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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第二章 人外のふたり

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第11話 クロマンタ


 瑠奈(るいな)の言葉、「だけど、わかることもあるね」に応えて、ヨシフミは蒼貂熊について考えた。だけど、そこから異世界のことを考えるのには、あまりに材料が少なすぎた。それでもわかることわからないことの切り分けはできた。


 蒼貂熊(アオクズリ)を作り、その生理生態を設定した存在は、東北の異世界への通路の向こう側に存在する。

 だけど、その異世界がどこにあるか、どういうところかはまったくわからない。

 蒼貂熊の生理生態から推理するのにも限界がある。まるで隔靴掻痒だ。


「東北、クロマンタ、行ってみる?」

 ヨシフミの口から、ついにそんな言葉が転がりでた。


 秋田県鹿角市十和田大湯地区にある黒又山、通称クロマンタ。

 秋田県鹿角市の矢筈山中に開いた異世界との通路は、ここに向けて口を開いていると言われていた。オカルト界隈では知られた山で、階段ピラミッドだったという証拠も発見されているところだ。そして、異世界との通路とクロマンタを結ぶ線はそのままま大湯環状列石に達する。


 そして、矢筈山中に開いた異世界との通路は厳戒体勢で入り込む者がいないように管理されており、その実態を知りたい者は立ち入り制限されていないクロマンタに赴くのが常であった。

 ヨシフミと瑠奈であっても、矢筈山中に入るのは難しい。コウモリの姿を取ったとしても、着いたら人間の姿にならねば探検もできない。そして、人間の姿に戻った瞬間、赤外線で探知されるだろう。瑠奈に至っては、その巨大な体躯では最初からどうにもならない。


 だが、クロマンタならば問題はない。それに一説によればクロマンタの頂上の下には未発掘の石室があり、異世界との通路は正確にそこを指しているとも言われているのだ。

 もっとも、その世間一般的に知られている測量結果の話自体が正しいものなのか、さらにはオカルトに関連した結果としてクロマンタなのか、それとも単なる偶然なのか、そんなことすらまだわかってはいないのだが……。


 ただ、現状で直接の情報を得ようと思ったら、クロマンタしか行く場所がないのも事実だった。

「あの辺りに行くなら、前からキリスト・ラーメンも食べてみたかったし……」

「ヨシフミ、アンタね、遊びに行くつもりなん?」

 瑠奈の声は果てしなく冷やかになった。


「いや、そんなつもりはないけど……。

 どうせ食べても、ヴァンパイアになった僕には味もよくわからないし、にんにく入っていたらアウトだし。でも、人間だったときから興味あったし、行くんだったらどうせだから……」

「……若いねぇ」

 これは、浮ついているということを皮肉っている以外のなにものでもない。


「だって、キリスト・ラーメンだよ?」

「キリストが作ったわけでも、キリストが食べたわけでもないでしょ」

「理屈じゃないんだっ」

 すでに瑠奈の声の冷たさに慣れきっているヨシフミの声は、どんどん大きくなった。


「一体全体、どこにスイッチがあったん……?」

 瑠奈は、俯いて首を横に振りながら独り()ちた。

 あきらめたのだ。こうなったら、蒼貂熊のことなど関係なしにヨシフミはキリスト・ラーメンを食べに行くに違いない。

 東北まで飛んでいける無尽蔵の体力と、近頃得つつある経済力の前に、瑠奈に止める(すべ)はない。


「そんな力説している間があったら、ここから逃げよ」

 ようやく瑠奈が言えたのはそれだけだった。

第12話 バレた?

に続きます。

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