ。ここが何かのスタートラインなのだ。
「ここを抜けたら、探したいものがあるの」
「ああ、俺もここを抜けるための出口を探してるとこだ」
「そうだね」
私はウィズの手を取った。そして。
「私が誰なのか、君とはどんな関係だったのか」
「……そうだな、確かに俺も記憶が曖昧でよくわからないんだ。だからたぶんもう1回旅をしよう」
ウィズはこちらに振り返りと不器用に笑って見せた。たぶんもう1回、か。
「どうしてだかわからないけど、ウィズと旅するの私好きだった気がするんだ」
私は少し照れながら笑って見せた。
蜘蛛の巣があちこちにある廃城が私をドキドキさせているのか、それとも……。
「しかしここは本当に広いな」
かつてはここに大勢の人が居ていろんな事が目まぐるしく起こっていたのであろう。
隅々に見慣れないものが散乱しかつての面影が残っていて、ほんの少しの振動で塵が舞う。
「昔、とんでもなく栄えた国があったって聞いたことあるか?」
「覚えてないよ」
「確かなんて言ったっけな、ロマリア…ロマルア……。」
頭の上にクエスチョンがたくさん浮かんでいるのが見えそうなほどウィズは頭を悩ませていた。正直答えがわからないから考えてもわからないままだ。
「もしかしたら、そこだったりしてな」
なんとなく顔を見なくてもワクワクしているんだろうなと思った。
先頭を歩くウィズが狭い通路に張った蜘蛛の巣を払いながらやみくもに前へ進む。
「風の気配がするほうへ歩いては見てるけど広すぎて全然だめだ。それにここは窓が1つもない、おそらく地下にいるな」
前言撤回めちゃくちゃしっかり考えて歩いていた。どうやらウィズはこういった状況でも冷静に物事を判断できるようだ。さっきから何にも考えていない私とは大違いだ。
さらに進むとようやく上へとつながる階段が現れた。
「上り階段ってことはやっぱり、ここは地下だったみたいだな」
階段は大理石でできた立派なものだった。ぱんぱんのリュックサックを背負ったウィズが乗っても底が抜けることはなさそうだ。
少し安心できたのか、のんきなことに私のおなかが急に音を鳴らした。
「おなかすいたのか?」
もちろんおなかペコペコだ。私はおなかをさすりながらウィズを見つめた。
「ははっ、よかったいつものナランだ」
どうやら私はいつも腹をすかせた哀れな子だったようだ。
「ここいらで軽くご飯でも食べて休むか」
ドサッとリュックサックを下ろしてガサゴソと何かをあさっている。一体あのリュックサックには何が詰まっているんだろう。夢?希望?ガラクタ?
正解は焚火台とフライパンと水筒とザバンの実や何種類かの食材、小さなテーブルとイスだった。けれどリュックサックはまだ全然ぱんぱんだった。どんだけはいってるんだよ。ウィズは慣れた手つきて即席のご飯を作ってくれた。ザバンの実の入ったピリ辛スープにラビットジャーキー、それとカチカチのパン。質素なご飯のはずなのにとても贅沢に見えるのはウィズの厳選した食器類がどれもセンスがいいからだろう。さっき食器について自慢されたがあんまり興味の無い私でも聞き入ってしまう位の熱弁をされた。今度は私もマイマグカップでも買ってみようかな。
「よし、食おうぜ」
「「いただきます」」
ザバンの実のピリ辛スープにカチカチのパンをつけて食べると美味しいぞ、とウィズに教えて貰った。うん、すごい美味しい。ほんとに久々にご飯を食べた感覚だ。
「ウィズは料理が上手いんだね」
「俺は旅人だからな。基本的なことは大体出来るように練習したのさ」
「私も旅人だったんでしょ?」
「ナランは食う担当だったからな、あんまり作ってる姿は見た事ねーな」
硬いラビットジャーキーを一生懸命咀嚼しながら会話をしているだけで何だか楽しいと思えた。
「なんで私たちは旅をしてるの?」
「宝探しだよ。奇跡の遺物ってのを探してるんだ」
「奇跡の遺物?」
「なんでも願いを叶えてくれるって言われる古代の代物だ。俺はそれを探すために故郷を出て旅をしてきた」
私は残ったスープをおかわりしながらウィズの話を聞いた。
「けど、なんでここにいるのか一切わからないんだ。ここまで来た記憶が全くない」
「何かが怒って私たちはここにたどり着き、お互い記憶を失ったってこと?」
私もウィズも程度は違えど記憶を失ってしまっている。ウィズはここ直近のことがまるまる抜け、私はほぼ全ての記憶を失ってしまった。自分のことも、何もかも。
その時だった。少しずつ近づいてくる重い音が聞こえてくる。そして、振動が起こる。朽ちた壁から、大理石の階段から、建物全てが揺れた。徐々に強く、時間が歪んだかのように長くじわじわとやってくる恐怖。揺れは私たちの事などつゆ知らずその激しさは神の怒りのように感じた。ここはもたない。廃城は崩れるだろう。ここにいちゃいけない。早く逃げなくてはだめだ。
「地震だ!逃げるぞナランっ!」
「出口はっ?」
「考える時間は無ぇ!とにかく駆け上がって身を守れる場所を探すぞ!」
ウィズは冷や汗をかきながら私の手をとって走り出した。さっきまでご飯を食べていた所に荷物は全て置いてきた。今はただ生き残らなくては行けない。
声は建物の崩れる音によって聞き取れずあちこちが倒壊していく。走りながら身を隠せる場所なんて見つからず私たちはお互いの手だけを頼りに必死に走った。
けれど、その時はやって来た。
「ぐあぁっ!」
「ウィズっ!!」
ウィズが倒壊してきた壁に巻き込まれ一瞬の隙に視界から消えた。粉塵によって何も見えない。轟音が私たちの声をかき消してウィズがどこにいるのかも分からない。
「ウィ゙ズ!!!!」
叫んだ。倒壊は止まらない揺れは治まらず事態は悪化するばかりで状況が飲み込めない。息を吸うこともままならない中で大声を出したからか、急に苦しくなってきた。もうダメかもしれない。嫌だ。死なせたくない。たすけなきゃ、たすきなきゃいけない。降ってきた石片が身体中に当たってあちこちから血が出てきた。痛い。怖い。痛い。どうすればいいの。分からない。焦りだけが私を支配していく。そして。
「——ナ゙ラ゙ン゙」
微かな声が、聞こえた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
ふたりは無事なのか!?
次回に乞うご期待!!




