『エピローグ』+1
心地よい風が吹く――
春の海――
三人が大絶叫する
その瞬間――
グウゥゥゥ~~~ッ!!
キリカ
「ルディ…あんたねぇいい加減にしなさいよ!」
ルディ
「えっ?…ちが――」
……
「あー腹減った」
ふいに聞こえた――
その間延びした声。
!!!
三人が振り返る。
そこに立っていたのは――
パーカー姿の男。
眠そうな目。
ボサボサの髪。
リント
「なんだぁ今日は悪口大会か?」
――
―――
――――
三人
「リントォ~~ッ!!」
リント
「何だようるせぇなぁ」
「おっ!コトそれ弁当か?」
キリカの身体が震える。
一歩――
また一歩――
近づく。
そして――
バキッ!!
「……っ!!」
「……アンタ生きてんなら…」
「何で……っ…」
「何ですぐ帰ってこないのよ!!」
震えた声。
怒鳴っているのに――
涙がーー止まらない。
「……心配……したでしょーが……っ」
二年間。
押し殺してきたものが――
一気に溢れ出す。
リントは少しだけ目を細める。
そして――
ポリポリと頭を掻きながら。
「……わりぃわりぃ」
いつもの調子で笑った。
コトハ
「……ほんとに……バカ……」
ルディ
「……生きてる…マジで…!」
――殴る
――泣く
――笑う
――騒ぐ
全部ぶつける。
そして…
少し落ち着いた後――
キリカ
「……で?」
「何で生きてんのよ」
「説明しなさいよ!!」
リント
「あー…それがな……」
頭を掻きながら。
「気づいたら宇宙に浮いててよ」
ルディ
「嘘だ?…あの爆発で…」
コトハ
「何で?…どーいうこと?…」
リントは構わず続ける…
「で、何か光ってる石みたいなの飛んできて…」
キリカ
「……は?」
リント
「これ乗れば帰れんじゃね?って思って」
ルディ
「無謀…やはり…バカ…」
リント
「しがみついた!」
コトハ
「ちょ…ちょっと…」
リント
「そしたらさ――」
ふっと空を見るーー
「めちゃくちゃ綺麗だったぞ」
「地球!」
一瞬 “間” ーー
リント
「青くてさ」
「すげぇ遠くて…」
「でも…ちゃんと見えてて」
二年前…リントが消えたあの日の夜に見た彗星…
ふいに落ちてきた【懐中時計】……
キリカの手が止まる。
リント
「で、そのまま突っ込んで――」
ルディ
「死ぬだろ…普通!!……」
リント
「いやぁ俺もそう思ったマジ!!」
コトハ
「思ったんだ!?…」
リント
「でも…何かよ」
少しだけ真剣な顔。
「暖かい何かに…」
「守られてた気がする!!」
キリカ
「……」
リント
「んで…気づいたら地面に転がってて…」
「知らねぇ国で金もねぇしーー」
ルディ
「終わってる……」
リント
「そっから…二年…」
「まぁ何とか帰ってきたってわけ」
コトハ
「“何とか”が重すぎる…」
――沈黙。
その時――
コトハがふと思い出す…
「!!?……あの時」
「見たよね?」
ルディ
「…何を?」
キリカ
「……」
コトハ
「最後の夜」
「東の空――」
ルディ
「…!?……彗星!」
ふいにキリカの瞳が揺れる。
ゆっくり――
リントを見る。
リントは少しだけ笑う。
何も言わない。
ただ――
視線を逸らす…
キリカ
「……まさかアンタ」
リント
「さぁな」
軽く肩をすくめる。
でも――
その顔は…
全部知ってる顔。
キリカは――
ふっと笑う。
涙をこらえながら。
「……バカ」
「ほんっとバカ」
そして……
三人同時に。
「――お帰り!」
一瞬の静寂。
リントは――
あの時と同じ顔で笑う。
ニカッと。
「――ただいま!」
ーー 終幕 ーー
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
本作品はこれにて終幕となります。
楽しんでいただけましたでしょうか。
次回作でまたお会いできることを願っております。
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