心情
新垣亮 19才
現在大学生
彼の記憶を再生してみても前回の機械とは違い意識を失う事はないためか何かを隠そうとしていた…
そのため、また前回の機械を使って調べる事にした…
「新垣様、申し遅れました館長の服部と申します。これからは私が新垣様の担当になりました。宜しくお願いいたします。」
「はい…宜しくお願いします。」
「早速ですが、これからの流れを説明させていただきます。今回の機械に欠陥が見付かったため、前回使用した機械で進めさせていただきます。」
「あの……前のは嫌なんですが…」
「何故ですか?身体には害はありませんよ。」
「意識がなくなる感じが好きじゃないんです…」
「申し訳ありませんが今回はこちらでさせていただきます。」
「なら、帰っていいですか…?」
「それは残念ながら無理な話しになってしまいます。署名、拇印しましたよね?」
「あっ…」
「我々に一任するという署名でしたので…一度、機械に入って頂いて駄目だと思った場合には叫んで頂ければ止める事も出来ます。新しくシステムに組み込みました。いかがですか?」
「感覚がない、自分の意識でもない時に叫んでも解るものなんですか?」
「はい。腕にもう一つ心拍数を計る機械を付けて頂きますので確認出来ますよ。」
「それなら…」
「ありがとうございます。それでは、こちらにお座り下さい。」
「はい。」
「いってらっしゃいませ。」
この感覚が嫌いなんだよな…
でも、一番始めと違ってるような…
あっ…明るくなってきた…
また、あの船だ…
「新垣!なんだ、その面は。緊張してるのか?」
「そんな訳あるか、ただ…嬉しいだけじゃ」
「何が、そんな嬉しいんだ?」
「お前と一緒の隊になれた事がじゃ」
「そうだな。他の連中は逝ってしもうた…お前と俺は一緒だ!」
「絶対に離れんからな」
「あぁ、死ぬ時も一緒や」
こんな事、話してたのか…
だから、起きた時に悲しい気持ちになったのかな…
「新垣!島が見えてきたぞ!」
「ここらは、暑いな…見たことない木がいっぱいじゃ」
「本当だな…なんて言うヤツなんだ?」
「俺に聞いても解るわけない」
“着艦よーい”
「砂が暑いな。新垣!見てみろ人が仰山居てる…」
「奇襲か……」
「歓迎されてるみたいだな…」
「あぁ……取りあえず荷物運ばな」
「あぁ…また叱られてしまうな」
ここが、いつも見てる夢だ…
でも、なんだか雰囲気が違う様な…
穏やかだな…
「長谷部、ここは良いところだな…食べ物も豊富、現地人も優しいな…」
「そうだな…ここも直ぐ戦場になってしまうがな…」
「あぁ…」
『貴様等なにをしておる!早よう手伝わんか!』
「はっ!申し訳ありません。」
「長谷部、ここに来て何日たったんだろうな…」
「9日間や…まだ敵さんも姿みせんな…」
「そうじゃな…」
“奇襲!奇襲!”
「なんじゃ?」
「新垣!伏せろ!うっ…」
「長谷部…長谷部…」
「一緒には無理だったな…」
「長谷部!」
そして、また銃声…
林の中に逃げ込んだ…
あっ、いつも出てくる夢の続きだ…
「長谷部…何故かばったんだ…何故…」
そうか、あの人は俺をかばって死んで逝ったんだ…
だから、夢をみるたびに悲しくなったんだ…
やっと少しづつ解った様な気がする…
また銃声…痛い…
足に痛みを感じる…真っ赤な血が地面を流れていく…
『新垣!大丈夫か?』
「大丈夫であります!」
『歩けるか?』
「大丈夫であります!」
止血をしても間から血が流れてくる…痛みと共に頭がぼーっとしてくる…
水…あっ水筒にも穴があいてる……
喉が乾いた…
『新垣…すまないが、ここで待っていてくれ…部隊がこれ以上遅れる訳にはいかないんだ…』
「大丈夫であります!まだ歩けます。ご一緒させて下さい。」
『残りの部隊も次期に来るはずだ。少しの間ここで待っていてくれ。これを。』
「宜しいのですか?」
『少ないかもしれぬが、ないよりはましであろう。武運を祈る』
「ありがとうございます。隊長殿、ご武運を。」
水だ…
少しは渇きが潤った…
隊長は大丈夫なのだろうか…




