43 分かった事、分かってしまった事。
「で、デート行ったんだ?」
優壱の問いかけに頷く私。
そう、デートには行った。
……約束したあの日ではなかったが。
先輩に、用事ができてしまったのだと聞いて中止にしたのだ。
で、デートはと言うと。
埋め合わせに、他の日に行きました。水族館に。
遊園地よりも知っている人に会いにくいかな〜っていう考えからですね。
「水族館かぁ。いいよなー、オレも咲先輩と行きてぇー。」
そうそう、どこから漏れたのか知らないけど、優壱にはバレちゃっていたんですよねー。
どこまで情報網張り巡らしているんだ?コイツは。
……単に、それだけの人数と触れ合っているだけかな?それはそれで凄い。
「口だけじゃあなくて、手も動かしたらどう?いつまでたっても終わんないでしょ?」
えっと、どうしてこんな話を堂々としちゃっているのか、と言いますと……
役組の、梓先輩・琢磨先輩・圭一先輩・咲先輩・栞先輩・竜ちゃん先輩・千津・星くん・早苗先輩の9人は体育館の舞台上、幕を降ろした状態での立ち稽古を。
音響組の、一夜くん・稔くん・中Tの3人はコンピューター室で劇に使う音源の編集。
買い出し組の菜穂と翔馬くんの2人は電車で池袋まで衣装等の買い出しへ。
で、唯一居残り組の私達二人は部室にて、背景の色塗りをしていた。書いてある指示通りに絵の具を塗るだけだけど、意外と大変なんですよねー、コレ。
色作るのに時間かかるし。
と、いう訳で、二人でダラダラと会話をしながら、お仕事をしていたのでしたー。
はい、説明終了!
「なぁなぁ、デートどうだった?」
「え?勿論、楽しかったよ。」
「じゃあさ、今後の為に聞いておくけど……キスした?」
!?……口の中に何も入ってなくてよかった…。もし入ってたら、吹いてたよ?
「……初デートでキスは無いと思う。」
「うーん、流石にムリか。」
……やっぱり、変なヤツ。でも、これがコイツの通常運転なのだろう。……相談するなら、コイツしかいない…か。
「ねぇ、優壱?」
「ん?」
「実はあのデートで気づいちゃったんだよね……。」
「何に?」
「きっと、圭一先輩は……」
その時、建て付けの悪いドアの開閉音が私の言葉を掻き消した。
「ただいま!2人共、背景仕上がった?」
そこに立っていたのは梓先輩達、役組だった。
「あー、えっとですね、まだ乾ききって無くって……」
「どれどれ?あー、なんだコレぐらい?じゃあ、明日仕上げちゃおうよ。」
「え、いいんですか?早苗先輩?」
「うん。重ね塗りは乾くの待たなきゃだしね。」
と、言う訳で家に帰ることになった。全員で。
近くに不審者がでたらしく、ずっと中Tがついてきた。
因みに、音響組はもう帰宅したらしい。一夜くんが家で編集する、と言い出したんだとか。
買い出し組は現地解散したと聞いた。
「結局、何を言いかけたんだ?」
やっぱり気になったのだろう。
帰り掛けに一度だけ、こっそりと聞いてきた。
けれど、尽くチャンスを逃してしまい、結局相談し損ねてしまった。
やっぱり相談したかったな、とこの日の夜、僅かに悔やんだ。
電話をかける勇気はなかった。
けれど……もし、この時相談していたとしたら何か変わったのだろうか?
……どちらにしても、結末は変わらなかったのだろうと、私は後日知ることになる。
次回、衝撃の事件が!!
期待した展開でなかったらごめんなさいです。当初からの計画通りに進めます。




