↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ兵のスペースオペラ。  作者: さうざんと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/8

モブ兵はお仕事する。


 宇宙、それは人類に残された最後のフロンティア。しかし、そこでは異なる法則や常識が存在する。


 ダイナムドライブと呼ばれる超光速駆動機関。自然発生するワームホールを誘導して超空間通路を作り上げ、光の速さより早い移動を行えるシステム。しかしその持続時間は対消滅反応による莫大な電力を使用しても数秒。その間にワームホールを通って移動することになる。電力さえ確保出来れば何度でも展開できるために恒星間移動もある程度頻繁に行う事が出来る。あとはエネルギー生産効率の問題だ。つまり、動力源としての反物質の大量生産が必要となる。


 故に通称リーフ、反物質生成加速機(フェルミオンプラント)の大量生産、及び管理運用維持が国力維持に必要となる一大プロジェクトだ。そのために多くの土建会社や公共機関が事業に参加する。場合によっては軍の運用が必要となる。事業の為の労働力は常に不足しているからだ。


 僕はその現場。リーフの増築工事をしている。その為の簡易艇、MOに乗っている。これはRFの運用能力があるが、軍艦の様な機能はなく、間違っても前線に出るような船ではない。どちらかといえば貨客船に似たもので、船内も広く、生活空間もゆとりがある。だからのんびりと作業している。まあ、長期間の航行を前提としているし。


 と、言うわけで絶賛作業中だ。


「先任、こちらの三番皮膜外しますか?」


 ザッコMO334をオペレートしている僕は、隊長に聞く。作業班の隊長は象みたいな顔の四十くらいの軍曹。大柄で人がいい。因みに船長は軍大学を出たばかりの少尉。だからMOの艦長、と、言うより船長になれたのだろう。ザッコを指揮している隊長は別なのだ。こちらはベテランの軍曹。ザッコの扱いは上手い。まあ、防衛隊所属だから戦闘よりはこういった作業のほうが得意なんだろう。


「も少し待ってください……よし、剥がして接続して下さい」


 隊長のザッコMO12201は、持っている太陽電池の接続部上部皮膜を外す。丁寧な作業。同様に僕もザッコMO12204が持っているチタン製フレームの円柱の皮膜を外す。粒子加速器のモジュール。それから接触面を接続。固定フレームを使って接着。あとは真空蒸着が終わるまで待てばいい。


 それが終われば、次の作業が待っている。と、いっても同じ作業の繰り返し。太陽電池と粒子加速器のモジュールを接続していくだけの単調なお仕事。しかし、コレに癒されるのは僕だけだろうか。


 とは言え、この作業はザッコの制御訓練も兼ねている。また、バッテリーの残量管理や擬似慣性駆動(クレア ドライブ)の使い方も工夫して、ベクトルに無理な修正をかけないようにする為にする。総合訓練の一つ。


 軍は訓練出来るし、民間はコスト削減できるし、国は余った軍人や装備を有効活用できるし、三方一両損。だっけ?


 僕らが作っているリーフは、要するに太陽電池を敷き詰めた粒子加速器。粒子同士を衝突させ、生成される反物質を磁場で絡め取り、貯槽施設に送り込む為の軌道構造体《オービットオブジェクト》だ。そのモジュールをつなげて広大な面積の軌道構造体《オービットオブジェクト》を構築展開。太陽の恵みを有効活用する。




 先の戦争でもいくらか失われており、増産が求められる軌道構造体《オービットオブジェクト》だ。


「よし次頼む。タロー」


「了解しました」


 惑星軌道より少し離れた位置にあるこの施設群は擬似慣性駆動(クレア ドライブ)によって常に軌道修正されている。軌道修正が無ければ外惑星方向の軌道へいくベクトルであるため、ある程度の安全性は保たれている。擬似慣性駆動(クレア ドライブ)による軌道修正をし続けることにより安定する。


「でも、まあ、先が見えないよな」


 僕は頷く。隊長の言うことももっともだ。リーフの総面積は惑星の表面に匹敵する。失われたリーフは使用期限を、過ぎたものも合わさって何%か。その補充だけでもマンパワーがかなり必要なのだ。しかし、その何%かでも、惑星(ワールド)の維持に必要な電力を供給するために必要であるというのだから困ったものだ。


「さ、次の奴やるぞ」


「でも、先任、他の連中の指導しなくてもいいんですか?」


 そう、僕らだけではない。ザッコオペレーターの訓練の場でもある。新米ザッコ使いたちは上手く使えないのか、あちこちでよたよたモジュールの接続作業をしている。


「ある程度自主性に任せないとだめだろう。第一、あとでオレたちが出来栄え見なきゃならんし」


「はぁ」


「それに、戦闘演習なんかあまり出来んだろ。シミュレートで十分。むしろあいつらの補正をあとでしこたまやらなきゃならんのだあ。時間はあってもいいもんだ」


「細かい指導をしなくてもいいんですか?」


 軍曹は笑う。


「基本的な指導はしてるんだ。あとは実践あるのみ。と、いうよりほとんどオートでできるからな。お前さんみたいにフルマニュアルなんてことしなくてもいいんだよ」


  それでいてオートのやつよりいい仕事してるからな、と、言う先任の独り言は無視。第一、ただ機材を、つなげるだけだから、少しまともな訓練したいと思う今日このごろ。


 とは言え、僕たち、少しは間違ってるところを見たほうが。


「おい、02.08 少し加速がついている。減速しろ。数値は確認で0きはずだ。それと03.07取り敢えずそれでいい。次の作業に進め。05.06もう一度作業手順を確認。それから進めろ。少し確認が雑だ」


「01,ちゃんと確認してます」


「そうか。だが、ちゃんと確認しろよ。安全第一」


「了解しました」


  05の答えに僕は軍曹を見る。いや、量子接続しているから見えてるわけではないけど。


 よく全体を確認しているな、と思った。


「タロー軍曹、次行くぞ」


「あ、はい、了解しました」


 それからしばらくザッコによる作業。当直交代後の終了前の朝礼

 ミーティング。軍曹は怒鳴る。


「お前ら、今日の作業で危険事項が十四あった。単調な作業だから注意力がなくなるのも分かる。しかし、われわれがあつかっているのは惑星(ワールド)の維持、そして共和国の経済を回すための最重要軌道構造体《オービットオブジェクト》だ。これ一つでどうこうなるわけではないものの、非常の際には一つ一つが重要となるものだ。常に配慮を忘れるな」


  さすが先任。僕ではこうゆうふ貫禄はつかない。年を重ねたものだけが持つ存在感。技量はともかく安心感が違う。


「軍曹からもひとこと頼む」


  え、僕?  いやいや、さっきのだけで十分でしょ。何蛇足つけようとするの?


「先任のおっしゃる通りです。補足するならばさらに先を読む、覚える。それだけで作業効率とかかわります」


 なるべく無難なことを言っておこう。


  総評のあとはシフト終了。船は一部夜勤を除いて休憩シフトにはいる。船やザッコのメンテナンス、及び消耗品の補給を簡易ドッグに繋がって行う。三船で一チーム、常に一隻が繋がっている状態だ。


  その状態で休憩。食事となる。狭い食堂兼ブリーフィングルームは、腹が減った兵隊ですし詰め状態だ。


 そこで、先任軍曹とだべりながら食事をとる。


「しかし、タロー軍曹。あのCL03からの異動だろ? まあ、わからんではないが、もったいないといえばもったいないな。お前さんくらいの技量なら最新艦に配属されてもおかしくないな」


「いえ、どこでも行かないと。一応軍人ですから」


 前の職場のことが話題になる。ここは工兵部隊と言っていい。いや、そういうよりここは半分学校みたいなもの。その前はリーフ警備。この間の戦いでは、ザッコを防衛に廻し……ほとんど損害が無かったそうだ。と、いうより、たまたま攻撃対象に入って無かったそうだ。隣接する中域のリーフには多少の損害が残っている。


「しかし、なんで隣の宙域よりもこちらのほうのリーフを増設するんですか?  損傷はこちらのほうが軽微、と、いうよりないのに」


 少し苦い顔をする先任。少しコーヒーが熱かったらしい。実は猫舌とのこと。


「単純に、企業間の圧力だよ。ここは大川コーポレーションの担当だからな」


  大川コーポレーションは、ここの大企業の一つで、電子部品の生産が主な事業の会社。この惑星(ワールド)にも多少の影響力があるところだ。


「となりの宙域の担当企業は株価を落としてな。何でも重役とアイドルとのスキャンダルが発生してて。その影響で今回の国家支援金が減額されたんだと。さらに工事予定も入れられなくてな」


 ……なんか、世知辛い世の中だ。


「ま、俺たちはできることをするべきだよな」


 先任は、そう言い笑って飯を食った。僕も一緒に食い、その後雑務を終えてコフィンに入る。


  コフィンのなかで、僕は先ずこのあいだ買ったEモデル、ホワイティの加工。Eモデルは容量さえあればいくつでもコピーや加工でできるのがウリだ。まあ、リアルな質感はまけるけど。あとは写真なんかと加工して風景のワンショットとか、動かして遊ぶなんかもできる。物理法則関係なしに。


  人によってはE美少女フィギュアで映像作品作るやつもいる。一部にはそこから大手企業に見出されて配信作家になる人もいる。さらにリアルな俳優やセットを使って配信作品を惑星(ワールド)や恒星系(システム)、各国家に配信する大作家もいる。ほんの一握りだけどね。


  そういえば、古典を題材にした配信作品を見逃していた。巨大生物が核反応で巨大化するという作品。見てみよう。


 ……見たあと後悔。いや、なんで魚食うの? しかも編集が甘くてよくない。


  調べてみると、古典を忠実にさいげんしたというらしいが……巨大生物なのになんで地下道に入ってくるの? さっきまで地上で追いかけてきた奴が!


  変に疲れてしまった僕は寝る。ふて寝する。


さあ、明日もお仕事だ。そう思いながら。




 

読まなくてもいい知識。


リーフは惑星軌道上に大量に作成されます。、そこからダイナ厶ドライフシステムまで、無人船で反物質を、輸送します。だいたい恒星を挟んで惑星の反対側にダイナムドライブシステムは作られてます。


艦船との連動システムがありますので、それがないと超光速移動はむすがしいことになります。


惑星開発の手順。


1。地道な宇宙観測。


2。環境が整った恒星系のリストアップ。


3。資金の調達。組織の編成。場合によっては新国家樹立。


4 。ダイナ厶ドライブを使っての無人ブローブ投入。量子通信による調査、確認。


5。採算が取れる恒星系と判断されたら分割したダイナムドライブとリーフを現地に送る。この時点で有人艦船を送ることもある。その際は数年間にわたり人類世界に戻れないことになる。無人艦船の場合は時間が長くかかることもある。(プロジェクトのアクシデントに対する組織的な対応が弱いため)


6。現地ダイナムドライブ及び物流機構の完成を、もって、惑星のテラフォーミングを行う。資源などを開発する際は、開発用のオブジェクトを生産、運用していく。


7。開拓民の受付開始。後は開発が随時行われていく。


テラフォーミングがなければ開発はは非常に速い。生活空間を輸送するだけだから。


経済的に発展した恒星系が惑星開発するなんてこともある。開発断念して、崩壊したなんてことも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。