↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非科学的潜在力女子2  作者: ゆずさくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/40

(36)

「以前、私がこっちにきて、アキナと思念波(テレパシー)で話したことがあったでしょ? 何かズレはあるのよね。距離がどう関係したのかはわからないんだけど」

 亜夢はあごに指を置いてそう言った。

 腰に手をあてて、アキナが返す。

「そうなのか。そんな違和感、わからなかったぞ」

「何かが見えなくなっているのよ。重要ななにか。きっとそれが、精神制御(マインドコントロール)には重要なファクターなんだわ」

 中谷と清川が、わざと亜夢の視線に入るように近づいてきた。

「お話し中すみませんが……」

「?」

 中谷が説明を始めた。

「ここを出ないといけないんだ。このドームスタジアムを所有者に返さなきゃいけないしね」

 亜夢たちは顔を見合わせた。

 清川が気持ちを察したように言う。

「えっと、あなたたち、今日はヒカジョには帰れないわ。ヘリの手配はしてるけど、早くても明日の午後になりそうよ」

「じゃあ、今日は……」

「みんな一緒の部屋ってわけにはいかないけど、署のホテルに泊まってもらうわ」

 亜夢は人差し指を立てて言った。

「私が泊まったあそこですか?」

「そうそう。あのホテル」

 中谷が手を叩いた。

「はいはい。そういう話は車の中でしようか。さあ、駐車場へいこう」

 亜夢たちは、バックネット近くの出入り口から入って、地下の駐車場へ向かう。

 パトカーにつくと、中谷が助手席に回った。

 美優の暗い表情に気付いたようだった。

「西園寺さん、苦しいかい?」

 テロリストが仕掛けた機械が止まり、超能力干渉波が全開で働きだしているはずだった。

 中谷が手を合わせて言う。

「キャンセラーなんだけど、二人の分で終わりなんだ」

「!」

 亜夢はそれを聞いて、急に白いキャンセラーを外した。

「美優、私の使っていいよ」

「亜夢、だって」

 亜夢は首を振った。

「きっと、美優は精神制御(マインドコントロール)されているから、これをしていないとまた敵にに狙われるよ」

 それを見ていた中谷が言った。

「キャンセラーをした子が両端に座って、してない子が真ん中にすわると、してなくても多少は楽になると思うよ」

「そうなんですか?」

「じゃ、亜夢先に入って、アキナはそっちから」

 後部座席は運転席後ろにアキナ、真ん中に亜夢、助手席側に美優という順で座った。

 清川が運転席に座ってエンジンをかけると、助手席に座った中谷が聞いた。

 車は署に向かって出発した。

「どう乱橋くん?」

「多少…… は楽かも」

 本当はひどくつらかった。

 中谷は表情から気持ちを察した。

「二人とも、もっと頭を寄せてあげて」

 美優もアキナも亜夢と体を前後させて、耳と耳がつくように頭を寄せてみた。

「どお?」

 頭が痛いのは治らないけど、と亜夢は思った。別の部分がいろいろ触れられて、気持ちよくてうれしい。

 ハンドルを握る清川が提案する。

「ね、ホテルのへや、ダブルベッドの部屋1つにする? 三人で川の字になって寝れば真ん中のひとも寝れるんじゃない?」

 キャンセラーをつけている人が、着けていない人のことを考えて心を痛めないように、そうしてもらった方がいいのかもしれない。亜夢はそう思った。

「そ、そうですね。そういうことできますか?」

「中谷さん、ちょっとホテルに電話してみて」

 中谷は不安げな顔をする。

「ダブルの部屋に3人の料金っていけるのかな」

 清川が怒ったように言う。

「出来るかどうかかけてみてから言ってください」

「は、はい」

 中谷がホテルに連絡を取ると部屋は空いていて、それでよければ構わないということだった。

 二人で使う部屋を三人入るため、かなり狭くなることが予想された。

 しかし、運転しながら清川が言う。

「いいなぁ」

 中谷がつまらなそうに答える。

「何が」

「中谷さんのことじゃないです。女子三人でお泊りのことですよ。ねぇ?」

「……」

「あれ?」

 清川がルームミラーを見ると、後ろの三人は寝てしまっていた。




 ホテルに着くと、中谷がホテル側に事情を話す。家出少女とかではない、とか料金は警察署が持つからという話を一通り話した。そして、部屋のキーを亜夢に渡した。

「チェックアウトは10時らしいから、それまでに署に来て俺か、清川くんを呼んで。チェックアウトしたら、ヘリが用意できるまでは署で待機かな」

「はい」

 亜夢の眉間にはしわが寄っていた。

 中谷はそれに気づいたようだった。

「つらい」

「ちょっとキャンセラーに慣れ過ぎた、っていうのもあるかもしれません」

「もう少し作れるように署長に掛け合ってみるよ」

「ありがとうございます」

 三人は手を振る中谷に頭を下げた。

 キーホルダーに刻印してある部屋番号を目指した。

 部屋のあるフロアでエレベータをおり、亜夢とアキナは荷物を抱えているのに、美優には何もなかった。

 アキナが言う。

「あっ、今気づいた、美優の着替え……」

「着替えは大丈夫だよ」

 美優は手を振ってそう答える。

「けど、下着は」

「……がまんするよ」

 以前泊まった時のことを思い出し、亜夢がフロア案内図を指さして言った。

「ほら洗濯は出来るよ。乾燥機も使えるからすぐ乾くし。それとも、今から買いに行く?」

「店開いてるの?」

「開いてるんじゃない? お腹も減ったし」

 亜夢はつらそうに頭に手を当てていたが、一方でお腹にも手を当て、言った。

「いってみるだけ行ってみようよ。高かったら買わなければいいだけだし」

「そうだね」

 部屋に荷物を置くと、三人はそのまま部屋を出た。

「亜夢、部屋着はあれつかうの? 浴衣」

「美優も思った? 浴衣って、ちょっと、あれだね。なんつーか」

 干渉波のせいか、二人の言っている意味がよく分からない亜夢は首をかしげた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。