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ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む  作者: 紫楼
三章

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239話 リックさまに羽ペンと魔力ペンを渡したよ 

 まずは手持ちの魔石で小さいけど魔力をかなり内包しているものを選ぶ。

 お祖母さまがリバァイアサンの魔石を素材として使った時に出たらしい破片。


「またとんでもない物が出てきましたねぇ」

 まぁお祖母さまの持ち物だし。


 これ見よがしに大きな魔石を身に付けてもらうわけにはいけないので極力小さな物を。

 その代わり魔力伝導の良いオリハルコンやミスリルを使う。


「これでアンクレットを作ろうと思います」

「アンクレット?」


 指輪くらいがいいかと思ったけど衣装によってお飾りは変えるからね。

 見えないところって言ったら足。トゥリングでも良いけど流石に小さすぎる。


「普段目立たないところにって思いまして」


「なるほど~」


 まずは魔法式をオリハルコンに練り込む。

 時空魔法の領域だから他の属性より細かく指定をしないとダメ。

 

「リックさま、おしゃれな形に錬成してください」

「おしゃれ⁉」


 正直この世界のセンスはゴテゴテでよくわかんないんだもん。王女殿下の持ち物として王様から贈って頂くに相応しいデザインなんて無理ー。

 以前王様に贈ったものは男物でお土産キーホルダーみたいな簡単な作りだったけど、流石にねぇ?


「まぁそうですねぇ……、見えない部分ですからシンプルで良いですよね!?」

 あれ?リックさまも女心に疎い方?

 この国のイケメンって軒並み女性拒否なんだろうか?


 デザインは任せちゃって、魔石に転移陣を魔力インクの万年筆で描き込むよ。彫らなくても安定してるのマジで良い!


「あー!そのペンは何ですか?」

 あ、そういえば会えた時に渡そうと思ってたんだった。


「これは自分の魔力をインクに変換して魔導陣を描くために作ったものです。そしてこっちは半永久的にインクを足さずに使えるペンです」


 リックさま用のプレゼントに用意してた分を差し上げると手に持ったまたまブルブルしちゃってる。どうしたんだろ。


「これで書類の仕事時間が数割、短縮できます!!」


 魔力ペンよりノーマルの方に感動してる。やっぱ羽ペンは面倒なんだ。


 王宮勤務の文官にも物凄く良いから権利ごと設計図を売ってくれって言われた。


「それはすでにサーキスさまかセバスチャンの管理なので……?」

「ク!書庫にこもってる間に……」


 めちゃくちゃ悔しそうだけど、魔道具師に任せて量産するだろうし入手するのにし困らないはずだよ。


「こちらの魔力インクも魔法誓約書などに無茶苦茶良いですよ!!」


 ああ。あれっていちいちインクに魔力を通すんだっけ?貴族なら魔力はそこそこ持ってるだろうし、そう困らないと思うんだけど。


「はぁ、リーシャさまはやっぱり普通を理解されないのですよ!さらっとすごい物を作って!!」


 んにゃー、地球の誰かが開発した物だしペンなんて昨今は百均で数本セットで買えちゃうお手軽商品だもの~。


「リックさま、とりあえずそれ仕上げてください~」

 途中でやめたらやり直しになっちゃうよ!


「はっ!」


 なんだろう?最初は冷静沈着なイメージだったけど、教授とか年配の人とずっといたせいかちょっとキャラ変?


 改めて魔石に転移陣を定着させる。


 そして石の模様が見えないように細かく針金状にしたミスリルを編み込んで隠す。


「ミスリルをいとも簡単に……」


 もうこっちの作業を見てたら進まないよー!


「リックさま、進まないですよー」

「いや、一応危険がないかみてない……」


 そう言えばそうか。ナチュラルに分担しちゃった。


「じゃぁそれ待ってますから」


 今更それも私がやりますって言うのもどうかと思ったので、今度はリックさまの手元をじっくり拝見させてもらおうっと。


 学園の授業で他の生徒や教授が作ってたのはみてたけど、王宮魔導師トップのリックさまのお仕事はもっと高度なはず。


「そんなキラキラした目で見られるとやり難いですね」


 みんなに憧れられる筆頭王宮魔導師なんだから慣れっこでしょう?


 ともかく集中してスイッチが切り替わったリックさまは流石の腕だった。


 鮮やかな手順で魔力練り込んでオリハルコンを変形させる。


 綺麗に均等な魔力が流れてリックさまの魔力を纏ったオリハルコンは淡く発光してる。


「はぁ、久しぶりにこんなに集中しましたよ」


 若干額に汗を滲ませてる。


「結構な魔力を持っていかれました」

 

 渡されたアンクレットはちょっとだけゴツい仕上がり。

 見た目が貧相じゃない程度に宝石と、私が作った魔石を均等に並べて埋め込む。


 最後にサイズの自動調整と本人以外外せないように指定した。


「陛下に差し上げたものよりすごいんじゃないですか?」


 いや、あれは複数の付与を仕込んでるし、あの時最高の出来だったんだけど。


「転移陣なんてこんなサイズに入れられませんよ。普通……」

「えー、でも王宮への行き来にしたって人数や荷物の制限、悪用不可とか色々混ぜ込んでるからあのサイズなだけで一ヶ所で王女殿下一人ならそこまで複雑じゃないですよ」


 あれには簡単に真似できないようにフェイクな魔法式と現在使われてない文字を少し織り込んであった。


「あなたなら自分用に好きに転移できる物を作れそうですねぇ」

「あー、転移陣は場所指定が必須なので移動先に座標になるものがないとダメなんで無理です」


 私自身が転移魔法を使えるようになれば行ったことがある場所にならいけると思うけど、今のところ出来ない。別に行きたいところもないので無茶をする気もない。


「今回の座標になるものは?」

「陛下です。この魔道具に殿下の出発まで陛下に魔力を貯めてもらいます」


 王様の元に帰れるように。帰る場所は絶対に守ってくれる相手じゃないとね。


「陛下ですか……」

「万が一陛下が亡くなるような事になったら使えないので全力で陛下を守ってくださいね」


 王宮の自室とかにすべきだったかな?でもそうすると転移のために条件が難しくなるから血が繋がってる魔力の流れが似た人の方が確実なんだもの。


「陛下にはあと百年くらい働いて頂きたいのでちゃんとお守りしますよ」


 百年って。陛下がミイラになっちゃうよ。


「でも私は早期隠居を目指してますから騎士団と近衛に任せますけどね」


 うわぁ、リックさまがひどい。


「ところで先ほどの回復の魔道具をしっかり見せてもらうのは可能ですか?」


「ああ、差し上げます」

「は⁉」

「これならお祖母さまもお母さまも試作品をいっぱい残してますし、私は別に使わないので」

「いや!そうだったならなぜオレイユ家にいた時にお使いにならずに⁉」


 そう言われるとそうなんだけど。


「お母さまが魔道具をイダルンダに見せるなと言っていたし、多分使うとは思いつきもしなかったんですよ」


 そう、リーシャは錬金術に興味を持っていて、お母さまに教わりつつ魔道具を作っていたけれども自分で使用するって考えは無かった。

 

「多分って……それにこのレベルのものをポンと与えないでください」

「そうですか?使わないとずっと倉庫(隠し部屋)で眠るだけなんで」


 お祖母さまは何を思ってあんなに使わない魔道具を溜め込んでたのかな?


「はぁ……心臓に悪いのでお借りすると言うことで」


 遠慮しいだなぁ。


「そういえば自動回復はジュリアスさまたちに持ってもらった方がいいですね!」


 いっぱいあるんだし、自分で作るってこだわらなければ家族分とアランたちの分くらい余裕!


「さらに最強軍団になってしまいますが、良いと思いますよ」


 とりあえず一度メンテナンスと動作確認をしてからだね!って思って指にチョンと刀をあてたら、ニーナもリックさまも慌てて。自分の指を切って試すのはダメってめっちゃ叱られたよ。とほほ。





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