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狂信者
ナイフの受け取りを拒否されたが安心してもらうように笑顔を作りしっかり握らせる
恐らく初めて剣を握ったであろうあの日から、彼は毎日訓練所を訪れては隅の方で剣の練習をしている
領主様と騎士団長の許可をもらい我々の指導の下、ぎこちなく確かめるように剣を振るっている
まだまだ実戦どころか模擬戦すら遠い、基礎段階のさらに準備作業といったところだ
それでも黙々と剣を振るう様子は、強さに憧れるというより強くならなければならないという使命感を感じた
だからこそ彼にナイフを握らせた
この先も剣を振るい強くなる為には命を奪わなければならない
いずれこの国が…世界が彼の剣を必要とする時が来るかも知れない
彼は強くなるべきなのだ
…そして詩に謳われる英雄となった時
世界を救い給うた使徒と並ぶ伝説となった時
思い出してくれるだろうか
いや、思い出してくれなくていい
彼の英雄譚に刻まれなくとも
彼の覚醒の手助けになるなら
彼と一つになって戦えるのなら
彼の手をしっかり握り
そのナイフを私の首に当てた




