表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非科学的潜在力女子2  作者: ゆずさくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/40

(40)

 以前、亜夢が見た、超能力者だけに見える幻影を仕掛けて置き、カメラで反応を記録するのだ。非科学的潜在力があるかを知る手法であり、超能力者避けでもある。大型商業施設は干渉波だけではなく、そういう対策が併用されることが多いのだ。

「えっと……」

 亜夢が説明すると、半ば聞いた時にアキナはホームセンターへ入っていった。

「アキナ、話は終わってないんだけど!」

「あたし調べたことあるから。それより、おトイレまにあわないのっ!」

 あっという間に、アキナの姿が見えなくなってしまった。

 亜夢は不安になった。

 美優と亜夢もホームセンターに入り、ゆっくりと店内を回りながら、フードコートに近づくと、亜夢は天井からつるされている装置に気が付いた。

 カメラもその装置から少しずれた位置から同じ方向を向いていて、間違いない、と亜夢は思った。亜夢は思い出したように、化粧室へ行くような独り言を言って、美優の手を引いて戻る。

「あそこ、あそのの天井にある。フードコートに入る時に油断する、と思っているのかしら」

 亜夢は指を上に向けて美優に伝える。

「あれか…… 緊張する」

「問題は先に行っちゃったアキナよ。このことをアキナに伝えないと。アキナ、一番近いトイレににはいなかったし」

「メッセージ送っとく?」

「うん」

 美優がスマフォでアキナに幻影装置の位置を知らせた。

「あっ、既読になった」

「どこにいんのよ、あいつ」

 そのまま美優が入力して、アキナの居場所をといかける。

「1Fに降りるエスカレータだって。あそこじゃない?」

 見ていると、アキナが降りてくる。

 二人が駆け寄る。

「どうしたの? 亜夢も美優も」

 さわやかな笑顔でそう言った。

「アキナが心配だったんだよ」

「え~ 大丈夫だよ? 何が見えても、怖がらなければいいんでしょ?」

「……簡単に言えばそうだけど」

 亜夢は思念波世界を使って、以前見せられた足元がなくなるような幻影を、二人に伝えた。

「へぇ。こんなだったんだ」

「こわいね」

「まあ、何かくる、と思って準備しておくしかできないわ」

 三人は互いにうなずいた。

「手をつないでいれば、どうかな」

「感覚から思念波世界を共有するの?」

「うん」

 それなら矛盾した世界を送り込んでくれば互いに比較して、すぐわかるし、一人が実世界を認識できなくなっても、思念波世界で実際の風景を送って補完することも出来る。

「それ、いいね。やろう」

 亜夢が先頭になって三人が手をつないでフードコートの入り口を通過する。

 いきなり、亜夢にはホワイトアウトするようなブリザードが吹き始める。美優は、大きな隕石が正面衝突してくる状況に、アキナは床に大きな穴が開いてそこへ落ちていくイメージ……

『見えてる?』

『先進んで』

 亜夢が一歩、一歩、自然な雰囲気で入っていく。

 亜夢のブリザードはなくなって、クリアな世界が見え始めた。

 亜夢が後ろを向いて、美優とアキナの周りの状況を思念波世界で送る。

『ありがと』

 二人も表情を変えずにフードコートの中へ入ってきた。

「ふう……」

「さあ、なに食べようか」

「ラーメンかなー、ヒカジョの周りっておいしいラーメン食べれないし」

「私はミスバーガーがいいな。県内に一軒も無くて泣いたもん」

 アキナがラーメン、美優がバーガー。亜夢もどちらかだとは思っていたのだが……

「じゃあ、私は両方食べる」

「えっ、結構量多いよ?」

 美優が言う。

「けど、ミスバーガーはヘルシーだし」

「じゃ、ラーメンどうすんの?」

 アキナの問いかけに、亜夢は固まる。

「いいの! 食べたいものを食べるの!」




 軍の飛行場につくと、強烈な超能力干渉波で亜夢の顔が歪む。

「あ、キャンセラーは車から出る前に外してね」

「はい」

 アキナも亜夢と同じぐらい、つらそうな顔になる。美優もはずすと、それなりに影響を受けたように目を閉じる。

 車を止めると、中谷が先導してヘリの方に連れていく。

 乗り込むと今度は、VRヘッドセットを着けさせられる。

「西園寺さんは初めてだっけ」

「?」

「えっと、航空機や相当の乗り物に超能力者を載せる場合、VRヘッドセットを着けてもらうことになっているんだ。航空法の……」

「わかりました」

 美優はさっさとVRヘッドセットを付けた。

 亜夢とアキナは、中谷に接続されないように余った接続端子に指を置くと、VRヘッドセットを着けた。

「あれ…… 俺、警戒されてるね」

 亜夢たちは干渉波のノイズで苦しみながらも、楽しいVRの世界に入った。

 そこは、いつもの何もない真夏の島、そして海だった。

 準備が出来ると、ヘリは離陸し、ヒカジョのある場所までの飛行を始めた。

 ヒカジョの校庭上空に来た時は、もう日が落ちていた。

 さすがにVRのなかでも動きつかれた三人は、肩を寄せ合って眠っていた。

「乱橋くん、西園寺くん、森くん! 起きて!」

 中谷が叫ぶ。

 ヘリはすぐ引き返すつもりでプロペラを回している。

「起きて! 起きないと……」

 その瞬間、電気が走ったように三人の体が震えて、ヘッドセットを外し始めた。

「?」

 中谷は不思議そうな顔をする。

 一番先にVR装置をはずした亜夢が言う。

「ダメですよ。変なこと考えたら。すぐわかりますからね」

「えっ、何もしてないよ?」

「しようとしたじゃないですか」

 中谷は顔を真っ赤にした。

 三人がヘリを降り、ヘリに残った中谷に手を振った。

「ありがとうございました」

「元気でね!」

 中谷が扉を閉めると、三人は急いでヘリから離れた。

 三人は小さくなっていくヘリに手を振っていた。

 翌朝、アキナは寮監に呼び出された。

 学校で美優と亜夢がしつこくたずねると、やっとアキナが口を開いた。

「子猫、つれてきちゃったの」

「え~」

 亜夢はアキナのホームセンターでの行動からこんな事じゃないか思っていた。

 やっぱりホームセンターに寄りたがったのは、子猫の為だったのだ。

「けど、個人で飼ったら両側に違反するからダメだって。だから寮監のところで飼ってもらうことになった……」

「そっか。けど、離れ離れにならなくてよかったね」

「うん」

 アキナは笑った。

 学校につくと、クラスの中で人だかりができていた。

 亜夢が一人の肩を叩いてたずねる。

「新しい転校生だって」

「へぇ」

 亜夢がそう言うと、さっと人が捌けて亜夢と転校生の目があった。

「!」

 転校生はイスラムの女性のようで、黒い布を頭からかぶり、目だけが見えていた。

 亜夢はイヤな予感がした。

 テロに加担していた宮下加奈、三崎京子が『マスター』と呼んでいた目だけを見せている人物…… もしかして……

「……ニカーブっていうらしいよ」

「えっ?」

 亜夢は何を言われたか分からなかった。

「あの頭から被っている布のこと。イスラムの女性は外に出るときはあんな恰好なんだって」

 突然、その転校生と目があった。

『よろしく』

 思念波(テレパシー)でそう言われた。亜夢が思念波世界を覗くと、やはりそのニカーブを付けた姿が現れた。

『……』

 返事をしないでいると、思念波世界からはじき出された。

 転校生は亜夢を、じっと見つめていた。

 この()がマスターだとしたら……

 亜夢も転校生をいつまでも見つめ返していた。




 おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ