プロローグ 曖昧な再開
この度は星の魔女に興味を持っていただきありがとうございます。これから始まるナランたちの冒険にぜひ付き合ってください!
人には楽しかったことや悲しかったことがたくさんある。それはその人のなかで思い出になってそして少しずつ風化して朽ちていくとっても儚くて脆いもの。そんなもののために人はどこまでも続く暗く冷たい絶望の中を生きることが出来る。人は強いのだ。人は強くて強くて強いのだ。
だから、この世界は終わらないのだ。永遠に……。
最後に感じたのは誰かの暖かさだった。何かを包み込んでようやく私はこの気持ちから解放されると思った。そんな不思議であやふやな物語の終わり。だけど心地は全然良くなかった。目が醒めても、また続きを見たいとは思わない。そんな夢。けど、嫌な夢を見た割には今日はとても身体が軽い気ようなした。何だかいい朝である。のだが……。
さてさて、一体ここはどこで私は誰なのかさっぱりわからないのだ。一体どうしたものか……。それに綺麗な装飾が施された部屋にいるのは一体何故なのか。どこかの国の迎賓としてもてなされている最中に頭でも打って記憶を失ってしまったんじゃないかと思考を巡らせるが多分そんなことは無いと思う。だってそんなんじゃ説明出来ない事があるから。
「zzz…」
私のすぐ近くの冷たく硬そうな床で男の子が寝ていた。顔は見えないし着てる服は旅人が来てるような年季の入った格好をしている。あと何が詰まってるのか皆目見当もつかないほどパンパンになったリュックサックが彼の隣に主張激しめに佇んでいた。取り敢えず声をかけてみるか。なんだか人に話しかけるなんて久しい気持ちだ。私はとりあえず彼から距離をとって声をかけた。
「起きてー。ウィズ」
え、なんで今ウィズって名前を口にしたんだろう……?
「へぁ!?こ、ここどこだ!」
「ウィズ?」
「ナラン!ここはどこだ?俺たちは何でこんな所に?」
キョロキョロと周りを見渡してから彼はこう言った。
ナラン、と。
「私の名前、ナランって言うの?」
「何言ってんだナラン」
「あなたはウィズなの?」
「何言ってんだナラン」
……。混乱は混乱を呼んで混乱を極めた。
「ごめん、ここがどこで自分が誰なのか分からなくて」
「どうしたんだよナラン」
私の目の前でオロオロとしている彼は何だか愛おしく思えた。
「あなたの事も覚えてないの。ただ何故か名前だけ知ってた」
「俺の名前だけ覚えているのか?」
彼はとても混乱しているようで何だか可愛い。
「俺はウィズ。お前はナラン。俺たちは一緒にここまでやって来て、それで……」
彼はそう言って言葉が止まってしまった。
「あれ、俺たち何でこんな所にいるんだ、おかしい何にも覚えてないな」
「君もなんにも覚えて無いの?」
「君なんてやめてくれ、いつも通りウィズって呼んで」
「私いつもを知らないよ」
「お前はいつも俺のことをウィズと読んでたぜ」
彼は、いやウィズは私のことをお前と呼んでいたらしい。随分と慣れ親しんだ中だったのだろうか。
「とりあえず、ここから出ようぜ」
ウィズはリュックサックを背負い私に手を伸ばしてきた。
「まずは外に出てどうなってんのか確認しよう」
「わかった」
立ち上がり自分の身なりを整えた私は見ず知らずのウィズと共にこの部屋から出ることにした。
「なんで俺たちがここに居たのか分からないが用心してくぞ」
「よろしく、ウィズ」
「……俺たちは昔から仲間だろ」
そっか、私たち仲間なのか。でも彼の名前を覚えていたって事はそうなのだろう。
確かに、こんな状況なのに私はすごく落ち着いている気がする。むしろウィズがいると安心できるような感覚さえある。きっと大丈夫。なんの根拠もない大丈夫と共に私たちは最初の1歩を踏み出した。
ご覧頂きありがとうございます!
曖昧な再開とタイトルをつけさせてもらいました。
一体このタイトルの意味は理解できましたでしょうか?
今後もぜひ気になって見に来てくださいね




