猫に対して会話するように話しかけるのは至って正常です、な男
「これってどこまで続いてるんだろうねぇ?」
ほんの数十メートルの探検を終え、珍しくついてこなかったマーちゃんに向かって僕はずっと思っていた事を言葉にする
マーちゃんズハウスの奥の方を少し探索してみた
少しずつ傾斜がかかり地獄まで続いてると言われても信じてしまいそうだ
真っ直ぐ伸びていそうだけど、僕の未熟な夜目では伸ばした手を確認するので精一杯だ
多分だけど方角的には山脈の真下を行くんじゃないかと思う
謎な洞窟だけどこれは間違いなく…
「人工的なものだよねぇ…?」
多少の風化はあれど綺麗な半円を描いている
奥に行くほど地面は整地されているような感触だ
「君は奥に進んだ事はないのかい?」
顎の辺りをカキカキしながら聞いてみる
勿論返事は返ってこないけど、代わりにエンジンが唸りを上げる
今日も今日とて絶好調である
「君の目にはここがどういうものかはっきり見えているんだろうね
僕ももう少し遠くが見えるようになったら一緒にお弁当を持ってもっと深くまで探検に行こう」
と言ってもお弁当はきっと僕の分だけだ
マーちゃんが何かを食べる姿を見ない
町からの補給物資だって毎回荒らすだけ荒らしても別に食べているわけではなさそうなのだ
一時は心配したが、僕とのお遊戯ではこっちが殺されないように必死に抵抗するくらい元気なのでその考えは杞憂と投げ捨てた
「…霞でも食ってんのかな?」
カキカキに気持ちよさそうに細めていたマーちゃんの目が急に大きく見開いたのでビクッとする
顔上げて外を警戒するような素振りを見せた
しばらくは町からの補給とか無い筈だ
マーちゃんは外へ向かってゆっくりと歩いていく
ついていこうとしたらうまく歩けない自分に気付く
まるで歩き方を忘れたかのように体が固い
初めて会った時に睨まれた感覚を思い出す
マーちゃんの意識に体が恐怖しているみたいだ
時間をかけて強張りを解くと、僕は外へ飛び出したマーちゃんを追った




