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プロローグ
「アラン様、ウェンディ様!早く城を出る支度を。急いでください!」
二人の乳母のカレンは、真夜中、ダーウィン侯爵家の子息 アラン・ダーウィンと息女 ウェンディ・ダーウィンを起こし、城を出る準備をさせていた。
「母君であられるシィーフ様が数時間前、バイン卿と密談しておられました。アラン様とウェンディ様を明朝…暗殺すると。ですから、日が昇らぬうちにお逃げください」
「カレンも悪政が始まる前にここを出てください。さぁ行くぞ、ウィンディ」
「カレン…」
マントと少しの荷物を持ち、アランはためらい気味のウィンディの手を引き、部屋を出ていった。
カレンは窓のそばへ歩み寄ると、一人雲間からのぞいた黄金に光る月に祈った。二人の無事を。
二人は雨の中、アランの愛馬イーザに乗り、国境の境の森を駆け抜けていた。
「ウィンディ…いつまで泣いているんだ」
馬を止め、背中にしがみついて泣いているウェンディを振り返りながら言った。
「だって…もうお城も故郷も全てをあの人に取られてしまったわ…」
「大丈夫…強くなって…取り返そうな」
「絶対に…」
アランの言葉は力強く、背中も大きく感じた。
ウェンディは涙を拭い、彼女と同じ空色の目を見上げて言った。
「えぇ」




