表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
287/289

二百七十九

7月1?日(?)?時⁇分


作り物の世界に幾度となく衝撃が走る。


乱立した街並みが破壊され、より混沌とした様相となる。


そんな無秩序な街並みを2つの小さな影が飛び回り、1つの黒い影を攻撃していた。


その度に建物は破壊され、瓦礫の山が次々と築かれていく。


広範囲に渡って一刀の元、両断された建造物がズレ落ちて轟音を立て、乱立した地形が扇状に破壊される。


一条の光が走ったと思えばその軌跡上の建物に大穴があき、衝撃波が遅れてやって来ては粉砕する。


区画など関係ないとばかりに、定規で引いた様な傷跡が残る。


まるで近代兵器を用いた紛争。


いや、威力、範囲共にそれ以上。


これまでに佑樹達が行って来た戦いとはアリと象ほどに桁が違う。


これこそが【神器】を用いた戦い。


神を堕とす者同士の争い。


まだまだ互いに実力・・のほんの・・・・一部・・しか・・していない・・・・・とはいえ、それでもその戦闘力は圧巻だ。


楽しげに戦う夜代と陽向。


怒りのままに暴れる童子切。


これまでの世界線ルートではなかったことが起こっていた。


それがどうしようもなく堪らない。


そんな表情で、神崎は離れた位置にあるビルの上で観戦していた。


「予定とは違うようだが」


いつの間にやら神崎のすぐ横に、特に特徴のない、気配も感情も感じられない男がいた。


「はっはっは、最高の化け物ができた!……って奴だね」


神崎は最初から気付いていたのか、驚いた様子もない。


視線の先ではまるで映画のように街が吹き飛んでいく。


映画と違って生々しく、作り物ではないからこそ作り物めいて見えた。


特徴のない男は淡々と、意思の感じられない様子で言葉を発した。


「そう何度もやり直すことはできない。言うまでもないことだが」


「そうだね。けど、遊び心を忘れるわけにはいかないよ」


神崎は特徴のない男を見ることなく、しかし愉快そうに言った。


「私たちの信条はいつだってシンプルだ」


「「僕が僕で、俺が俺で、私が私であるために」」


「だろう?」


「……そうだったな」


神崎と異口同音に呟いた男は、目の前の戦闘など興味もないといった様子で踵を返した。


そして現れた時と同様にいつの間にやら消えている。


そこには最初から神崎以外いなかったかのようだった。


「やれやれ、ああはなりたくない」


言葉とは裏腹に、神崎は少し悲しげな、辛そうな顔をしてそう呟いた。


「叶わないはずの夢を叶えようとし続けて、なまじっか目の前に叶えることができる、かもしれない、そんな手段を見せつけられて、結局目的と手段がごちゃ混ぜになって。ついには生きているだけの何かになる、そんなのは御免だね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ