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仮面勇者  作者: Toooji
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第三十九話 彷徨う骸の噂

蜘蛛の魔物を倒した翌日。


二人は、村に残された生存者たちを安全な場所へ移すため、朝から作業を続けていた。


蜘蛛の糸に包まれていた村人の中には、衰弱が激しく、すぐには動かせない者もいた。


二人はできる限りの手当てを施し、村の外まで運び出した。


「ひとまず、動ける人たちはこれで全員ですね」


「あとは近くの村に知らせて、助けを呼びましょう」


彼女は村を振り返った。


昨日まで家々を覆っていた蜘蛛の巣は、ところどころ焼き払われている。


それでも、白い糸はまだ多く残り、村のあちこちに惨劇の痕跡を留めていた。


「……あとは、無事に回復することを祈りましょう」


「ええ。私たちにできることはしたわ」


彼女はそう答えると、歩き始めた。


セレナもその後に続く。


二人は森を抜け、近隣の村を目指した。


「師匠。先日、森で見かけた骸骨たちといい……いったい何か起きているのでしょうか」


「それを確かめるためにも、近くの村で話を聞いてみましょう」


やがて二人は、森の外れにある小さな村へとたどり着いた。


村の様子は、先ほどの蜘蛛に襲われた村とは違っていた。


人々が行き交い、家々からは煙が上がっている。


どうやら、魔物の襲撃には遭っていないようだった。


二人はすぐに村の冒険者ギルドへ向かい、巨大蜘蛛の被害に遭った村のことを知らせた。


ギルドでは事態を重くとらえ、すぐに自警団と救助隊を向かわせることが決まった。


ひとまず、あの村の生存者たちを任せられることになり、二人は安心してギルドを後にした。


しかし、外へ出ると、この村にもどこか落ち着かない空気が漂っていた。


村の広場では、数人の住民が集まって話し込んでいる。


「また出たらしいぞ……」


「今度は森の東側だそうだ」


「冒険者たちも戻ってこないって話じゃないか」


その言葉が耳に入り、セレナは足を止めた。


「何かあったようですね」


二人は広場に近づき、住民の一人に声をかけた。


「すみません。何か問題が起きているのですか?」


住民は二人の仮面を見て、少し警戒した様子を見せた。


「旅の人かい?」


「ええ。森を抜けてきたところです」


「それなら見なかったか?最近、この辺りに妙な骸骨が現れるんだ」


「骸骨……ですか?」


セレナが尋ねる。


「ああ。夜になると、森や街道に現れるらしい。何体も連れ立って歩いていて、声をかけても反応しない。ただ、どこかへ向かって歩き続けているそうだ」


セレナは彼女と顔を見合わせた。


森で見た骸骨たちと同じだ。


「その骸骨たちは、どこから来ているのでしょう?」


「それを調べに行った冒険者たちがいるんだ。森の奥に古い廃墟があって、どうやらそこが発生源じゃないかと考えられている」


「廃墟……」


「ところが、調査に向かった冒険者たちが戻ってこないんだ。何日も音沙汰がない」


住民の表情が曇る。


「最初は道に迷っただけかと思っていたんだが、後から別の冒険者たちが探しに行ったが、それきり誰も戻ってこない。あの廃墟には、何かいるんじゃないかって噂になっている」


「そんな事になっているんですか……」


セレナは静かに答えた。


「その廃墟は、どこにあるんですか?」


「森を北東へ進んだところだ。古い建物が残っている場所がある。だが今は近づかない方がいいぞ」


「分かりました。ありがとうございます」


二人は住民に礼を言い、広場から少し離れた。


「森で見た骸骨たちと、関係がありそうですね」


「廃墟が発生源だという話も気になるわ」


彼女は森の方角を見つめた。


「行方不明になった冒険者たちも、その廃墟にいる可能性が高いわね」


「無事であるなら、助けに行きたいです」


セレナは迷いなく答えた。


彼女は小さく頷いた。


「そうね。まずは廃墟の様子を確かめましょう。ただし、油断は禁物よ」


「はい、師匠」


二人は村で必要な情報を集めると、森へ向かう準備を始めた。


森の奥には、まだ多くの骸骨たちがいる。


そして、その先にあるという古い廃墟。


そこでは一体、何が起きているのだろうか。


セレナは腰の剣に手を添え森へと足を踏み入れた。


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