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AIと手料理

お待たせしました。

 田畑迷宮での食材探しは順調に進んだ。

 あまりに順調すぎて気づけばボスエリアに到達してしまった。

 ボスの情報を集めるといった準備はしていないのだけど・・・


「せっかくだからボスに挑んでみようか。」


 草原迷宮と同じくらいの強さだろうと思う。


「ボス情報なしで大丈夫ですか?マスター」

『田畑迷宮Lv1のボスを検索しました。ルートボアという猪が出現するとのことです。』


 アイさんが気を利かせてネット検索してくれた。

 僕から検索を頼ったわけじゃないし・・・セーフ、かな。


「アイさんありがとう。猪ってことならたぶん突進攻撃があるだろうから、ティアは正面に立たないように気を付けようか。」

「はい、がんばります!」


 気合を入れるティア。

 そうして僕らはボスエリアに入った。



 ボスエリアは葉野菜の畑だ。

 ボスであるルートボアは少し背の高い葉の影から現れた。

 僕と目が合うと、ボスは僕に向かって突進してきた。

 予想していた通りの攻撃に、僕は剣を構えつつ避けてすれ違い様にバトルスキルを放つ。

 ロングソード用に設定しなおしたスラッシュは、低コストスキルでありながらボスのHPを3分の1以上削った。

 Lv2の武器になるとこれだけダメージが出せるのか。

 それにボスの強さが草原迷宮並だろうという予想も、たぶん当たりだ。

 ボスを挟んだ反対側からティアも攻撃した。

 手に持ったメイスを叩きつけるとボスのHPが半分を切った。

 突進を避けられ、一合でHPが半分になったボスだけど反転してまた突進してきた。

 これが猪突猛進というやつか。

 同じことを繰り返すような敵は怖くはない。

 十分に体勢を立て直していた僕たちがもう一度同じように迎撃するとボスはHPが0になって倒れた。


「あっけなかったな。」

「はい、さすがマスターです!」


 ポーン 猪の皮Lv1 2個を獲得した。

     猪の肉Lv2 を獲得した。

     成長の珠Lv2 を獲得した。


 成長の珠も3つ目だ。

 やっぱり簡単な迷宮からやるほうがいいんだろう。


「じゃあ帰ろうか」


 十分な食材を手に入れたし、早く食べてみたい。

 歩いて戻る時間が惜しかったので指輪でギルドにとんだ。



 探索者ギルドに戻ると早速カウンターへ調理できる場所がないか聞きに行った。


「こんにちは」

『お疲れ様です。アキト様、探索者ランク2の条件達成おめでとうございます。Lv2の迷宮に挑戦可能になりました。』


 なんと、突然だな。

 迷宮に全部Lv1と付いていたのはこういうことなんだ。

 まあでも森林迷宮の熊の強さを考えると、Lv1迷宮で成長の珠をしっかり集めてから挑むほうがよさそうだ。


「ありがとうございます、わかりました。ところで食材を手に入れたのですが調理できる場所はありませんか?」

『調理のできる場所ですか。・・・そうですね、宿泊迷宮という迷宮があります。どの大門からも転移可能な迷宮でボスを含めモンスターがいません。そこでしたら調理に必要な機材は揃っているはずです。』


 そんなところがあったのか。


「知りませんでした。そんな便利な場所ならなぜ案内がないのでしょうか?」

『迷い人の方は宿泊場所が必要ないと聞きますので。』


 あ~ログアウトすればいいから不要ってことか。

 食事もスキルないし買って食うのが基本なんだろうな。



 ギルドの受付さんに礼を言って東の大門に向かった。

 どの大門からも入れるということで次に攻略する予定の迷宮に近いところから入ろうと思ったのだ。


 なにごともなく転移した宿泊迷宮Lv1の先は、キャンプ場というのが一番近いのだろうか。

 リアルでキャンプなんてしたことはないのだけれど、小川の傍にレンガ造りのかまどや丸太造りのロッジが配された光景はまさにそういう場所だと思う。


「こんな迷宮もアリなんだ」

「ここで料理するんですね!」


 さっそくティアがうれしそうにかまどに駆け寄っていった。

 食材はアイテムメニューから勝手に取り出して使ってもらう。

 テキパキと準備を進めるティアに料理は任せてロッジのほうを見に行く。


 ロッジの中にはテーブルやイス、ベッドが用意されていた。

 街中に宿があった意味ってなんだろう・・・深く考えてはいけないな、あれも雰囲気作りの小道具なんだろう。

 というか中にもキッチンがあった。便利すぎる。

 小さな倉庫の中に釣竿や鉈などもあった。

 武器や防具はレシピから作るゲームなのにこういうのはこだわるんだな。

 ずっとここでキャンプが楽しめそうだ。


 暇つぶしに釣竿をひっぱり出してリアル未経験の釣りをしてみた。

 アイさんに釣りの仕方を検索してもらいつつ河に糸を足らす。

 素人が簡単に釣れるわけはなかった・・・


 その後完成したティアの料理は、酒場で食べたよりもうまかった。

 ティアはまだまだですと言っていたけれど、僕のために作ってくれた料理は最高だった。


 早くほかのみんなもこの世界に連れてきてあげたい。

 アイさんもいっしょに遊べるようになればいいな。

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