13話 手加減なんてさせてやらないさ
「門番さーん!」
城下町の門番に声をかける。
「お、野宿の兄ちゃん。どうしたんだ?」
「王様に喧嘩売りに来ました。第一王女とデートでもしようかなと思って」
「いい度胸じゃあねえか。・・・だが今はそれどころじゃないぞ。国王はその第一王女様使って戦争に勝って、町を発展させようとしたんだが、王女様は断固反対。それならってんで、王女様を隣国のわがまま王子と婚約させたんだ。それも嫌がった王女はお城の檻の中。それでも行くのか?」
なんだと?!自分の娘を、ラウラを何だと思ってるんだ!!
「行きたい理由が増えたくらいですよ。国王は、俺が倒す。」
「シオト=カザマは・・・っと、あった。挑戦資格ありだとよ。アンタは死人を出さない保証がある。こいつが貸し出しのルーンソードだ。さあ、行ってこい!!挑戦者警報オンだ!」
───ブザーと同時に門が開き、城まで一直線の街道に明かりが灯る。
ルーンソードを持った兵士が緊急配備され、王を倒せばクリア、戦闘不能でゲームオーバーらしい。で、この『王様チャレンジ』は町の名物行事なのだという。
人々は街道沿いに集まってきて、賭け事なんかしながら盛り上がるのだそうだ。
・・・なんか、思ってたのと大分違うんだが。こんなふざけた感じでいいのか?ラウラの婚約破棄とかもできるんだぞ!?この国の常識は、向こうのものとはかけ離れているようだ。
「・・・いや、ふざけた感じでもいいくらいに実力があるってことか・・・だが!」
だが、俺のやることは変わらない。王を倒して、ラウラと会う。それだけだ!
俺は剣を持って走り出す。と、街道の横から兵士たちが飛び出した。
「ここは通さないぜ。俺はC級兵士のタッパ。いざ尋常に───」
「こんなネタっぽい雰囲気なことある!?ふざけやがってぇ!」
兵士を吹っ飛ばしながら駆け抜けると、歓声が上がった。
城に近づくにつれ、兵士は強くなっていくが、俺の剣術で十分通用するようだ。
城壁の前には、見慣れた顔が待ち受けていた。
「リュークじゃないか!!」
「ついに来たな、シオト。バラク兵士長代理として、全霊を尽くす。いくぞ!!」
「俺も、手加減しないからな!」
「ハッ、笑わせる。手加減なんてさせてやらないさ!ハァッ!」
──────!!
剣同士が触れ合うと、ガキンッ!と金属音が鳴り響く。こんなに近くで聞いたのは初めてだ。
「国王には!何を頼みに来たんだ!?入国許可だけじゃ!ないんだろう!?」
「クッ!ラウラの!解放!しにきたんだけど!お前、強っ!!」
激しい剣戟の中、鍛え抜かれた剣術で押されてきている。このままじゃジリ貧だ。何とかしなければ。後ろに跳んで距離を取る。
「王女様の解放?相変わらず神経の図太い奴だ。だが、俺に勝てないようじゃ、王には到底及ばないぞ!」
「勝って見せるさ!」
「やってみろ!!剣技:硬派突!」
強力な突きがくる!
「砂塵!と風破!!」
剣先から巻き起こる砂埃を風に乗せ、リュークにぶつける。
「な、魔法だとぉぉ!?だが!目つぶしには慣れているっ!」
兜を深くかぶり、目庇のようなもので砂を防がれた。ラウラの閃光で対策してやがったか!が、すかさず風歩!
「な、消え───」
「取った!」
空中で剣を振り下ろし、相手の上半身を地面に叩きつける。
リュークはうつ伏せでダウンしている。
「勝負あったな。」
「クッ、次は負けんぞ。行け!」
「了解!」
「だから、敬礼の仕方がだな!!おい待て!───」
「後でたっぷり聞くよ!じゃあな!」
城門をくぐり抜け、城の内部へ突入する。
「王妃が逝去なさってから王はなにか変だ。頑張れよ、シオト。」───
「人が、いないな。」
絢爛豪華な内装だが、兵士すら一人もおらず、しんとした空気が立ち込める。やっとシリアスな雰囲気になってきたな。
「にしても広いな。王がいるのは・・・・・・ああもう!片っ端から探してやる!」
・・・
「───・・・・・・」
(今の・・・ラウラの声か?)
石階段が地下へと続いているようだが、その先で泣き声がする・・・!
階段を駆け下りる。間違いない、彼女の声だ。
「───・・・。誰か・・・助けて・・・・・・!!
「っ──!!」
泣きながら助けを呼ぶ声に応えようと口を開くが、踏みとどまった俺はその場で立ち尽くす。
(今彼女のもとに行って、俺に何ができる?かっこいい言葉で慰めるのか?部外者の俺が?白馬にすら乗れない俺が、ラウラの何を分かってやれると言うんだ・・・!!)
俺は踵を返し、やってきた階段を駆け上がる。
(情けない・・・・・・情けない!!)
自分の無念から逃げるように走ると、大きく煌びやかな扉の前に出た。
両開きのドアを思いっきり開く。
玉座に座っているのが、国王であるラウラの父、アデル=ウィルグランドだろう。それ以外は誰もいない。
学校に侵入した不審者とは全く違う、異質の威圧感を放っている。だが、尻込みしている暇はない。
「・・・何の用だ。」
落ち着いているが力強く重たい声だ。カリスマというのはこういったものを指すんだろう。
しかし、ラウラへの仕打ちが本当なら、俺は立ち向かわなくちゃいけない。
「ラウラは・・・どうしたんですか・・・!」
「王である私にたてついたから、地下牢に閉じ込めている。」
この王は、彼女の泣く声を一度でも聞いたんだろうか・・・だが、どちらでもいいことだ。
「だったら俺は、……あんたを倒してラウラを助ける!!」
「助けるだと?なにから。」
「ラウラのことを物みたいに扱う、あんたからだ!!」
「ほう。・・・いい度胸だな。・・・他の家のことに口出ししたいというなら・・・やってみろ」
お互いに剣を構え、闘いが始まる・・・!!




