表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非科学的潜在力女子2  作者: ゆずさくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/40

(39)

 亜夢はアキナから知った事情を、美優に小声で話した。

「かわいそう……」

「アキナ。けど、寮じゃ動物を飼えないよ」

「……」

 アキナはアスファルトをじっと見つめていた。

「清川さんか、中谷さんに言ってなんとかしてもらおうか…… あ、美優の家は?」

 亜夢が美優の方を見る。

「私の家なら…… って、そうだ。ママが動物だめなのよね」

 美優も手を広げて首を振った。

「やっぱり中谷さんか清川さんに頼んでみよう」

 ホテルに戻ってチェックアウトを済ませると、三人は警察署に行った。

 アキナが子猫を抱えていると、警察署の入口で立哨(りっしょう)している警官に睨まれた。いや、睨んでいないのかも知れなかったが、アキナはそう感じて、身体をよじってカバンの中に子猫を入れた。

「(待っててね)」

 亜夢と美優が署に入ってから、アキナは遅れて署に入った。

 清川さんを呼び出して、取ってあった打ち合わせ室へ向かう。

 打ち合わせ室に入ると、中谷さんが一人奥に座っていてパソコンで何か仕事をしていた。

 清川さんが亜夢の腕をつつく。

 振り返ると、清川が手を後ろで組んで三人の方を見ている。

「それじゃ、ね」

「あれ、空港まで、車の運転するんじゃ?」

「私、別の仕事が入っちゃったの。中谷さんが送ってくれる」

「そうですか。今回もいろいろとありがとうございました」

 亜夢が深々と頭を下げると、美優もアキナも頭を下げた。

 礼を終えると、清川は亜夢のそでをつまんで言った。

「また機会があったら会いたいな」

「えっ、ええ。またいつか会えたらいいですね」

「うんと、そういうんじゃなくて。ほら、連休とかあるじゃん。休みをとって、ヒカジョまで遊びに行ってもいい?」

 亜夢は、一瞬、清川への疑惑が頭をよぎって、素直に返事が出来なかった。

「……あっ、と」

 アキナが右手を差し出して握手した。

「いいですよ。ただ、来る前に連絡くださいね」

「え、ほんと、じゃ、アキナちゃんの連絡先教えて」

 アキナと清川は何かのIDの交換をしている。

 亜夢は思い出したように言った。

「アキナ、そうだ。アレ、アレの事を清川さんに頼んでみたら?」

「……」

 アキナは首を振った。

 亜夢は、アレ、と言ったせいでアキナが気付かなかったと思い、猫のような手で顔を拭くようなしぐさをして見せた。

 それでもアキナは首を振った。

「(どうして?)」

「(もういいの)」

「?」

 アキナは上機嫌で去っていく清川に手を振っていた。

「(もういいって?)」

「……」

 アキナは亜夢の言うことを無視した。

 確かに、抱っこしていたはずの子猫がいない。

 子猫は逃げてしまったのだろうか。亜夢はしばらく考えていたが、干渉波が思考を妨げたせいで、それ以上考えることをやめてしまった。

 中谷のキーボードを叩く音が止まって、ピロリンと音がした。

「おっ、帰りのヘリの連絡がきたよ。お待たせ」

 中谷がパソコンを確認していると、また言った。

「もうこんな時間だ。途中で何か食べてく?」

 アキナがいきなり手を上げて言う。

「あっ、それじゃ、途中にあったホームセンター! 絶対そこがいい!」

 亜夢と美優は顔を見合わせた。

 アキナが同意を求めてくる。

「ね、亜夢も美優もいいでしょ? ね、お願い」

「う、うん」

 中谷は別に何でもいいといった感じで、立ち上がると言った。

「じゃ、さっそく出発しようか。ホームセンターのフードコートだと、混むかもしれないしね」

 署の建物を出て、中谷がどんどんと歩いていく。

 さすがにかなり歩いたので、亜夢が尋ねる。

「どこに行くんですか」

「ああ、ごめんね。清川くんが別の仕事が入ったせいで、私有車に乗ってくことになったんだ」

「中谷さんの車?」

「そうだよ。そこの駐車場」

 亜夢は、銀色の車にパステルカラーで絵が描かれた車を見つけた。その絵には見覚えがあった。

 立ち止まって、中谷に確認する。

「中谷さんの車って、あれですか?」

「そう! よくわかったね」

 いや、分かるよ、パソコンに似た感じシールは張ってあるし、PCの壁紙も、スマフォにもそんな絵があったじゃん。亜夢はあれに乗るとどういう風にみられるのかを考えてゾッとした。

「あの、私、痛車には……」

 美優が突然反応した。

「かわいい! 亜夢、かわいいよ、この車の絵。中谷さんのPCと同じ!」

「美優……」

 亜夢の不安げな表情をみてとったのか、中谷が言う。

「大丈夫、この絵の事が分かる人は同類だから、何も怖いことはないよ。この絵を知らない人が何を言おうが、別に気にならないし」

 亜夢はその考えもどうなの、と思った。大体、窓ガラスに絵がかかっていて、車検が通るのだろうか、しかも警察官が運転するのに…… とかそういう部分も気になった。

「とにかく! 早くホームセンター行こう」

 アキナは、なにか焦っているようだった。

 軍の空港へ行く途中の道で、大きなホームセンターに入った。中谷さんが駐車場所を探していると、アキナが言った。

「ちょっと先にいくから、車止めて」

「えっ?」

「いいから止めて」

 アキナは必死な表情で言った。

 中谷さんはホームセンターへの出入り口近くで車を止めて、アキナと亜夢、美優を降ろした。

「絶対フードコートに居てよ。あと非科学的潜在力の対策しているゲートがあるはずだから、絶対引っ掛からないで」

 中谷さんはすごく緊張した表情だった。

「?」

「乱橋くん、二人に説明しておいて」

「はい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ