発表会用台本 『人魚と王子』
文化部発表会でやる台本、という設定です。
注 かなりご都合主義です。
キャスト
アリーシャ 池内梓
アベル(仮)都筑琢磨
アベル 永井圭一
魔女 森元咲
マリア 葉桜栞
門番 町野竜
ナレーター 篠塚星
〈ナレーターは指定位置へ、アリーシャ中央板付き〉
ナレーター『昔々ある所に、人間に淡い恋を抱いた、アリーシャと言う名の大層美しい人魚がおりました。』
アリーシャ『王子様……。あの日、波にさらわれたドジな私を助けて下さいました……。私はあの日以来ずっとあなた様をお慕いしております。あぁ、もう一度お会いしたい。』
《暗転》
ナレーター『ある日、どうしても王子に会いたかったアリーシャは、魔女のもとに向かいました。』
《明転》
〈魔女上手板付き、アリーシャ下手から〉
アリーシャ『魔女様!いらっしゃいますでしょうか?』
魔女『お前は……人魚か?』
アリーシャ『はい。人魚族のアリーシャに御座います。魔女様にお願いがあって参りました。』
魔女『願い……?』
アリーシャ『私の命を救って下さった王子様に、もう一度お会いしたいのです。』
魔女『……何故?』
アリーシャ『恋をしてしまったからです。どうしても、忘れられないのです。』
ナレーター『魔女は少し考え込んだ後、何かを取りに行きました。』
アリーシャ『それは……?』
魔女『これは、人間になれる薬だ。人魚は陸に上がれない。ならば、人型をとるしか方法はない。』
アリーシャ『どうか、お願いします!その薬を私に下さい!』
魔女『報酬は……高くつくぞ?お前の……命だ。』
アリーシャ『命……?』
魔女『お前には、一ヶ月の猶予を与えよう。薬を飲んでから一ヶ月後の夜に昇った月が沈んだ時、お前は光となって消えるだろう。
但し、この話は薬を飲むことが前提。諦めるならば……今だ。』
アリーシャ『構いません。例え、命を落とすことになったとしても。この想いを、貫き通したいのです。どうか、薬を……。』
《暗転》
ナレーター『こうして、アリーシャと魔女は契約を結び、アリーシャは薬を飲みました。』
《明転》
〈アリーシャ上手から下手へ〉
アリーシャ『王子様、一体……どこに?』
ナレーター『現実は残酷でした。土地勘のないアリーシャは海の周りをさ迷うしかなかったのです。それから、更に一週間後のことでした。』
《暗転・明転》
〈アリーシャ上手からアベル(仮)下手板付き〉
アリーシャ『あ、あなた様は!』
アベル(仮)『……あれ?キミは…』
アリーシャ『あの時助けられた人魚です。アリーシャと申します。あの、お名前は…』
アベル(仮)『僕は……アベル。キミは、何で人間に…?』
アリーシャ『薬を飲んで、人間になったのです。あなた様に……アベル様にもう一度お会いしたくて…』
《暗転・スポットライト白》
ナレーター『それからというもの、アベルとアリーシャは毎日のように会うようになりました……けれども、時の流れは残酷で…ついに、魔女との約束の日の前日になりました。』
《明転》
〈アリーシャ、アベル中央板付き〉
アリーシャ『アベル様、あなた様にお会いすることができて、本当によかった。』
アベル(仮)『どうしたんだ?アリーシャ。最近、口を開くとそんなことばかり…』
アリーシャ『神様に感謝しなくてはならないと思いまして。だって、私が王子様にお会いすることができたのは、神様の御陰ですから。』
アベル(仮)『……違う。』
アリーシャ『え…?』
アベル(仮)『違う!僕は…王子なんかじゃないんだ!』
〈アベル下手へ走り去る〉
アリーシャ『あっ、アベル様!?』
《暗転・明転》
〈門番中央板付きアリーシャ上手から〉
アリーシャ『お待ち下さい!アベル様!』
ナレーター『急に飛び出していったアベルを追いかけたアリーシャでしたが、お城の門前で足止めされました。』
門番『関係者以外は城へは入れん!早く去るがよい!』
アリーシャ『そんなっ!王子様に会わせて下さい!今日が…今日が最後なのにっ!』
門番『これ以上無礼を働くのであれば、女だって容赦せん。切り捨てるぞ!』
〈マリア下手から〉
マリア『おやめ下さい!』
門番『なっ!!』
マリア『剣の道を志すものが何をしているのです!?
どんな理由があろうとも、女・子供に剣を振るうなど言語道断!
それに、相手は丸腰ではありませんか!』
門番『何だとっ!小娘ごときが生意気な!!』
〈アベル下手から〉
アベル『門番、流石に無礼が過ぎるのでは?
処分を考えなくてはいけないようですね……?』
門番『ア、アベル様!大変、失礼致しましたっ!どうか、何卒穏便に…!』
アベル『分かりました。精進なさい。マリア、行きますよ。』
マリア『はい、アベル様。あ、あなたもいらっしゃい。アベル様に用があるのでしょう?』
アリーシャ『は、はい。』
ナレーター『こうして、二人目のアベル登場に疑問を抱きつつも、アリーシャは城へ向かい入れられたのでした。』
《暗転・明転》
〈アリーシャ、マリア中央板付き〉
アリーシャ『危ないところを助けて下さり、ありがとうございます。なんとお礼を申し上げればいいか……。』
マリア『そんなことないわ、私は何もできなかったし。
私はマリア。アベル様の婚約者よ。』
アリーシャ『婚約者……?』
マリア『えぇ。でも安心して。私の相手は、あなたの王子様じゃないから。そうだ、あなたの名前は?』
アリーシャ『私はアリーシャです。』
マリア『ねぇ、アリーシャ?変なことを聞くようだけど……あなた、人魚でしょう?』
アリーシャ『どっどうして…?』
マリア『やっぱり。アベル様が話していらしたの。』
アリーシャ『あの、どうしてアベル様が二人も…』
マリア『それは……』
《ノック音》
アベル『入っていいかな?』
マリア『どうぞ。』
〈アベル×2入室〉
アベル(仮)『アリーシャ……。』
アリーシャ『ア、アベル様…。』
マリア『アベル様……いえ、カイン様。本当のことを話して差し上げたらどうでしょう?』
カイン『……。』
アベル『カイン。』
カイン『分かった。アリーシャ、今まで黙っていてごめん。僕の本当の名前は、カインなんだ。』
アリーシャ『カイン様……?』
カイン『あぁ、僕はカイン。第二王子だ。』
アリーシャ『え?なら、さっきは何故王子では無いとおっしゃったのですか?』
カイン『だって……僕は王子なんかじゃない。第二王子なんていらない存在なんだ。』
マリア『カイン様…!?』
カイン『だってそうだろう!?王位継承するのはアベル兄様だ!』
アベル『お前は、俺の只一人の弟だ。いらないわけがないだろう!?』
カイン『でも、僕は何をしても駄目で、アベル兄様の顔に泥を塗ることしかできない!こんな僕に……存在意義なんて無い!』
アリーシャ『そんなことありません!この世にいらない存在等無いのです。この世にあるものは全て、神様が必要だと思ったから存在しています。カイン様だってそうです!』
カイン『アリーシャ……。』
アリーシャ『それに、私はカイン様を愛しております。それでもまだ、存在意義が無いとおっしゃるのですか?』
カイン『アリーシャ……ありがとう。目が覚めた気がするよ。僕も愛してる。色々と黙っていてごめん。結婚してくれ。』
アリーシャ『カイン様……お気持ちはうれしいです。ですが、私も黙っていたことがあるのです。今夜月が沈む時、私は光となって消えてしまうのです。』
マリア『そんな……!』
カイン『アリーシャ、嘘だろう!?』
アリーシャ『いいえ、本当です。もう少しで月が沈みます。あぁ、最後にあなた様と両想いになれてよかった……。』
カイン『アリーシャ!!』
ナレーター『次の瞬間、月が沈みました。ところが』
アリーシャ『消えていない……!?』
〈魔女、背景裏から〉
魔女『アリーシャ、婚約おめでとう。』
アリーシャ『魔女様!?どういうことですか?』
魔女『一ヶ月の猶予、というのは嘘です。』
アリーシャ『なんで……?』
魔女『私の娘は人間に恋をして、あなたと同じように私に薬を頼んできたのです。ところが恋は叶わず、娘は海に身を投げて死にました。
あなたには、同じ道をたどって欲しくなかった!だから命と引き替えにする、と嘘をついたのです。あなたが、王子を諦めるように。』
アリーシャ『魔女様……。』
魔女『けれど、あなたは諦めなかった。そして、恋は叶った。あなたからは、人魚として生きるはずだった運命をもらっていきます。
どうか、娘の分まで幸せに……。』
アリーシャ『魔女様……ありがとう。』
ナレーター『こうして、カインとアリーシャはいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。』
アベル(仮)=カインです。
お解り頂けたでしょうか……?
解りにくかったら、申し訳ないです…。
因みに……
監督 嶋田早苗
監督補佐 七瀬千津
です。




