心情2
それから何時間たったんだろう…
登ってきた道を眺めていた…
待っても来ない援軍を待つ…
遠くで銃声が聞こえてきた…
「隊長…」
隊長達が進んでいった方向から聞こえてくる…
急いで他の部隊に知らせなくてわ…
「隊長、待っていて下さい。すぐに援軍を連れて戻ります。」
来た道を脚を引きずりながら戻っていく…
脚の感覚が段々なくなってきた…
「急がなくてはならんのに…皆の元に早く…」
降っても日本軍の姿は見当たらない…
「どこにいるんだ!増援部隊が来るはず……なんで誰も来ないんだ…このままでは……皆の元に俺だけでも戻ろう。」
痛む脚を引きずりながら登っていく…
近くに落ちてた枝を杖代わりにした…
ハエが脚にまとわり付いて来る…
「いたっ…もう夜が明ける…陽があるうちは動かない方がいいな…もしかしたら、夜には援軍が来るかもしれない…」
近くの木の下に穴を掘って寝た。
昼間は敵幾が彷徨いているから歩けない、夜を待とう…
腹が減った…
喉も乾いた…
脚にはウジがわいている…
このまま俺は死ぬのだろうか…
いや…まだ死ねない…
仲間たちの仇を討つまでは死ねない…
差し違えても仇を討つ…
気がついたら夜になってた…
隊長達はどこまで登ったのだろう…
援軍が来る気配もない…
ならば俺だけでも皆の元に行かなくてわ…
脚のせいで思うように前に進めない…
「隊長…皆…待っててくれ…」
しばらくすると、鼻に付く臭いがしてきた…
なんだろう?…
次の瞬間、月明かりに照らされた仲間たちの無残な射殺体があちこちに倒れていた。
「あぁ…皆…」
隊長の姿が見えない…
「隊長!隊長!」
小声で叫んでみても返事は返ってこない…
ガサッガサッ
なんだ…?
「誰かいるのか?」
「誰だ…」
「新垣だ!どこにいる?」
「林の方に来い…」
脚と腕を撃たれ、頭には砲弾の破片が刺さっていた。
「大丈夫か?」
「あぁ、手も足も出ないとはこの事だな…皆突撃して行ったが…あっという間に皆倒れていった…」
「隊長は?」
「隊長は…生き残った奴らを連れて行った…」
「そうか…」
「俺はしばらく気を失っていたみたいで…そこに倒れてる奴に聞いたんだ…もう息絶えたがな…」
「そうか…」
「俺も、もう無理みたいだ…すまないが…俺の形見を持って行ってくれないか…」
「あぁ良いとも」
「すまないな…これを…皆と一緒に………」
そのまま息絶えた…
涙が止まらなかった…水も飲んでないのに涙は出るんだなと不思議に思った…
隊長達の元へ急がなければ……
少し先の方から光が見えてきた
「隊長…」
気付いたら走り出していた…
痛みのある脚も引きずりながら…
近付いてみると鼓膜が破れるほどの銃声…
光っていたのは弾丸だった…
「あっ…皆…うっ…」
胸の辺りに痛みが走った…
手で触ってみると血が流れていた…
“俺はこんな所で死ねない…みんなの仇をとるまでわ…まだ…死ねないのだ…”
意識が遠退いていく…
みんな…
「お疲れ様でした。大丈夫ですか?」
「あっそうか…こっちが現実か…」
「はい。ご気分はいかがでしょうか?」
「いい訳ないよ…どのぐらい経ったの?」
「丸二日経ちました。その間、点滴で栄養補給させていただきました。」
「そうか…なんか全部見てみるとあっけなかったな…人間って簡単に死んでしまうんだな…」
「……」
「始めは自分だったんだ…途中から俺はアイツになってた…生きたいって本気で願ってた…」
「失礼ながら…あっけなくはないと思います。皆さん必死に戦っていました…価値観の違いかもしれませんが…そのお言葉は許せません。」
「すみません…言葉の表現が下手で……でも…俺は生きたかった……」
「はい。私共もご一緒させていただいてましたので……死とは不思議なものです。今の世には生きたいと願っても生きられない方もいます。そして自ら命を絶つ方もいます。そして命の重みを理解されない方もいます。あの時代は生きぬきたいと願っても生きられない方々もたくさんいました…難しいですね…」
「そうかもしれないね…俺が惹かれる部分も、そこかもしれない…命の重み…生きる意味…戦う理由…」




