8 守りのサッカーと攻めのサッカー
【登場人物】
プロチーム
中岡将志(49)監督
福東悟(40)MFコーチ
田之中真(41)DFコーチ
大仏友朋(46)GKコーチ
播東英二(37)
増田隆之(37)
アマチュア選手
明智秀一郎(24)
前田慶(22)
伊賀半蔵(22)
島左近(19)
草薙太陽(16)
審判
マリオ(68)フィジカルコーチ
増田のファールから仕切り直しのアマチーム。
中岡、播道の献身なプレッシャーで、パスコースはサイドに限定され、必然的に、フィジカル差のある増田と左近の対決。それを突破しても、福東のカバーで、アマチームは攻め手を欠いている。
明智は、伊賀、前田と、始めと同じ状況でリスタートした。
ボールをペナルティーエリア外でいくら回しても、中岡たちプロチームは、また、左近と増田の体格差勝負に追い込んで行く。
一度ボール取られたらアマチームは、二度と攻撃出来ないだろう。
「このゲームは守り切る!」
明智は、急造アマチームでの勝利を探ると、消極的な攻撃を選択した。
「明智さん!こっちこっち‼」
右サイドでは、マークのない太陽が、仕切りにスペースを見つけては、飛び出すモーションを繰り返している。
明智も太陽がフリーなのはわかっているが、
「大人と子供じゃな」
と明智が、太陽を無視する一人少ない消極的なボール回しをして時間稼ぎのパスをしていると、身体をぶつけた中岡がつぶやいた。
「明智、お前のゲームコントロールは見事だが、一人少ない試合運びじゃ負けないだけのサッカーだな。でも、そろそろ息があがってるんじゃないか?」
「中岡さん、僕は負けません。このまま、時間までそちらがミスをするまでパスを回します」
アマチームは、中岡の言う通り、ボールこそ取られないものの、体格差が大きすぎる太陽を使わないゲーム運びから、プロチームより体力の消耗が激しい。
いくらなんでもこのままじゃ、やられる。
明智は、好機を探りながらのパス廻しで、消極的な時間稼ぎをし、引き分けを狙う守りのサッカーに徹した。
と、明智が伊賀にパスを蹴った瞬間、一迅の影がボールをさらった。
「へへ、明智さん。攻めへんサッカーなんか、サッカーちゃうで!」
太陽が、へへんと明智からパスカットして笑っている。
「お前⁈」
太陽は、額で器用にボールのバランスをとりながら。
「俺がゲーム作るよ」
と明智に微笑んだ。
「アホか!今は試合中や寝言は寝て言え少年サッカー‼」
と、めざとく播道がチャージング。
「えっ?」
播道が太陽の背中から肩を入れチャージングするやいなや、ボールで遊んでいた太陽が、ポーンと頭の上を弧を描いて越えるボールを蹴ってかわしゴールへ向き直った。
「播ちゃんも、ちっちゃいおっさんやん(笑)」
よーし、と太陽はいきなり、左近の足元へピタリと合わすロングパスを送って、ペナルティーエリアへ駆け出した。
「秀!慶‼半蔵‼!行くで~!ゴンちゃん覚悟せえ!」
(つづく)




