24.ギルド名は?
アルスとリナは任意聴取という形で、憲兵隊の詰め所に連れて来られていた。
アルスは、傷害事件を起こした犯人。
と、言うよりは参考人として扱われているような感じがしている。
「まだかかるんすか?」
細かな状況説明もしたし、傷害の現行犯といった事でも無いらしい、事情徴収に飽きてきたアルスは軽くイラつき始めていた。
なにせもう3時間も拘束されているのである。
名前、どこからきた、なにしに来た、どうして揉めた等々根掘り葉掘り聞かれまくった。
因みにリナはアルスに寄りかかり幸せそうな寝息を立てている。
目撃者の証言から非は4人組の男にある事は、憲兵隊の隊長「ジェロニモ」にも分かりきっていた。が、その4人組が問題だった。
4人組は最低にして最強と謳われる何でも屋ギルド「アスペルデウス」の一員なのだ。
「アスペルデウス」は依頼があれば何でもこなす。人攫い、暗殺、護衛、警備その他何でも。
依頼の達成率は100%と言われるほど、確実に依頼をこなす、、、のだが、仕事が終われば人間としてはただのクズの集まりだった。
通常であればギルド協会からギルド登録抹消されてなければおかしいのだが、飛び抜けた実力、国の要人の汚れ仕事を担っている関係から、ギルド協会の中でもトップクラスの権限を持つギルドとなっていた。
そんなギルドに所属する4人があっという間に叩きのめされたのだ。。。。正確には叩きのめされたのは3人、1人は恐怖で精神異常をきたしている。
アルスからは魔力など少しも感じないのに。。
「あ〜、、、まあ、いっか。お疲れさん。長い時間拘束して悪かったな」
ジェロニモは一瞬考えたがアルス達を解放する事にした。
アルスの話しではゴードンの叔父貴と面識があるらしいし、嘘を言っている様子では無い。
危険な奴では無さそうだし、此奴がどういう奴なのか後で叔父貴に聞けば良いや。
それがジェロニモの出した答えであった。
「いやいや、とんでもないっす。リナ起きろ!行くぞ」
「ぅん〜、、終わったのかな?」
アルスに起こされたリナは寝ぼけ眼で伸びをしている。
ジェロニモはそのリナに警戒の目を向け考える。
アルスとは対照的にありえない程の魔力を纏っているこの淫魔族は要注意だな。
、、、いや、金髪ショート、リナ、淫魔族。
「ひょっとしてララさんトコのリナか?」
ジェロニモはハッと思い出したように口にした
「うん。そ〜だよ〜」
リナは少し不思議そうな顔をしながらいつも通りの口調で答え言葉を続ける
「ララおばあちゃんを知ってるのかな?」
いやいやいやいや、ララの店のリナ、ルナ、レナと言えばこの界隈では知らないものはいないくらい有名である。
かつて1人で大国を滅亡させるとも言われた淫魔族のララ。そして、かつてのララを凌ぐとも言われている3人娘の魔力総量。
その絶対的な力と比例するかのような彼女達の性欲。
彼女達と1回でもしたならばヤミツキになってしまうらしい。
男であれば是非是非一度はお相手して頂きたい。
ジェロニモはララと面識はあるがパステノスの町まで行く労力や給金の少なさを考えるとララの店に行く気にはなれなかったのだ。
ジェロニモは「一晩だけ」と喉まで出かかったのを辛うじて我慢した。
アルスが暴れた経緯を思い出したからだ。
「いや、まあ知っているという程では無い。引き止めて悪かったな。行ってくれ」
ジェロニモは平静を装いアルス達に部屋から出るよう促す。
「リナ。行くぞ」
「うん」
アルスとリナはジェロニモの言葉を聞きすぐに部屋から出て、自警団詰所の外へ向かうのであった。
「ま、なんかあっても俺の手にゃ負えねーやな」
ジェロニモは部屋の窓から見えるアルスとリナの背中を見ながら1人呟いた。
本来であればジェロニモはアルスとリナを解放してはいけない立場である。
ドワルフ共和国の西方の国々では小国同士の小競り合いを止め連邦国を設立する動きがあるし、北方ではドミヌス王国が勢力を伸ばしている。東方ではまだまだ小国同士の対立が続いているようだが。。
現在ではドワルフ共和国に戦争を仕掛ける国は無いが、この国に匹敵する程の大国が近い将来出来上がるかもしれない。
そんな世界情勢の中、得体の知れない強大な力を持った人間を無条件で解放するなど憲兵隊隊長として失格だろう
。
ジェロニモもそんな事は百も承知である。しかし、そんな事はジェロニモには関係無い。
自分が問題なし!と、思ったら問題なしなのだ。
今回に関してはジェロニモは後々後悔する事になるのだが、、、まだ今の彼には知る由もなかった。
「さて、どーすっかね?」
「そ〜だね〜」
アルスとリナは街中をブラブラとアテもなく歩き始めた。
宿屋に泊まるにしてもまずは金を工面しなければならない。
リナの話しではギルド協会にてギルド設立申請を行えばギルド協会に来ている様々な依頼を受ける事が出来るらしい、そして依頼をこなせば報奨金が支払われる仕組みになっていると、、、
「とりあえずギルド登録してみるか」
「え?2人だけで??」
アルスの突然の提案にリナは驚きを隠せなかった。普通はギルドは少なくても7.8人〜多いと100人程にもなるのだから。
「だって1人でも平気なんだろ?」
「うん、そうだけど」
「じゃ、2人で問題なし!」
リナはアルスの顔を見て引き止めるのを諦めた。
どう見ても顔に「決定!」と書いてある。
「あそこの大きい建物がギルド協会の本部だよ」
アルスが決めた事なら従うまでだ。
そう決めたリナはアルスをギルド協会の建物を案内する事にした。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「以上でギルド設立の手続きは終了です。何かご質問は?」
アルスとリナはギルド協会本部に着くとすぐにギルド設立の手続きを行った。
手続きは簡単でほんの2.30分で終わり
4大注意事項
1つ、ギルド同士のトラブルに関して協会は関知しない
1つ、ギルド協会を介さずに依頼を受ける事を禁止する
1つ、上記の違反にはギルド協会による粛清を行う
1つ、報酬の受け取りは依頼者から自己責任で
と、書かれた紙を全ての手続きが終わった後に手渡された。後は細かい規定は無いらしい。
「依頼はどこで受けられるんですか?」
「あちらの掲示板に貼り出しています」
アルスがカウンターの女性が指差す方を見ると、壁一面に貼り紙がビッチリと敷き詰められていた。
アルスは「どうも」と言いながら壁に向かって歩いていく。
「ん〜、やっぱり騒がしいね〜」
リナはアルスの腕に顔が半分隠れるくらいにしがみついている。先ほどの件もあるし、アルスがまた暴れ出す事になる事態にならないか内心心配しているのである。
ちなみにギルド協会の内部は役所のような作りになっている。雰囲気は、、、、例えて言うなら市役所のロビーに、不良の兄ちゃんや土方の兄ちゃん、堅気では無い職業の人。が、たむろっている感じだろう。
「まあな、ところですぐに金になる仕事無いか?」
依頼の紙がありすぎてアルスは自分で探す気が失せて、リナに問いかける。するとリナはアルスの腕にくっ付けていた顔をピョコっと上げ、貼り紙をゆっくり見渡し始めた。
すると
バタァーン!!!
と、ドアが勢いよく開く音が聞こえ怒鳴り声のような話し声が聞こえてくる
「じゃあお前は尻尾巻いて逃げてきたのか!!」
「しょーがねーだろー、あいつは只者じゃねーよ!」
2人の男が周りの迷惑を考えずに怒鳴り合いながらギルド協会に入ってくる。
すると同時に皆出て行き、協会内には2人の男とアルスとリナだけになっていた。
「よう。精神面はもう立ち直ったのか?」
アルスは入ってきた1人の男に歩み寄った。
「ひぃぃいい」
途端に男は足を竦ませた
「情けねーなぁオイ」
それを見た連れの男はため息混じりに言いアルスとリナを観察する様に眺めた。。。なるほど、確かに男の方からは魔力は微塵も感じられない、、が、女の方はどうだ。
あり得ない程の魔力が感じられる。容姿に目が眩んでそんな事も気付けなかったのか全く。
と、考えながら男はアルスとリナに
「俺はアスペルデウスのギルドマスターやらせてもらってるシンってもんだ。ウチの者が失礼したようで申し訳ない」
と、言ってきた。
「俺はアルス。こっちがリナだ。まあ、、こっちもやり過ぎたし別に良いよ。それより今すぐ金になる仕事は無いか?」
アルスは全くいつもと変わらずにいる。その様子を見たリナはホッと胸を撫で下ろし「うん。私のアルス君はそんなに狭い心の持ち主じゃ無いんだもんね」と心の中で呟いた。
「失礼の詫びに仕事は分けるぜ?ま、飲みながら話すとしよーかい」
シンはアルスが強いという事を信じられないでいる。。
そしてリナがアルスに肉体強化の魔法をかけたのだと仮説を立てた。。。
いや、仮説では無くそう思い込んでいた。
そうとなればアルスに反魔法の魔法を掛けてしまえばアルスの肉体強化の魔法は解けるはずだ。
あとは、強大な魔力を持つとは言え淫魔族1人だ。なんとでも騙せる。
しかし、リナ。リナって聞いたことがある気がする、、ま、どこにでもいる名前だろ。
そんな事を考えシンはアルスをアジトに招待する事にしたのだった。
「おし、お邪魔するわ」
「わ〜い、飲み会だ〜」
未だに震えている男を引きずりながら、2人を案内するようにシンは歩き出した。
ギルド名は次回までに考えます、、、えぇ、きっと、、、




