プロローグ
よろしく草
プロローグ
太陽がまぶしい一日だった。
久しぶりに取ることが出来たまとまった休暇。いつも、上司のメイウェザーにボディを執拗に狙われ、疲れて果てて帰る日々。
いつも見ることが出来るのは息子たちの寝顔だけ。
妻はそんな俺を、やれ安月給だの足が臭いだの甲斐性なしだの散々な物言いばかりだが、今日ばかりはまだそんな小言を頂戴していない。すげえ嬉しい!
久しぶりに見る妻の笑顔。
息子たちの笑い声。
そう、俺は妻の提案を受けて久々に熱海の海に3泊4日の家族旅行に来ているのだから。
普段海なし県の糞でキモイ、日本一ダサくて汚らわしい埼玉という土地に暮らしているため、海と言うものにあまり接点がなかった。
だからこそ、家族全員浮かれていた。かくいう俺も恥ずかしい話だが、楽しみ過ぎて前日は眠れなかったのだが。
その日は太陽がやけに眩しく感じた。
絶好の海日和だ。
海辺には同じような家族旅行客がひしめいていて、一種の遊園地のようになっていた。
人混みをかきわけ、休憩場所をキープ。
ふぅ……。
それと同時に子供たちは海へ駆けだしていた。
「あらあら、元気いっぱいね」
妻はそんな息子を見て、笑った。
今回は奮発した甲斐があったのか、妻は終始とてもご機嫌が良かった。
遠くで息子たちが呼んでいる。
たまには家族サービスをしてやらないとな。
息子たちに続くように俺も海へ駆けていく。
しばらく海辺遊んでいると、小腹が減った。息子たちの体力は化物級でまだまだ元気に遊んでいた。
まだまだ若いつもりでいたが、年は取りたくないもんだな。
「ちょっと昼飯買ってくるなー!」
「はい」
「焼きそばでいいか?
「そうですね」
「はい」
そういって海の家に焼きそばを買いに行った。海の家は大繁盛で焼きそばを買うのにも3時間もかかってしまった。その間、やたらウミネコに見られていたような気がした。
焼きそばをもって休憩場所に戻ると、子供たちの姿はなかった。
まだ遊んでいるのだろうか?
いやな予感がした。晋三が跳ね上がる。
妻は黒々とした見覚えのあるマッチョと談笑していて、息子がいないことに気づいていないようだった。
海を見る。
3時間経ってるのに、まだ戻ってないなんてことあるか?
海へ走る。
まさか、まさか、まさか。
海辺で息子の名前を叫ぶ。しかし応答はない。周りの遊び声でかき消される。
どこだ!
ふと、海の向こうに黒い点が浮かんでるのが見えた。しかもそれは小刻みに動いている。
それを見た瞬間、すでに身体が動き出していた。
海へ飛び込み、その点まで泳ぐ。
太陽の眩しさとウミネコの鳴き声だけがやけに大きく聞こえた。
そして、俺はとんでもない事実に気づいた。
そう、俺は
俺は
泳げないのだ。
1ミクロンも。
水に触ることすらできないのだ。
その事実に気づくと、急に身体が重くなった。そして、一際高い波にさらわれた。
身体中の孔から水が入ってくる。
息ができない。自分が溺れていると気づいたときには、もう太陽の眩しさが何故か滲んでいた。
「清和! 彦一!」
息子たちの名前を最後まで叫びながら、底へと沈んでいった。
「お母さん、あの人は?」
「え? ああ、ワカメを獲りにいったわ」
「わかめ?」
「ええ、熱海はわかめが豊富で、ほら、あそこの海にある黒い点。あれがわかめよ」
「はい」
そして俺はアトランティスへ召喚されることになる。
生活かかってるんで書籍化本気で目指してますってかいとけ
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