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第十話 王様からの指令

 実家に帰った日から数日後。王様から呼び出しがかかった。

 俺が勇者パーティから外れていることはもう知れ渡っているはず。わざわざ俺を呼び出す真意が分からない。


「王様からのお呼び出し……一体なんでしょう?」


 俺の隣で頭上にハテナマークを出しながら歩くラキア。

 ラキアに声をかけるべきかは迷ったが、今は正式に同じチーム。仲間外れはよくないだろうと判断してついて来てもらった。


 玉座の間まで通されて王様と相対する。


「突然呼び出してすまなかったな、カイトよ」


 口元の蓄えられた白い顎ひげをさすりながら王様は話し始めた。

 王様と言っても、先代が早くに亡くなってしまったため、歳はまだ30代半ば。物言いはやや軽く、威厳(いげん)をそこまで感じさせることはない。


 しかし、王族にのみ与えられるスキル作成のスキルは間違いなく継承している。


「今回はお前にやってもらいたいクエストがあってな……」

「その前に王様、なぜ私だけなんでしょうか。私は勇者パーティから追い出された身。王様の勅命ならば、勇者パーティに頼むことが最善かと思うのですが」


 一番の疑問を王様にぶつける。

 これが解消されなくては受けられるものも受けられない。


「むう……それはそうなんだが……最近のお前の活躍を聞いていてな。お前が適任かと思ったんだ」


 少し安心した。

 王様には俺の力がちゃんと理解できているらしい。


「なるほど。どんなクエストなんですか」

「クエストは猛獣退治……だ」


 妙に歯切れが悪い。ラキアも不審な顔で王様を見つめている。


「正確には猛獣らしきものの退治……だな。なんとも形容しがたくてな。未開の地、北区と我がキークロス王国のはざまで獣の死体が転がっているんだそうだ。何者がやったかは分からないが、積み上げられた死体を見るに大きな猛獣が同族を殺して回っているのではないかと推測した。まだ人間に被害は出ていないが、はざまでそんなことを起こされては、いつ王国にも被害が出るか分からん」


 王様はこめかみを指で押しながら話した。

 王国内からクレームが殺到しているんだろうか。ギルドに依頼が行く前に対応を迫られていてお疲れのようだ。

 ま、サクッと解決してくるか。


「それでは行ってきます。北区の入り口に居ればいずれ出会うでしょう」

「ちょっと待て」


 王様が俺を呼び止める。


「お目付け役……というわけではないのだが、早急に片をつけてほしい案件だからな。うちの騎士団の団長も連れて行ってくれ」


 俺がサボるとでも思っているのか。

 王様のリスクヘッジも大したもんだ。


 王様に呼ばれて騎士団長が姿を現した。

 銀の鎧に銀のロングヘアー。見ているだけで眩しい。


「オリビア・マルートだ。よろしく」


 女性にしては低い声で挨拶をされる。

 近くで見るとますます眩しい。心なしか睨みを利かせているような気がするが、それ以上に鎧越しでも分かるたわわに実った乳房。これは……。


「カイト・ダーヴィンだ。よろしッ!」


 ラキアの肘鉄が俺の脇腹に突き刺さる。

 バカな。俺の目線に気付くなんて。中々やりおる。


「ラキア・シャンディーです。よろしくお願いいたします」


 オリビアは怪訝(けげん)そうな顔で俺たちを見ているが、どうやら気付いていないみたいだ。


「それでは王様、行って参ります」 


 ラキアとオリビアを引き連れて、北区の入り口まで赴くことにした。

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