第75話 「笑顔の理由」
少女の刃が迫るーー
リントは動かない。
いや――
逃げない!
一歩踏み込みーー拳を握る。
「……ごめんな」
少女
「おに…い…ちゃん!!」
刃が振り下ろされる!!
リントが消えるーー
次の瞬間!
少女の背後ーー
静かな一撃。
卜ン…
衝撃は最小限ーー
黒い霧だけが弾ける。
少女の目が揺れーー
紋章が震えるーー
だが…
崩れない!?
Dr.Darknessが笑う。
「甘い!」
スイッチを押す!
ドクン…!!
紋章が暴れだすーー
少女が叫ぶ。
「いやあああ!!」
リント
「止めろ!!」
コトハが叫ぶ。
「装置を壊さないと止まらない!!」
キリカ
「任せて!!」
装置へ走る。
だが――
ドォン!!
巨大マリスーー
行く手を塞ぐ。
キリカ
「邪魔だぁーっ!!」
斬撃ーー
ズドッ!!
ズバッ!!
ズバン!!
更に三体斬るーー
押し寄せるマリスの波。
ルディが前に出るーー
空間が歪み軋む。
「……ヴォイド」
静かな声。
「…エンド」
ズバァァァッ!!
空間の刃ーー
マリスの群れが裂ける。
キリカ
「今だ!!」
リントが走るーー
Dr.Darknessが立ち塞がる。
「通さないよ」
黒い紋章!?
腕に浮かぶーー
ドクン…
ドクン……
リントが腕を睨みつける。
「……それ」
「借り物だろ?」
Dr.Darkness
「力は力だ!」
互いの拳がぶつかる!!
ドガァァッ!!
衝撃波ーー
床が砕ける。
Dr.Darkness
「私は人の枠を超える!!」
紋章が増えるーー
手。
首。
顔。
リントが叫ぶ!
「所詮借り物の力だろーが!」
キリカ
「人の力で粋がってんじゃないわよ!!」
横からの斬撃!
ザシュッ!!
ルディが手を上げる。
「……空間固定」
Dr.Darknessの動きが止まる。
瞬間ーー
コトハの瞳が光る。
「三秒」
手を伸ばすーー
「クロノ・リライト」
未来が揺れる。
Dr.Darknessの動きがズレるーー
リント
「終わりだ!!!」
かつてない程のーー
拳圧からの一撃!!!
ドドォォォーン!!!
Dr.Darknessが吹き飛ぶーー
装置に叩きつけられーー
研究機器が砕けるーー
バチバチ…バチ……ッ
火花!!
黒いケーブルが切れたーー
紋章が消えるーー
少女の体が震えるーー
腕の刃が崩れたーー
人間の腕に戻るーー
少女が倒れる…
リントがそれを受け止めた!
呼吸ーーある!
コトハ
「……助かった」
キリカ
「ったく!」
ルディ
「……終わったな」
床に倒れたDr.Darknessが笑う。
「はは……」
血を吐くーー
「やはり人間は面白い」
リントが睨む。
Dr.Darkness
「だが」
最後の言葉ーー
「本当の絶望は」
ゆっくり指を上げるーー
研究室の奥。
巨大な扉を指す!
「その先だ!」
静寂…
Dr.Darknessの手が落ちる。
気絶ーー
研究室に沈黙が戻る。
キリカ
「何なんだよ…あいつ」
コトハが少女を見る。
「この子…」
リントの腕の中ーー
少女が目を開ける。
弱い声。
「……おにいちゃん」
リントの呼吸が一瞬止まる。
「こわく……なかった」
小さく笑う。
「ありがとう」
再び眠るーー
リントは黙っている。
キリカが言う。
「アンタさ…」
リントを見る…
「なんでそんな顔で戦えんの?」
リントは少し天井を見る。
それから笑うーーいつもの顔。
「さぁな」
少しだけ照れたように言う。
「笑ってないとさ…」
「守れないだろ」
崩れた壁の隙間から…
夕日の光が差し込む。
その笑顔はーー
ほんの少しだけーー
優しかった。
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