第7話 Report No.07|計画中断案——役員会の圧力
# 外伝「サードパス開発レポート」
## Reported by Keiko Seto
記録者: 瀬戸恵子(神代重工 境界技術主任)
文書区分: 社外秘・取扱注意
備考: 如月澪 不在期間における技術記録 / 神代重工 研究開発部 第四課
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# Report No.07|計画中断案——役員会の圧力
〔議事録〕
役員会 第二回 議事録 / 記録:瀬戸恵子
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## 役員会 議事録 — MTG-TP-012
参加: 役員3名、瀬戸恵子 / 瀬戸宗一:欠席(連絡なし)
| 項目 | 内容 |
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| 瀬戸宗一の不在 | 今回も連絡なしの欠席。前回は「体調不良」という理由があった。今回は理由の説明もなかった。発言の委任も、文書上は存在しない。 |
| 瀬戸恵子の提案 | 「サードパス計画の一時凍結を提案する。事故報告・Δs同期反応の増幅・羽鳥家との照合結果から、計画の根本的な設計見直しが必要だ」 |
| 役員の反論 | 「境界技術は国際競争だ。凍結は後退を意味する。競合他国が先に開発すれば、我々の立場はない」 |
| 新情報 | 「エレーナ・ミラー」の名前が初めて言及された。西の大国の関連研究者。サードパスに類似した技術を独自開発中との情報。年齢は13歳とされている。 |
| 瀬戸恵子の主張 | 「競合他国が先に開発しても、間違った方向なら同じ事故が起きる。正しい方向を先に見つけることに意味がある」 |
| 決議 | 凍結提案は否決。ただし設計見直しの時間として「3週間の調整期間」が認められた。 |
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「3週間の調整期間」は、凍結ではない。
ただし——3週間あれば、設計の方向を根本から変えることはできる。
「押す」から「答える」へ。その転換のプロトコルを、
私はこの3週間で形にする。
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> 会議の後、一人の役員が個別に声をかけてきた——
> 「瀬戸さん、あなたは優秀だ。
> でも優秀すぎると、動けなくなる」
>
> 私は「そうかもしれません」と答えた。
> 正直な答えだった。
>
> ——恵子の議事録への追記
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### 恵子の私的メモ // PERSONAL NOTE
宗一さんが来なかった。連絡もなかった。
二度目だ。今回は理由も言わなかった。
この会議の決議を、宗一さんは知らないまま受け取ることになる。
私が記録し、私が引き受け、私が3週間を使う。
それでいいのかどうかは、もう考えないことにした。
「エレーナ・ミラー」——13歳。
役員が「競争」の文脈でその名前を出した。
でも私が引っかかったのは、年齢ではなく別のことだ。
13歳でその研究をしているということは——
その子もまた、何かを「知らされている」か、あるいは「知らないまま使われている」かのどちらかだ。
どちらであるかは、外から分からない。
私にも、分からないことがある。
知っていることと、知らされていないことの境界が、
どこにあるのかを——私はまだ正確に測れていない。
3週間で「問いに答えるプロトコル」を書く。
それが今の私にできる、唯一の正しい動き方だと思っている。
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鏡淵の調律 — 外伝「サードパス開発レポート」
第07話 了




