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9・壁作ってたら連行されてモンスター討伐

 


 答えが出ないまま開墾…なんて余裕があるはずもなく。冬ですが可能な限りの開墾を進めてました。森を切り開いて林や平野にしたりね。冬は活動が収まるモンスターですが、春から夏はこちらに侵略するくらい活動的になるので今のうちに複数の防壁を立てたりしたりね。


 私の仕事は…


「はい、じゃあ切りまーす、思考のみんな支援よろしくねー。」


 ―よ―


 ―ゆ―


 ―う―


 ―間違えるとかあり得ないじゃないですかやだー―


 ―TPRG的にはファンブルしなければ確実にクリアってやつですね。―


 ぶいーん、すぱっ


「いやーリンカちゃんの魔法のノコギリはよく切れるねー。拡張のための木材は用意していたけど、2回目の拡張は準備がなかったからさ、大助かりだよ。」


 そう、木材加工です。事前に切り出しておいて、現地で調整してもう一度切るんですが、私なら指示線さえあれば即座に切れますからね。作業効率アップです。


 あとは


「じゃあ押し込んで固めますね、成型!圧縮!密着!」


「おし、後はセメント入れて木材をはめ込むぞ。綺麗に成型されてるから無駄なセメントが出なくて良いな。硬い氷の地面を掘らなくてもいいし」


 壁の基部の、セメントの穴作りですね。セメントは国から送られてきます。ただ木を埋めただけじゃさすがに突破されます。こういうEの僻地でも領域の拡大に成功すればちゃんとこういうの送ってきますよ。コンクリートにする砂利や砂は自前でそこら辺の小島から取ってくるんですが。


 かなり簡単なので、一応B美子をヘルプにつけて、後の思考は適当に魔素を使って貰うことにしながら作業を進めました。2回目の拡大で限界までみんなを使ってから、少しみんなが強くなってみんなの自由度も一致団結する力も増えたような気がします。魔素は確実に増えました。


 あー、牛さんまた押したいなあ。ドラム缶はまにあってます。


 そうそう、戦闘が一段落して、修理も終わったので、私に防具を作ってくれることになりましたよっ。

 ヘルメットにブリガンダインと膝あてのグリーブ出そうです!マナは防具を強化するので生身にマナで装甲強化するより、こういう防具付きで装甲強化したほうが何倍も硬くなれるんですよ!

 しかも!今回の拡大で鉱床が手に入った魔金属でです!色々混ぜた方が良い金属なのですが、単体でもただの軟鉄よりは強度が出ます!わっほい!


 どれくらいユロル包めばいいんでしょうかねー5ユロルくらい?防具の相場わかりません。


「これが私の防具なんですね!黒光りしていてかっこいいですね!漆黒の翼と名付けます!」


「すごいネーミングセンスだな。とりあえず装着してみてくれ、微調整が必要だから。」


「はいっ!」


 40分後


「ぜ、全然上手くつけられない…」


「なんでこんなに不器用なのかね…」


 つけてもらいました。おかしいなあ…


「よし、これならちょっと修正すれば大丈夫だな。寝る前には出来てるから顔をだしてくれ」


「はいっ!!!」


 私の鎧です、夢見たいですね。まぁ華々しい戦場よりもこういう所で魔法の土木作業していた方が向いてますけどね。


 今日の作業が終わった直後に鎧を受け取りに行って、お代はいらないと言われたのでブチ切れてカールさんに抗議して2ユロル支払いました。なんかまだ隠してる気がする。もっと高いのでは。むう。


 鎧ですが割と軽いので、最近日課になっているランニングの時につけて走ることにしました。1回目でぶっ倒れました。しかし諦めません。ルビーネさんに怒られても諦めません。鎧と一緒に走るんだ。



 鎧が手に入ったのでマナの展開収納を練習することに。基本的な動作なんですけれど、私あまりマナを使ってこなかったので…7人で交代しながらえっちらおっちらやってます。



 あ、救急キットの絆創膏は、キットにあるソケットに魔力燃料を差し込んだら回復しました。全快には結構燃料を使いました。くれた人は燃料を単三電池と呼んでいるようですね。これが電池…?ま、とりあえず飛行船が来たら燃料は多少買い込みましょう。


 細々としたこともやりながら延々と防壁を立てていました。木製でも強固なものにしないといけません、突破されて支配している領域が後退したら拡大戦をやり直さないといけませんからね。モンスターと人の生存競争です。万が一の事も考えて二つ目の防壁も立てたりしていました。


 それで、一つ目の防壁が1回目2回目の拡大戦の箇所全てを覆ったあたりでPDAとしては1回目の冬が終わったようです。魔道飛行船は1度だけ来たかな。はぐるまで頑張る女の子の本を5巻まで買い進めたことと、靴の購入、そして魔力燃料の購入くらいですね、買ったのは。お給料も振り込まれてて、現在の残高は購入したのを差し引いて1637.13ユロルあります。使い道がないと貯まる一方。

 ちなみに鎧一式ってどれくらいかかるのか聞いた所、魔金属の軽装なら200ユロル以上はするんじゃないかと聞いてカールさんの所に殴り込みに行きました。知らぬ存ぜぬされましたが。むううううう!!!



 とある日、防壁強化のお手伝いをしていたら、船着き場に行くように言われました。なんでしょうか?


「兵士が2名来てるから、気をつけた方が良いぜリンカちゃん。」


「え、兵士?わかりました、鎧着て行ってきます。さすがに自分で着られるようになりましたから。」


 ということで鎧を着て船着き場へ。勿論ヘルメットは外しておいてますよ。


「私がリンカですが…」


「リンカさんですね。まずこちらを。」


 といって一通の封筒が手渡されました。差出人は不明か。破いて中身を見てみましょう。…ええと一枚の手紙ですね、中身は


「次回のA53番資源島の特別制あつさくせんにすいせんするのでさんかされたし…え。どこのすいせん?え?」


「我々はすぐにお連れするようにいわれておりますので。さあ参りましょう。」


「いや、部屋に荷物が」


「引っ越すわけではないので不要です。さあ、参りますよ。」


 私は兵士に半ば強制的に高速船に乗せられ、周囲になにも話す機会がないまま島を離れることになりました。え?特別制圧作戦?なんで私が?


 …特別制圧作戦は以前にも触れましたがほぼ制圧失敗で参加者は毎回全員死亡。つまり非公式の死刑場なんです。そこに推薦されるということは死刑だぞということ。特にA53番は発見されてから427回やってすべて失敗なので死刑場として有名です。非常に大きな魔力結晶の鉱山があるということで島がとても魅力的。兵士が制圧作戦に乗り出すときもありますが、全て失敗ですね。こっちは多数の死傷者が出て撤退という形になってますね。


 私は、推薦できるほどの力を持つ誰かから、恨みを買っていたんでしょうか。村でおとなしく働いていただけなのに…



 私は実行される日までの待機室ということで狭い部屋を割り当てられました。逃げ出せないように窓はありません。魔法で壁を壊せなくはないのでしょうが、とても分厚いように見受けられます。…血痕の後らしきものも見えますね、自殺なさった方が、「結構」おられるようです。誰だって悲観しますよ…私だって…思考はみんな沈黙してます


 なんでという気持ちがぐるぐる回りながら部屋に監禁されること10日、思考がぼんやりしてきた頃に部屋から出されました。恐らく人が集まったので出発するんでしょうね。なんの準備もさせてくれない。


「えーこれから特別制圧作戦に向かう。総員輸送船に乗れ。最後は揚陸船でっしまに乗り付ける。では開始。」


 どこに乗ってもいいようなので、適当に赤の扉…ではなく輸送船にのりました。どこでも結果は変わらない。他の人も無表情か絶望の表情で船に乗っています。


 輸送船にみんなのて、出発。輸送船から見えましたが、ここは首都島の大きな飛び島だったんですね。施設から抜け出しても島からは出られないんだ。そっか。


 それほど時間がかからずに53番に到着。首都島が1番目の発見として、53番目に見つけた発見が早い島なので近いんでしょうね。


「では作戦を開始する。総員揚陸船に。駆逐できたら渡した信号弾を打ち上げるように。迎えに行く。」


 淡々としてるなー、私も淡々と船に乗ります。そういえば輸送船でスモールソードを貰いました。さすがに手ぶらで行かせるわけにはいかないのかな。スモールソードでどうやってモンスターを、いやまあいいか。


 揚陸艇がかろうじて人工的に見える出っ張りに乗り上げ、次々と出てきます。反抗した人は…殺されてますね、一応志願兵扱いで兵士ですから敵前逃亡になるのかな。ふーん。


 私も降りてみんながどう動くのか待ちます。背が低いので何がどうなっているのかわからないのもあるし。


 前に出ましたね、ついて行って展開しよう。すたこらすたこら、前に出ると前線がめまして、


 死に物狂いで戦う人と、悠々と捕食している2足歩行の巨大なヌタウナギとヤツメウナギの大群がそこにはいました。姿を想像できない人はそのままこの2つの名前で検索してみてね、かなり気持ち悪いからね。


 ヌタがパクッと人を食べれば腰から上がなくなり、ヤツメが人を食い上げれば細かい歯で身体がすりつぶされ血が飛び散ります。これは…さすがに…士気が…


 ―みんな今までありがとう。―


 ―最後にフルで魔素を使い切ってから終わりにしない?―


 ―こういう一撃死じゃ頂いたツールが全くの無意味じゃないですかやだーこっちが一撃死させましょうやだもー―


 ―計算によれば頭を爆発させれば最低限歯の攻撃はなくなる。爆発は小規模で十分よ、密閉されればされるほど爆発の威力は上がるから―


 ―TRPG的にいうとクライマックスシーンなので技能:クリティカル連発 ですね。―


 ―ウナギなら美味しいらしい。食べ物図鑑に書いてあった。―



 うん、じゃあ魔素を使い切る感じであばれようか。最後だしね。


 ターゲットは3で1思考ずつ!誘導コントロールは2思考!爆破に必要なイメージはC美で私はマスターコントロールと身体そしてマナを動かす!いくよ!


 ヒュンヒュンヒュン BOMBOMBOM!!


 3匹のウナギが貫通性マジックミサイルで口の中を爆破されて、上部構造がちぎれて死亡。


 ―脳が口の上にありそう。口を貫いて上部に刺されば口も脳も壊せるわ。―


 了解、どんどんいこう


 ばーん


 どーん


 でーん


 一気に12匹を処理した私の姿を見て、みんなの士気が上がりました。どれくらい持つかわかりませんけど、やれるだけやってみよう。



 1時間半ほど経過。ウナギを400は潰したと思いますが、味方もほぼ死にました。私はマナ装甲でなんとか死なないことが判明したので絆創膏張ってますけど、他人を守る余裕はないし…


 あと少し残ってますが、魔素はもう残ってません。終わりかな。



 周りを見渡すと死体の山。人もウナギも滅茶苦茶な量の死体が転がっています。前進しながら爆破してきたので死体の道ですね。


 ふと1匹のウナギを見ると、死体食いをしています。他の個体も死体に向かっているのがいるかな?


 …猛ダッシュで最初の地点まで逃げて、魔素を回復させればあと少しいけるかな。


 ―良い考え―


 ―あれも使おう、武器―


 ―魔素は使うけど魔素効率は良いよね、多分―


 ―ランチャーの爆発系なら数匹まとめてなぎ倒せるかもしれません。巨大なやつには成型炸薬を。―


 ―あなたなんでそういうの知ってるのーやだー―


 ―爆発は予想できるし、成型炸薬は科学事典読んでるときに書いてあったじゃないですか。理論だけですが。―


 ―TRPG的には武器を使い倒してこその物語、ですね―



 じゃあ一度全力で逃げるね。ランニングしておいて良かった。


 私は身体強化でとんずらし、死体が少ない入り口の方に。7思考で魔素を吸い始めます。


 魔道理論だと魔素は超自然的に体内に発生するものと言われているのですが、私は周辺に魔素が普遍的にあって、それを吸って体内に蓄積してると思うんですよね。思考が吸い始めるイメージをすると魔素の増え方が変わるんですよ。人数変えてやったんですけど結論としては吸うイメージで回復量が増えるんです。普通の人なら違いがあんまりわからないかもしれませんが、私はこれを7思考でやりますからね。


 すぅーーーーーーーーーーーーー


 どんどん吸って、どんどん増えていきます。私はPDWを取り出して、全長を長くして狙いを定めます。この武器はこういう使い方だよね。

 DADADADA!!いや音はしないのですが。数連射が500mくらい先のウナギにかなりのスピードで飛んでいき、身体をえぐっていきましたえええええあんな小さな弾なのに周囲にあんなに破壊を起こすのこれ!?撃たれたウナギは一発KOですね。凄い銃ってこんなに凄いんだ。


 DADADADADADADADADA


 DADADADADADA


 DADADADA


 吸う魔素と減る魔素の収支はマイナスですが、この遠距離から殺せてます。相当な魔法使いじゃないとこんなに遠くには出せないんじゃないでしょうか。連射のコントロールが上手くいかないですね。あ、単発と3回撃つやつと連射って切り替えがたしかこれで、DADADA。うん、これでいいや。しかしまだ数がいますね。ゆっくり近づかれてますし、次の方法は…


 ―あの集団にランチャー☆―


 ―榴弾が魔道榴弾と一緒なら一気に殺せるね―


 ―でも魔素食うわよ―


 ―距離と魔素のトレードオフじゃないですかやだー―


 ―TRPG的には切り札の登場ってやつですね―



 じゃあやってみようか。PDWを小脇に抱えてからランチャーを起動。時限榴弾にしてウナギ密集地に狙いを定めます。今回は弾道予測に致死半径と負傷半径って円が表示されてるね。気をつけようっと。地面に届いたくらいに爆発するようにして、発射!


 DOOOOM


 じ、地面に穴開いた。うなぎもみんな死んだ。凄い。けど予測だと後一発で魔素尽きるってさ。PDWで撃とうか。ランチャーは一旦仕舞おう。


 じり貧になりながらも順々にウナギをパイにしていきました。相当疲れてるだろうにみんな悲鳴を上げないね。


 ―生きるのに必死―


 ―必死すぎる―


 ―必ず死ぬで必死―


 ―縁起悪すぎやだー―


 そっか、私も必死。でももう身体のエネルギーが少ないなーお腹空いたし喉はカラカラだよ。


 ―TRPG的ヒントですが、救急キットに緊急食料が入ってましたね―


 ああ、あれ食べよう。距離取れるとこういう行動が出来て良いね。えーと、これだ。頂きます。パク。美味しいーこれで少ししたら回復するかな。おーし頑張る。



 そして


 あれが…親玉?


 ―白い―


 ―デカい―


 ―もう魔素がない―


 そうなんだよね。もう無理かな。とりあえず遠距離武器はみんなバックに仕舞っちゃおう。遺品整理じゃないけどこれはそこら辺に落ちてちゃいけないものだよね。


 ―無理。もう頑張れない―


 ―私も無理。もう頑張れない―


 ―発狂よー―


 実は私も混乱気味。みんなここまでありがとう。子供の頃は嫌いだったけど最近は大好きだったよ。


 これで私は気を失いました。



 ずる、ずる、ずる


 白い2足ウナギはリンカ向けて進んでいき


 うにょうにょうにょ、うぃーん、ちゅるっ


 触手を伸ばして、リンカを口元まで運び、噛まずに飲み込んだ。



 30分後



 DOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM



 大爆発とともに白いウナギは消滅し、モンスターは駆逐された。


 この周辺に生き物らしい生き物はリンカ以外はほとんどいなかった。死体しかなかった。

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