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東京都■■区(表)

   ーーー東京都■■区駅 PM.11:35ーーー

「遅い」

仕事をするため、現地集合にしたものの、肝心の相方が遅刻をしている。

現在時刻は11:35 集合時間は11:05。

一応言っておくが午(・)後(・)11時35分だ。

こんな深夜なのは俺たちの仕事が特殊だからだ。

いや、怪しいバイトではないよ?うん。

俺たちはーーー

「遅れた〜!」

きたよ相方が。人のこと30分も待たせやがって。

「遅い」

「普通に寝坊だから安心して〜」

ぶん殴ってもいいよな?こいつ。

「さあ、さあ!時間押してるんだよ!早く行こう!」

「誰のせいだと思って……」

「依頼主を待たせちゃダメでしょ!ほらほら!行くよ〜」

このくそマイペースが………あたかも俺が悪い感じにしやがって……!

「はぁ……お前のマイペースは、今に始まったことじゃないしな……」

「何してんの?早くいくよ〜駐車場の料金が高くなったらソウマに請求するからね!」

キレていい?はぁ……こいつがこれ以上騒がしくなる前に行くか。

「ってか、深夜なんだからもう少し声押さえろよ。近所迷惑だろ。」

「ん〜?聞こえませんでした〜」

もし警察が来たらこいつを突き出そう。本当に。


「今日は駅での案件?」

「そう。」

「じゃあ依頼主は駅員?」

「一応名目上は鉄道会社に依頼されていることになっているから、もしかしたら会社の役員とかもいるかも。」

「そっか」

「ってかお前、素手?」

「愛用のメリケンちゃんは錆びてきたのでおやすみ中」

「買い換えりゃいいのに。」

「あれって特注品なのよね〜ソウマが代金出してくれるなら買い換えるけど。」

「死んでもごめんだね。自分で買えアホ」

「はぁ!?アホって言ったね!アホって言った方がアホなんです!だからソウマの方がアホ!」

「小学生かよ……頼むから依頼人の前では外面被りまくっててくれよ?」

「流石にやるって〜」

「今、『行けたらいくわ〜』って言われた気分だ」

「そんな信用ない?この超絶性格容姿共に美少女の私が?」

「自(・)称(・)な。」

「違います〜」


「ほら、ついたぞ。」

「なんて言うか……古いーー

「趣があると思え。」

「まあ、いいけどさぁ。」

ノックを2回、3回、1回に分けてする。

これがあらかじめ決めていた合図だ。

「は、はい」

扉の向こう側から微かに怯えたような、安心したような声がする

「あ、除霊師です。ただいま現着しました。」

「は、はい、確認しました。どうぞお入りください」

扉が開く。すると中には年配の男性が一人と、若い女性が一人いた。

「えっと、どちらが依頼人でしょうか?」

「あ、はい。私が依頼人の神宮寺(じんぐうじ)です。」

年配の男性が俺の問いに答えた。

「えっと、そちらの方は……?」

すると俺の言葉を聞いて、女性がこちらを向く。

「私は、東京鉄道の親会社にあたる、株式会社アンフェイド副社長の月宮 綾音(つきみや あやね)です。」

鉄道会社が来ると予想していたのだが……まさか親会社が来るとは思わなかった。

「親会社の方がなぜこの現場に?」

「いえ、ただの現場を観察しに来ただけです。」

「現場観察?」

「………ええ。」


なるほど。現場観察と言っているが、要するに俺たちが信じられないんだな。

まあ、除霊師なんて胡散臭いもんを信じられないのはわかる。

多分この人……ってかこの人の会社としては除霊とか言う胡散臭い物に金を払いたくないんだな。

でも、現場の人間があまりにも怖がるから依頼だけはしたと。


まあ、それが当たり前の感性だよなぁ。

俺があの立場だったとしても確実にそんな対応をする。

なんなら、効果が実証できなかったとかなんとか言ってお金を払わないなんてことをするかも。

……それもあり得るのか。

まあ、俺たちは仕事をするだけだ。お金云々は仕事の後にしよう。


「……そうでしたか。では、改めまして。私が除霊師のソウマです。こっちは、相方のーーー

「シズクと申します。よろしくお願いします。」

出たよシズクの外面大魔神が。頼むからそれが本性であってほしい。普段との差が激しすぎてもはやキモい。


「あ、あのぉ……それであ(・)れ(・)は……どうなるので?」

神宮寺さんからの質問。あれ………怪異のことだな。

「仕事の話をする前に情報の確認をしたいと思います。よろしいですか?」

「はい。確認の後何点か質問させてもらっても?」

………神宮寺さんに向けて話しかけたつもりなんだが。この人、あれだな。会社でも我が強すぎてちょっと避けられるタイプだ。知らんけど。


「はい、もちろんです。」

俺は資料を取り出しつつ読み始める


「最初の目撃情報は1月前の9月12日。駅員数名が黒い大きな影を目撃。その後列車のタイヤが外れる事故が発生。

幸いにも発車寸前で怪我人はゼロ。


次の目撃情報はそれから8日後の9月20日。早朝見回りに来た駅員3名が黒い影を発見。不審に思い声をかけると

影に襲われホームから転落。切り傷及び打撲などの軽傷。


その次はさらに8日後の9月28日。深夜終電の走り去った直後に黒い影を多数の乗客が目撃。その後電車が脱線。乗客200数名中、145人重軽傷。

これはニュースにもなって、警察も来ましたね。黒い影の目撃情報はその時の聞き込みではなかったそう。


そして3日前の10月9日。度重なる不可思議な事故及び黒い影の調査に駅員3名が言ったところ失踪。


ここまでで違う点はございますか?」


「い、いえ。何もありません。」

「では、質問いいかしら?」

「ええ。なんでも。」

「あなた方……疑うわけではないですけど、除霊が本当にできますか?見たところまだ学生さんのような若さですけど。」

「ええ、確かに私たちはまだ19歳。学生の領域にいますが、きちんと政府に認められたプロですので。」

「そう……ならいいわ」

さて、これ以上質問されないように巻いとくか。

「神宮寺さんは質問等ございますか?」

「い、いえ……何も」

「そうですか。では、私たちは除霊に行ってきます。結果はLINEで送らせてもらう方法でよろしいでしょうか?」

返事はなかったが、微かに頷くような仕草を確認した。肯定として捉えてもいいのだろう。


シズクに目で促し、外へ出る。しばらく歩き出してある程度離れると、シズクが話しかけてきた。

「多分だけど、異形型だよね?」

「そうだろうな。朝にも目撃情報があったことから幽霊型ではないだろう。」

「まじか〜ナックル持ってくればよかったな〜」

「ざまぁ。俺はちゃんと持ってきてるから。」

「何持ってきたの?フォーク?鎌?」

「どっちも持ってきた。ってか、フォークって言うなよ。どっちかって言うとトライデントだろ。」

「どっちか貸してよ〜」

「持ってこなかった奴が悪い。」

「ぶ〜〜」

「ほら、もうすぐ現場だぞ?」

「しょうがない、ガントレットで我慢しとくか。」

「それってあの、棘付きのやつだろ?十分凶器だよ」

「そうだけどさあ〜なんか使い心地良くないんだよね〜手全体を覆いたくないって言うか〜」

「まあ、手全体ってか、指を全部覆っちゃうと動きが制限されるしな。」

「そうなんだよねぇ〜」

「お、ついたぞ。」

駅のホーム。微かに腐敗臭がするのは、怪異のせいだろう。

「さっさとやりますか〜」

「そうだなぁ」

お互いの顔を見て頷く。そして同時に叫ぶ

「「カモン怪異〜〜〜〜〜!!!!」」


間。


すると暗闇の奥から何かが蠢くような音と共に触手のたくさん生えた異形の怪物が姿を現す。

2体も。

「あれかな?」

「あれだな」

「なんか2体いない?」

「なんか2体いるな」

「右を私がやるね。」

「じゃあ俺は左だ」

「開始?」

「開始だな」


瞬間。俺とシズクは左右に飛び出す。

すると狙い通り一体ずつついてくる。とりあえず分断は成功。

「さて、終わらせますか。」

首にかけていた鎌の形のネックレスを外す。するとそれは起動し、黒く光る大きな鎌となった。

「たこ焼き……にはできなさそうだな。不味そうだ。」

俺が飛び出していくと相手は多数の触手を叩きつけてくるが避けれるものは避け、避けづらいものは切っていく。

「ギぎゃえええェェェぇ!?!???」

相手は自分の触手が切られたことに驚いたのだろうか。耳障りな叫び声を上げる。

「叫んでるタイミングに俺は懐に入りますよっと」

叫びによって体が硬直した一瞬を狙い、俺は触手の根本部分にまで入る。そしてーー

「隙あり!なんちゃって」

鎌をひたすら振りまくる。すると相手は細切れになっていき、

「ふう、こんなものか。」

最後に相手の体深くにあった核を差し貫く。

すると相手は

「げゲギぎゃゃアあァァァ!?!!!??」

断末魔と共に消滅していく。

「終ーーー了ーーーー!!!」

そう言いつつシズクの方を見ると、思わずつぶやいてしまう。

「oh………グロ………」

そこにはあのタコ型怪異の頭を掴み、足を全てぐちゃぐちゃに潰した相方がいた。

「終わった?じゃあ私も終わりにするね。」

相方は掴んでいた怪異の頭を核ごと握り潰す。


「帰る〜?」

「おう、帰るか。依頼主たちにはLINEで完了の報告しといたから。依頼金は銀行口座に振り込んどくって。」

「もう1:00だよ〜?何か食べてく〜?焼肉とか?」

「別に焼肉でもいいんだけど、俺はなんか今、たこ焼きのこと考えてんだよね。あれがたこみたいだったからだろうけど。」

「たこ焼きか〜テイクアウトでいいでしょ?」

「うん。全然いい。むしろ早く帰ってのんびりしたい気分。普通にスプラッタすぎる現場見たせいで疲れた。」

「スプラッタ?なんのこと?」

おーおー………犯人がなんか言ってるわ。

「帰ろうか。じゃあ私、車で寄っとくからさ、先帰っててもいいよ?」

「そうしようかな………いや、いいや。俺も一緒に行くわ。なんか期間限定品とか出てそうだし。」

「それもそっか。」


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