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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第八話「結託転嫁とイレギュラー」


 唐突に現れた白い閃光が二足歩行のうさぎを切り裂き、床ごと夜空を切り裂いた直後、見た事のある鎧姿のメイドが同じく床を突き破って二人の前に現れる。


「……これはどういう状況ですか?」


 そう、頭に瓦礫を乗せながら、ゆっくりと振り返り、困惑気味に聞いて来たのは瑠璃も紅葉も先程、数時間前にあったばかりの相手。


 レティア・クランシェル。民間軍事会社ネットワーク・クライシスの統括社長、アリシア・ルート・ラ・クライシスのお付きの龍人メイドである。


 先程の白い閃光を放ったのも彼女なのだろう。


 彼女が持つ大剣からは、先程の白い閃光と同じ光が淡く漏れ出ており、その力の影響か、彼女が現れた瞬間から、彼女の持つ柔らかそうな雰囲気とは裏腹に、周囲には何処か張り詰めるかの様な空気が流れている。


 そのレティアから流れる独特の雰囲気に、瑠璃と紅葉は「ぴっ!?」と只ならぬ悪寒を感じ、互いに目配せをしながら、周囲の惨状を確認しつつ、ぴったりと息を合わせて言い放つ。


「「あいつのせいです」」


 そうして指を差された先、レティアが二人を庇って立ち塞がっていた眼前。


 ……。


 …………。


 ………………、そこにはうさぎの腕だけが残っていた。



「……ほう?」


 二人の言い分を聞いたレティアは、掲げていた大剣を降ろしつつ、その千切れた腕に近付き、指先でそれを摘み上げる。


「……リモートドール。なるほど、これも確かにそうかもしれませんね」


 そう、レティアは呟き、それを証拠品として何らかの透明な袋に入れて亜空間に収納した所で、瑠璃と紅葉は「ほっ……」と胸を撫で下ろすが、そこからレティアの言葉はまだ続く。


「でも……、これだけが理由ではありませんよね?」


「え?」


 その言葉にまず反応したのは瑠璃であり、紅葉はワンテンポ遅れて、言葉も無くげんなりするが、レティアはジト目で振り返った後、何かしらの着信音と共に耳を押さえると、急に笑顔になって、つかつかと二人の前に近付き、エプロンドレスの中から携帯端末を取り出して操作し二人に見せる。


 ……そこには、衛星からの監視映像なのか、先程の瑠璃と紅葉の戦闘映像と共に、拮抗状態になっていた二人の間に先程の兎が突然現れたシーンが映っていた。


 これでは、初めは二人で喧嘩していて、兎は後から来たものである事が丸わかりである。



「……嘘はいけませんね?」


 実際、兎による器物破損もないわけではないので、二人の言い分も完全に嘘とは言い切れないのだが、すべてが兎のせいだというのは流石に嘘になるだろう。


 それを指し示す様に、レティアは今の着信音と共に届いたと思われる動画を二人の顔に近付けながら「ね?」と再度確認を取る。……笑顔ながらに圧が凄い。


 それに対し、瑠璃はそう言う状況が初めてなのか、ぐるぐると目を回しながらに狼狽えるが、紅葉の方は観念したらしく、両手を上げて降伏の意を示す。


「え? え?」

「あー、うん。私は覚悟を決めた」


「よろしい」


 そうして確認を取った後、レティアは二人に更に近付いてその頭を掴み――



「えっ? え、えっ、えっ、えっ!? ちょっ、ちょっとぉ!?」

「覚悟を決めるんだー」



――ゴッ!!――



 互いにぶつけた。


「喧嘩両成敗です」


「きゅー……」

「おーけい、確かに両成敗だ。これで痛みはどっちも同じ。側頭部が痛い……」


 響く鈍痛。軽く揺れる世界。


 成敗と言いつつもかなり手加減したのだろう。


 外傷は無く、お仕置きという意味合いが強かったそれだが、お仕置きが終わった後のレティアは二人のダメージを気にして軽く頭を撫でる。


 ……が、それに対して申し訳なさそうに「くぅーん……」と耳を伏せる紅葉とは対照的に、――ガッ――っとレティアの腕を掴む者が一人。



 瑠璃である。


「え、いや、おかしいおかしい。さっきのうさぎといい、紅葉さんといい、今度はレティアさんまで……っ!?」


 だが、その涙目になりながら何かを訴えかける姿は、抗議のそれというよりは、想定外の事態に対する防御的な反射行動に近く、腕を掴まれたレティアと隣の紅葉は少し驚きつつも不思議そうに瑠璃を見つめる。


 そんな瑠璃の口から出た言葉は、紅葉にとっては想定内の、しかし当の瑠璃本人と今来たばかりのレティアにとっては想定外の事だった。


「何故! 私にダメージを与えられるんですかっ!?」


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