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オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)  作者: こばやん2号
3部【ビルド大陸上陸編】 第1章 「勇者ってこんなに人気者?」
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121話:「決着」


 彼の放ったたった一言で場は静寂に包まれていた。

 『俺を助けてくれたらほっぺにチューしてやるぞ』というそれは男が

言うべき言葉ではないとは理解していた大和だったがこの世界のことを知る彼は

この言葉が有効的なものであるという確信があった。

 

 以前にも説明したことだが、この世界の貞操観念は大和の元居た世界とは

全くの逆と言っていいほどの状態であり、それは様々な事象で影響している。

 例えば職業に関して大和の世界での男女比率とこの異世界での職業の男女比率が逆転している。

 体が資本の大工や土木関係の職業であれば本来ならば力のある男が付くことが多い職だが

こちらでは女性の比率が多い。

 それとは対照的に飲食店や花屋などの店員に関してはこの世界において

圧倒的に男性の方が多いという事になっている。

 

 それが証拠に先ほどまで大和たちを警護していた護衛たち全員が女であった。

 今は大和を人質にしている連中を守るべく武器を構えている。


 このことから大和が放ったセリフは通常であれば女の子が言うべき言葉であるが

この世界においては男が言うのが自然ではないかと大和は結論付けたのだ。

 だが結果は静寂という大和の予想を裏切る反応だった。

 刻一刻と時が経つにつれて自分が発した言葉に後悔の念を抱き始めた頃

取り繕う様に大和が口を開く。


 「い、いやー今のは冗談―――」


 彼が先ほど放った言葉はただの戯れ言だと弁明しようとした刹那。


 「うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


 それは腹の底から出た雄たけびのような声だった。

 女性のどこにそのような低い声を発する器官があるのだろうかと問いたくなるような

重低音の声がその場を支配する。

 声の発生源は他でもない大和の仲間たちによるものであった。

 ここで大和が疑問に思ったのが、なぜか裏切った護衛の女たちも同じく雄たけびを上げていた。

 そして、リナたちと何やらアイコンタクトを取るとお互いに頷き合い、護衛の女たちが

リナたちを背中にすると男たちに武器を構え直した。


 「義のために我ら勇者様に御味方します!!」


 その義とは間違いなく邪なものだろうと大和は思ったがめんどくさいので敢えてスルーした。


 「貴様ら、私達を裏切るというのか!?」


 残った邪教徒の男が寝返った護衛達に怒鳴り散らすが、誰一人として顔色を変えずに臨戦態勢を取っている。

 大和の放ったたった一言の言葉で味方の士気が向上し、さらに形勢が逆転してしまった。

 だが敵も引くに引けない状態と大和を人質に取っているという優位性があるのか焦ってはいるが

まだ何とか対処できると見越して黒髪オールバックの男がリナたちに声を張り上げた。


 「まだこちらには勇者を人質に取っているという事を忘れるな!

 下手な真似をすれば勇者の命はない―――」


 そう言い終わる前に一筋の閃光が走ったと思ったら、黒髪オールバックの男の仲間二人が

その場に倒れ込んだ。


 「ぐはっ―――」


 一体何が起こったのかと男が慌てふためいていると突然自分の体に衝撃が走ったことに気付いた。

 何が起きたのか、その原因となった人物が目の前にいたことで男は理解した。

 腹を殴られたのだと。

 男たちに何が起きたのか、それは目にも止まらぬ電光石火の如き速さで彼女たちが

瞬時に男たちの間合いに入り込み一瞬で意識を刈り取るほどの一撃を加えたのだった。


 彼女たちとは言わずもがなリナたちだった。

 まず左の男に護衛のリーダー格の女が攻撃を加え、右の男にはエルノアが

そして、最後に残ったオールバックの男に攻撃したのはマチルダだった。

 その統率の取れた動きはまるで予め訓練でも積んでいたかのような緻密な連携で

とても初めての連携とは思えないほどのチームワークを有していた。


 彼女たちの容赦のない一撃により男たちは完全に無力化させられてしまう。

 だがその中で一人オールバックの男は辛うじて意識を保っていた。

 

 「おのれ、こうなったら勇者を殺して―――」


 そう言い放とうとした瞬間男の背筋に急に寒気が走った。

 何事かと視線を向けたその先には、まるで般若の形相をした女たちの顔がそこにあった。

 特に真に迫っていたのがフレイヤで縦に細くなった瞳にむき出しの牙をチラつかせながら

男を喰ってかからんと言わんばかりに恐ろしい顔を呈していた。


 その顔を目の当たりにした男はあまりの恐ろしさに股間に生暖かいものを感じながら

睡眠とはまた違った意味で意識を手放した。

 男の意識が無くなったのが原因なのか大和を閉じ込めていた球体が音もなく消滅した。

 ようやく自由の身となった大和は首を左右に振りながら自由を愉しんでいた。


 「ヤマト様、ご無事でしたか?」


 リナたちが大和の無事を確認するため近くに駆け寄ってくる。

 自分の無事を伝えるため手を上げて大和はそれに答えた。

 こうしてメルウェム教財団と呼ばれる者たちの襲撃は失敗に終わり

大和も無傷で生き残ることができたのだった。

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