秘密は長く続かない①
「――なぁ、友よ」
昼休み。購買横の自販機でジュースを買っている時だった。背後から浩一がわざとらしく声を掛けてきた。
「夜凪さんのことだけどさ?」
「っ⁉」
「やっぱりなにか隠してるな」
わかりやすい反応するなと笑う浩一は俺の隣へ来るとしゃがみ込み、取り出し口へ手を伸ばしペットボトルを拾い上げた。
「これは秘密にしてたバツとして頂く」
「夜凪の分だぞ」
「こりゃ失礼」
悪びれる様子を見せない浩一だがこれも日常。だがミネラルウォーターが紬の分だとわかると素朴な疑問をぶつけてきた。
「夜凪さんって炭酸とか苦手なのか」
「あいつは昔から炭酸飲めないんだよ」
「昔から?」
「な、なんでもない」
つい口が滑ってしまった。横を見れば浩一がニヤッと不敵な笑みを浮かべ、俺を見つめていた。
「好みを知ってるとはずいぶんと仲が良いのですなぁ?」
「ゆ、夕月から聞いた」
「そっかぁ。ならユーに聞いてみるか」
「なっ⁉」
ああ、もうこれ隠せないやつだ。【Re:Light】の公式サイトでも紬は炭酸が飲めないなど一言も載っていない。当然夕月も知る訳がない。変に夕月を巻き込めば話がややこしなってしまう。
「あとで話してやる」
「そうそう。素直が一番なのだよ」
「うるせぇ」
自ら墓穴を掘ったとはいえ、こんなにも早く紬との関係を話すことになるとは。いや、いずれ話さなければと思っていたしタイミングとしては良いのかもしれない。ただ紬はどう思うだろうか。やはり事前に了承を貰うべきなのか。
(あとでメッセージ送っておくか)
紬に言われるがままメッセージアプリの友達登録をしたがこんなことで役に立つとは思わなかった。




