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長い事考え抜いて選んだのはフレアスカートというものだった。俺は女性のファッションに全然詳しくないから、フレアスカートと言われても説明はできないが、膝下まであるフワフワのスカートなんだそうだ。それに合わせた上着も作ったらしく、2人共機嫌がいいので茶化すのは止めておこう。


 その時に、俺はどうしようかと話した所、スラックスにジャケットで問題ないんじゃないかとの意見をもらった。それであれば俺も制作しておこう。


「それで明日なんだけど、この服を着たまま森を歩いて平原も歩いて町の門から領主邸ってのはきついよね」

「それでおじさんに提案があるのだけど」

「お、おう。一体なんだ?」

「町の中で人気のない所を探して、そこでシャワー室の扉を出してもらって着替えようと思ってるのだけど」

「なるほどな、それでいいんじゃないか?せっかく作った服で森歩きもなんだしな」


 いとも簡単に明日の打ち合わせが終わってしまった。まぁぶっちゃけ俺達はこの世界で責任のある立場でもないし、明日はただ貴族飯を食べるだけの事…って、あれ?もしかしたら貴族にコネを作るチャンスなのでは?良い貴族なのか悪い貴族なのかは知らないけど、わざわざ褒美を出そうとするって事は向こうも俺達と接触がしたかった…とか?

 あり得るかもしれないな。衛兵には俺が収納持ちだと匂わせたし、魔物に襲われた馬車ってあの時のだろ?そうであれば霞の戦闘力や美鈴の治癒、そして俺が運転する車も見ていたはずだし。

 これは少し警戒しておいた方が良いかもしれないな。2人にも情報を共有して…って、2人共いないし。


 2人揃ってトレーニングルームにいた、勤勉なのは良い事だから話は後ですることにしよう。


 そんなこんなで夕食も終わり風呂にも入った、後は寝るだけなんだが…やはりマイホームはいいなと改めて思う。もう完全に自宅気分で過ごせるのでリラックスできるし、町の宿に一度泊まった事があるが、なんだかんだと周囲が気になって熟睡できなかったからな。

 こんな知らない世界にいるのに、周囲には魔物や盗賊が蔓延っているのにもかかわらず、完全な安全地帯でゆっくりと休めるというのは贅沢な話だ。カオリとレイコはちゃんと休めているのだろうか、主導権はカオリが握ってそうだったが、魔法を覚えてからのレイコも意見を口にするようになってたからそろそろ喧嘩でもしてそうだな。


 まぁいない奴らの心配しても始まらないか、本人達の意思で俺達と別の道を進んだのだから気にしても仕方がない。それにしても夜は暇だよな、やる事もないし寝るか。



異世界生活38日目


 自然に目が覚めたにもかかわらず、時計は4時を示していた。うん、おっさんは早起きなんだよ!


 ベッドでゴロゴロしてても落ち着かないのでロビーに出て来てやることを探す。弾薬の補充とガソリンも作っておかないとな、軽四駆だから燃料タンクが小さいのでたくさん入らないから、頻繁に補充しておかないとどうにも落ち着かない。自衛隊のジープみたいに後部ハッチに携行缶を取り付けておいた方が良いのかな、時間もあるし探してみようか。


 見てみると、後部ハッチに取り付ける部品と専用の携行缶はあった。それ以外にもルーフキャリアだったりロールケージだったり、果てはタービンやらインタークーラーやら。優遇されてるなジ○ニー!しかし部品があったとしても取り付けられないだろ!


 まぁいいだろう。荷物はマイホームの物置を使うからルーフキャリアは必要ないし、ガソリンを車内に置くのは匂いが気になるからそれだけでいいか。後部ハッチにセットしてあるスペアタイヤを抑えるための金具に後付けするタイプだったので、これなら個人でもできるだろう。


 早速制作を開始して、待っている間にガレージに行って工具の確認。ガレージと銘打っているだけあってかなりの工具が置かれている、素人には何に使うかもわからないような物もだ。


 先だって制作していた弾薬は物置に移動、これも量があると重いから持ち歩くには厳しいんだよな。製作が完了したら早速取り付けだ、とはいってもこれはガッチリ締め付けるために力は多少必要だが知識はそれほど必要ではない。

 スペアタイヤを外してガレージ内に置き、取り付けキットを新たに付けて携行缶をセットし作業は完了。工具さえあれば大した作業ではないんだよな。


 朝から手が汚れてしまったがいい時間潰しが出来た、ガレージがもうちょっと広ければもう1台作っておいて保険にするんだけど、2台置くには微妙に狭いから腹が立つ。


 軽くシャワーを浴びてロビーに戻ると霞が起きていた、時計を見ると6時半だから起きてても不思議ではないか。


「おはよう、朝からシャワーなんて珍しいんじゃない?」

「おはよう、車をいじってたら汚れちゃってな。時間もあったしついでに汗も流しとこうと思ってな」

「車?何かやったの?」

「特に何かって訳でもないんだけど、燃料の携行缶を取り付けたんだよ。緊急時に急いで給油できるようにな」

「そうなのね、私は免許取れる年齢じゃなかったからあまり車には詳しくないんだけど」

「まぁどこでもガレージが出せる以上必要のない措置かもしれないけど、あれば便利?程度の物だよ」


 霞は紅茶を淹れてソファーに座って飲みだす、コイツがやると似合うな。これが美鈴であればコップに牛乳が似合いそうなんだが


「今日の夕食会で隣国の話はするの?」

「んー、貴族にもピンからキリまで色々といるだろうけど、まぁ会ってからだな。無いとは思うけど、この国を裏切って、勇者の恩恵にあずかろうと動くのかもしれんしな」

「まぁ貴族のイメージって平民いじめて搾取してるって感じのものが多いから仕方がないわ」

「それに先日の執事も腹黒い雰囲気あったしな、話すとしても軽い感じになるかな」

「わかったわ、そんな感じで行きましょう」


 紅茶を啜る霞を見ていたら俺も何か飲みたくなってきたな、コーヒー牛乳でも飲むかな!


 美鈴が起きてくるまでの間に朝食の支度を済ませておくか、特に急ぐ必要はないけど、今日は昼くらいまで狩りをするつもりだから準備は万端にしておいても何も困らないからな。


 こうして今日も一日が始まった

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんだかんだ言って、やっぱり絆されてたんですね。
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