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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第二章 人外のふたり

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第9話 蒼貂熊の設定


 話は戻る。

 ヨシフミは瑠奈への質問、「蒼貂熊(アオクズリ)がどこから来たんだと思う?」を続けた。

「2つ目、一般論としたら、僕にはわからないんだよ。だから聞いているんだ。

 東北地方に蒼貂熊(アオクズリ)がこちらに来る異世界への通路があるって話は知っているけど、その異世界がどこか、ということだよ」

「だけど、わかることもあるね」

 瑠奈の言葉にヨシフミは頷く。


 そうなのだ。

 異世界への通路の位置についても、気が付いていたことはあった。

 そして今回実際に蒼貂熊と戦って、それ以上に知ったことがある。蒼貂熊の身体の生気(プネウマ)は、明らかにこちらの世界の生き物より濃いのだ。

 こちらの世界の環境中には、そこまで生気(プネウマ)は存在しないのに、である。それがどういうことか、この2人にはわかっている。


 考えてみれば、どのような意味でも蒼貂熊の身体は異常なのだ。

 直接に戦ったのは初めてでも、ニュースとかで事前知識はあった。そのときから持っていた違和感は、今回「異常」と言い切れるまでの確信になった。


 例えばだが、百獣の王のライオンが異世界に行っても百獣の王足りうるかといえば、それはかなり難しい。なにも物理的に戦って弱いということではない。まずは、異世界の生物を狩って食べて、それが毒にならない保証はどこにもない。毒にならなくても消化されないというだけで、喰っているのに飢え、垂れ流しになってしまう。さらに、異世界には異世界の細菌やウィルスがいて、喰うというのはそれに感染するリスク以外の何物でもない。

 しかも、従来持っている免疫機構が、そのまま異世界の細菌やウイルスに機能すると考える方がおかしい。

 そうなると、農産物への被害がとか、山の中の野生動物が喰われているということ自体が、そもそもおかしなことなのだ。


 2人は古い映画だが、火星人が攻めてくる「宇宙戦争」ってのを見た憶えがあった。

 科学力で遥かに勝る宇宙人が地球に攻めて来て、人類の反撃はすべて無力だった。核ですら、だ。だが、最終的に地球の微生物に冒された火星人は、ばたばたと死んでいったのだ。

 それと同じことが、蒼貂熊におきていてもおかしくなかった。なのに、まったくなにも起きていない。


 これらのことと、生気(プネウマ)の性質を考え合わせると、瑠奈の言う「だけど、わかることもあるね」ということに繋がっていく。


 生気(プネウマ)は、生物の身体で生きている限りは生産されている。もしくは他のものを喰って奪って溜め込むこともできる。さらには、どこかの自然現象から持ってくることもできるものだ。

 そして、蒼貂熊もその3つのどれかの方法で生気(プネウマ)を得ていて、その力で免疫機構の強化をしているのだ。

 なんのことはない、やっていることは、瑠奈とヨシフミの2人と変わらないのだ。


 瑠奈は祖母の代にC.R.C.クリスチャン・ローゼンクロイツによって、ヨシフミは自らの意思によってその機能を得た。

 瑠奈は自らの生産の量が多く、さらに必要に応じてこの世界の外から生気(プネウマ)を持ち込むタイプだ。

 ヨシフミは、他のものを喰って奪って溜め込む。必要に応じてこの世界の外から生気(プネウマ)を持ち込むタイプだ。そして、そのハードルは極めて低い。


 特にこの世界は生気(プネウマ)が薄い。超常現象というほどの現象を起こすなら、この世界の外から生気(プネウマ)を大量に持ち込むことが必要となる。無から質量を生むとなれば、アインシュタインの特殊相対性理論に依るまでもなく、途方もないエネルギーが必要となるのはわかろうというものだ。

第10話 蒼貂熊の免疫

に続きます。

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