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演劇部の皆さまと私の日常。  作者: 卯侑
夏休み~開始~
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53/56

発表会用台本 『人魚と王子』

文化部発表会でやる台本、という設定です。

注 かなりご都合主義です。


キャスト

アリーシャ 池内梓

アベル(仮)都筑琢磨

アベル   永井圭一

魔女    森元咲

マリア   葉桜栞

門番    町野竜

ナレーター 篠塚星



〈ナレーターは指定位置へ、アリーシャ中央板付き〉


ナレーター『昔々ある所に、人間に淡い恋を抱いた、アリーシャと言う名の大層美しい人魚がおりました。』


アリーシャ『王子様……。あの日、波にさらわれたドジな私を助けて下さいました……。私はあの日以来ずっとあなた様をお慕いしております。あぁ、もう一度お会いしたい。』


《暗転》


ナレーター『ある日、どうしても王子に会いたかったアリーシャは、魔女のもとに向かいました。』


《明転》

〈魔女上手板付き、アリーシャ下手から〉


アリーシャ『魔女様!いらっしゃいますでしょうか?』


魔女『お前は……人魚か?』


アリーシャ『はい。人魚族のアリーシャに御座います。魔女様にお願いがあって参りました。』


魔女『願い……?』


アリーシャ『私の命を救って下さった王子様に、もう一度お会いしたいのです。』


魔女『……何故?』


アリーシャ『恋をしてしまったからです。どうしても、忘れられないのです。』


ナレーター『魔女は少し考え込んだ後、何かを取りに行きました。』


アリーシャ『それは……?』


魔女『これは、人間になれる薬だ。人魚は陸に上がれない。ならば、人型をとるしか方法はない。』


アリーシャ『どうか、お願いします!その薬を私に下さい!』


魔女『報酬は……高くつくぞ?お前の……命だ。』


アリーシャ『命……?』


魔女『お前には、一ヶ月の猶予を与えよう。薬を飲んでから一ヶ月後の夜に昇った月が沈んだ時、お前は光となって消えるだろう。

但し、この話は薬を飲むことが前提。諦めるならば……今だ。』


アリーシャ『構いません。例え、命を落とすことになったとしても。この想いを、貫き通したいのです。どうか、薬を……。』


《暗転》


ナレーター『こうして、アリーシャと魔女は契約を結び、アリーシャは薬を飲みました。』


《明転》

〈アリーシャ上手から下手へ〉


アリーシャ『王子様、一体……どこに?』


ナレーター『現実は残酷でした。土地勘のないアリーシャは海の周りをさ迷うしかなかったのです。それから、更に一週間後のことでした。』


《暗転・明転》

〈アリーシャ上手からアベル(仮)下手板付き〉


アリーシャ『あ、あなた様は!』


アベル(仮)『……あれ?キミは…』


アリーシャ『あの時助けられた人魚です。アリーシャと申します。あの、お名前は…』


アベル(仮)『僕は……アベル。キミは、何で人間に…?』


アリーシャ『薬を飲んで、人間になったのです。あなた様に……アベル様にもう一度お会いしたくて…』


《暗転・スポットライト白》


ナレーター『それからというもの、アベルとアリーシャは毎日のように会うようになりました……けれども、時の流れは残酷で…ついに、魔女との約束の日の前日になりました。』


《明転》

〈アリーシャ、アベル中央板付き〉


アリーシャ『アベル様、あなた様にお会いすることができて、本当によかった。』


アベル(仮)『どうしたんだ?アリーシャ。最近、口を開くとそんなことばかり…』


アリーシャ『神様に感謝しなくてはならないと思いまして。だって、私が王子様にお会いすることができたのは、神様の御陰ですから。』


アベル(仮)『……違う。』


アリーシャ『え…?』


アベル(仮)『違う!僕は…王子なんかじゃないんだ!』


〈アベル下手へ走り去る〉


アリーシャ『あっ、アベル様!?』


《暗転・明転》

〈門番中央板付きアリーシャ上手から〉


アリーシャ『お待ち下さい!アベル様!』


ナレーター『急に飛び出していったアベルを追いかけたアリーシャでしたが、お城の門前で足止めされました。』


門番『関係者以外は城へは入れん!早く去るがよい!』


アリーシャ『そんなっ!王子様に会わせて下さい!今日が…今日が最後なのにっ!』


門番『これ以上無礼を働くのであれば、女だって容赦せん。切り捨てるぞ!』


〈マリア下手から〉


マリア『おやめ下さい!』


門番『なっ!!』


マリア『剣の道を志すものが何をしているのです!?

どんな理由があろうとも、女・子供に剣を振るうなど言語道断!

それに、相手は丸腰ではありませんか!』


門番『何だとっ!小娘ごときが生意気な!!』


〈アベル下手から〉


アベル『門番、流石に無礼が過ぎるのでは?

処分を考えなくてはいけないようですね……?』


門番『ア、アベル様!大変、失礼致しましたっ!どうか、何卒穏便に…!』


アベル『分かりました。精進なさい。マリア、行きますよ。』


マリア『はい、アベル様。あ、あなたもいらっしゃい。アベル様に用があるのでしょう?』


アリーシャ『は、はい。』


ナレーター『こうして、二人目のアベル登場に疑問を抱きつつも、アリーシャは城へ向かい入れられたのでした。』


《暗転・明転》

〈アリーシャ、マリア中央板付き〉


アリーシャ『危ないところを助けて下さり、ありがとうございます。なんとお礼を申し上げればいいか……。』


マリア『そんなことないわ、私は何もできなかったし。

私はマリア。アベル様の婚約者よ。』


アリーシャ『婚約者……?』


マリア『えぇ。でも安心して。私の相手は、あなたの王子様じゃないから。そうだ、あなたの名前は?』


アリーシャ『私はアリーシャです。』


マリア『ねぇ、アリーシャ?変なことを聞くようだけど……あなた、人魚でしょう?』


アリーシャ『どっどうして…?』


マリア『やっぱり。アベル様が話していらしたの。』


アリーシャ『あの、どうしてアベル様が二人も…』


マリア『それは……』


《ノック音》


アベル『入っていいかな?』


マリア『どうぞ。』


〈アベル×2入室〉


アベル(仮)『アリーシャ……。』


アリーシャ『ア、アベル様…。』


マリア『アベル様……いえ、カイン様。本当のことを話して差し上げたらどうでしょう?』


カイン『……。』


アベル『カイン。』


カイン『分かった。アリーシャ、今まで黙っていてごめん。僕の本当の名前は、カインなんだ。』


アリーシャ『カイン様……?』


カイン『あぁ、僕はカイン。第二王子だ。』


アリーシャ『え?なら、さっきは何故王子では無いとおっしゃったのですか?』


カイン『だって……僕は王子なんかじゃない。第二王子なんていらない存在なんだ。』


マリア『カイン様…!?』


カイン『だってそうだろう!?王位継承するのはアベル兄様だ!』


アベル『お前は、俺の只一人の弟だ。いらないわけがないだろう!?』


カイン『でも、僕は何をしても駄目で、アベル兄様の顔に泥を塗ることしかできない!こんな僕に……存在意義なんて無い!』


アリーシャ『そんなことありません!この世にいらない存在等無いのです。この世にあるものは全て、神様が必要だと思ったから存在しています。カイン様だってそうです!』


カイン『アリーシャ……。』


アリーシャ『それに、私はカイン様を愛しております。それでもまだ、存在意義が無いとおっしゃるのですか?』


カイン『アリーシャ……ありがとう。目が覚めた気がするよ。僕も愛してる。色々と黙っていてごめん。結婚してくれ。』


アリーシャ『カイン様……お気持ちはうれしいです。ですが、私も黙っていたことがあるのです。今夜月が沈む時、私は光となって消えてしまうのです。』


マリア『そんな……!』


カイン『アリーシャ、嘘だろう!?』


アリーシャ『いいえ、本当です。もう少しで月が沈みます。あぁ、最後にあなた様と両想いになれてよかった……。』


カイン『アリーシャ!!』


ナレーター『次の瞬間、月が沈みました。ところが』


アリーシャ『消えていない……!?』


〈魔女、背景裏から〉


魔女『アリーシャ、婚約おめでとう。』


アリーシャ『魔女様!?どういうことですか?』


魔女『一ヶ月の猶予、というのは嘘です。』


アリーシャ『なんで……?』


魔女『私の娘は人間に恋をして、あなたと同じように私に薬を頼んできたのです。ところが恋は叶わず、娘は海に身を投げて死にました。

あなたには、同じ道をたどって欲しくなかった!だから命と引き替えにする、と嘘をついたのです。あなたが、王子を諦めるように。』


アリーシャ『魔女様……。』


魔女『けれど、あなたは諦めなかった。そして、恋は叶った。あなたからは、人魚として生きるはずだった運命をもらっていきます。

どうか、娘の分まで幸せに……。』


アリーシャ『魔女様……ありがとう。』


ナレーター『こうして、カインとアリーシャはいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。』





アベル(仮)=カインです。

お解り頂けたでしょうか……?

解りにくかったら、申し訳ないです…。

因みに……

監督   嶋田早苗

監督補佐 七瀬千津

です。


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