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27話 ボードゲーム、やんない?

視界いっぱいに広がる金色の草原に、「綺麗だ」とかそういう言葉は出てこなかった。


サーッと吹き抜ける風が草草と俺の耳を揺らし、この景色が無限に続くものだと錯覚してしまう程の開放感を覚える。


が、アリスは首をひねっている。


「どうしたんだ?疲れたならちょっと休むが・・・。」


「同じようなルートで来たのに、おかしいっスね・・・私が通った時は、こんなに黄色くなかったはずなんスけど。季節で色が変わる種類の草でもないのに、謎っス・・・。」


「魔物の影響、とか?」

「そうかもしれないっス。・・・立ち止まっててもしょうがないっスね!じゃあ、危険そうなら倒すってことで。行くっスよ!!」───




──用心しつつも、俺は天国でピクニックをしているかのような気分で草原を進み、何事もなく夜を迎えた。


しかし、全く生き物が確認できず、強い違和感が胸に残っている。何事もないと良いんだが・・・



と思ったら最後、二人が寝付いても目が覚めっぱなしだ。この草原の生き物を全て殺している奴がいたら・・・などと考えると、気が気ではなかった。

滅茶苦茶に強いが、二人はあくまでもか弱い女の子だ。寝込みを襲われでもしたら、あっけなく死んでしまうだろう。なにかがあったら、俺が二人を守らなくちゃな・・・



─────!?


そう思って一時間もたたないうちに、強烈な眠気が俺を襲う。


明らかに不自然なタイミングだ。何かあってからでは遅い。急いで二人を起こして───


「──って、いない!?」


今の今まで横で寝ていた二人が、影一つ残さずに消えている。

しかも、外が明るくなっている!?


何が起こっているのか見当もつかないまま、大慌てでテントを飛び出す。




「なんだ・・・これ・・・!?」



そこには、赤黒い草原と、不自然に明るいセピア色の空が広がっていた。



「夢・・・か?」


地面の草は薔薇の花のような深い赤に変わっており、明るさから言えば空は昼になっている。しかも、さっきまで全く見かけなかった魔物たちが、平然と点在している。


・・・にしても、不自然な配色が不安を煽り、なんかいやな感じだ・・・。

五感は正常に働いているように感じるし、目に映るものは細部までしっかりと確認できるが、現実といわれてハイそうですかと納得できる訳がない。


「夢・・・そうね。夢みたいなものよ。」


小さな坂の上から、女の子が俺を見下ろしている。サイドテールというんだろうか、ふんわりした髪を赤い髪ゴム?で結んでふんわりさせている。だが一つ気になるのは、髪も瞳もセピア色に染まり、背景に消え入りそうな点だ。


一体誰なんだろうか。二人のことを心配に思いながら、思い切って口火を切る。


「君が誰だか分からないが、ここについて何か知ってたら教えてくれ。」


少女は安心を促すような笑みを浮かべて答える。


「心配しないで。すぐに元の世界に返してあげるから。」


元の世界に返す?ここは別世界なんだろうか。魔物がたくさんいることも気になる・・・まあなんにせよ、この子が何か知っていることは確実だな。


「ここは現実じゃないのか?君はここで何をしているんだ?魔物はどうしてここに・・・っと、質問ばっかで悪いな。やっぱ今のなしで。」


「当然の反応よ。こんなわけのわからないところに来たんだから。じゃあ、アンタの記憶を消して元の世界に返してあげる。それじゃあ、さようなら───」


「──うあぁあちょっと待った!!」


「なに?」


「一個聞かせてくれ。ここには君一人なのか?」


「まあ、そうね。」



それを聞いた俺は、鞄から雑貨を取り出して笑った。



「ボードゲーム、やんない?」

「やっと展開が思いついたようだな」


「そうね。」


「君は新キャラの・・・新キャラじゃないか!」


「そうね。」


「ネタバレはしてくれないみたいだな・・・。っと、『スキル弱化』の方もいろいろやってるみたいだ。ぜひ見てやってくれ。」

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